軍人は「正義」を建前にするから嫌い
だけど、一部の人々は割と好き









〜眠る王子に愛の手を〜








特に用事はないけどヒマだったので
今日も軍部に侵入しました







よい子は真似しちゃダメだよ☆ニャハハ











とりあえずイタズラ罠を幾つか仕掛けたので







後は大佐をちょっとからかって帰ろうかと
思って、さっそく大佐を探し始めた









いつもの執務室や資料室







はたまた男子トイレをちらっと覗いて
他の人に騒がれたり







まあ、色々あった末









見つけた大佐は仮眠室でぐっすり寝てました











「って…寝てるなんてつまんなーい」







いつもなら仕事とかで何だかんだ言って
起きて 挨拶してくれるのにー







「大佐ーこんなとこで寝てたら
イタズラしちゃうよ〜?









冗談でガバッと覆い被さってみる







気配で起きるかなーと思ったけど無反応









「ちぇ、仕方ない かーえろっ」











言って 上からどいてる途中
右手を引っ張られて、





大佐に抱きしめられてしまった







「ニャっ…ちょっとー私、抱き枕じゃ
ないんだけど たーいーさー?







…ダメだ 寝てるー









ため息つきながら、起きるまで
ちょっと大佐の顔でも観察してみる











「ん…」







大佐って よくよく見ると顔整ってるなぁ







思わず猫ヒゲとか描いてみたくて
ウズウズしているけれども





こうも安らかに寝てると





描くのにちょっと罪悪感が沸いてくる







「それにしてもよく寝てるなー」







ほっぺをプニプニつっついてみると
さすがに眉間にしわを寄せてうめいた











これが国家錬金術師で 人柱候補の男とは







本当、人間見た目じゃわかんないよねぇ…でも











「退屈だよーおきてよー大佐ー







呼びかけても、うーんとしか言わない







油断するとこっちが眠くなりそ…ん?











身動きを止めて耳を澄ましたら
足音が遠くから近づいてきてるのが分かった









音の感じとかからだと 軍靴に間違いなさそう







…耳には、ちょっと自信あるんだよね











「どうしよっかなー…」







もし誰かがこの状況見たら、





普通の軍人さんは 私を不審者扱い
するだろうな





タバコさんとかのいつもの人たちは


二人で何してたとか騒ぐかな?





中尉は…顔色一つ変えずに
大佐を起こすかも







「うーん…」









こっそり顔見に来ただけで面倒なことに
巻き込まれるのはヤだなぁ







退却したいけど大佐の腕が離れないし









…よーし 起こすか











耳元に口を近づけて、思いっきり大きな声で







「おっきろー!」


「どうわぁ!?」







目をかっ開いて、痛そうに耳を抑える大佐に
私はニコリと笑いかけた







「起きた?大佐」


「…ああ、ちゃんか」









あれ?普通はもっと驚くでしょ?
なんで何事もないかのように笑い返すの?









「ひょっとして狸寝入りしてた?」


「すまない、まだ耳がキンキンしててね
何か言ったかいちゃん?」







うっわぁ とぼける気満々っぽい







…まあいいや、とにかく放してくれるのが先かな







「この起こし方はヒドイじゃないか
もっと優しく起こしてくれても…」


「だってめんどいしー、あっそーだ
この手 いい加減放してよね♪」







私は掴まれたままの右手を軽く振った







「いいや」







大佐は不敵な笑みを浮かべて 右手に
更に力を込める







「許可無く、勝手に軍部に入った
お嬢さんにはお説教しなければね」









…そう来たか









しょうがない、これで許してもらおうかな?











私は、大佐の額に軽くキスを落とした







「なっ!?」







額を抑えて驚く大佐が面白くて
思わず笑みが零れた











「ニャハハ、ナンパ魔のくせに顔赤くして
大佐ってかーわーいーい♪」


「おっ…大人をからかうんじゃない!







腕の力が緩んでいる隙に抜け出して







「それじゃ まったねー」









仮眠室からさっさと退場したのだった








――――――――――――――――――――――
あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:大佐夢をリベンジしてみましたが…


大佐:勢いだけの上に、駄作丸出しだな


狐狗狸:今回寝てただけの無能大佐に
言われたくなーい


大佐:無能って言うな!それよりちゃんは
どうやって入ったんだ 仮にも軍施設だぞここは


狐狗狸:たまたま運良く入れたんでしょう(笑)


大佐:それと、男子トイレまで覗いたことと
色んな所に仕掛けた罠の事についても
言いたいことがあるのだがね…彼女には


狐狗狸:したら私だって 大佐が狸寝入りしてたか
真相を聞いちゃうよ?


大佐:……(両手に発火布手袋を装着)


狐狗狸:燃やされる!?




黒コゲの狐狗狸が見つかりました


大佐が妙に乙女チックになってスイマセンでした


様 読んでいただいて
ありがとうございました!