この日は一つの「正義」を貫いた
聖人が生まれた誕生日









〜街が彩られる夜〜








「ニャハハ〜やっほグリード 生きてる〜?







クリスマス・イブのこの日に、私は
デビルズネストの地下を訪ねた







グリードは相変わらずニヤついた顔で





殺風景な部屋のソファに座っている







「どういう風の吹き回しだ?
お前が尋ねてくるとはな、


「別になんとなく アンタがくたばって
ないかなーなんて思っただけ」


「オレは強欲なんでな、そう簡単に
くたばりゃしねーんだよ」







笑いながらグリードは酒を一口あおる







憎まれっ子世にはばかるっていうしね」







皮肉だとわかったのか、グリードの顔が
少し渋い感じになる









エラそうな奴をそういう顔にさせるの





だーいすきなんだよね ニャハハ♪









「それにしても、アンタ割と
いっつもここにいるよね?なんで?」


「オレは一人の時間も欲しいんでな
お前、わかっててこの時間帯に来てんだろ」







ソファから立ち上がりながら言うグリードに





私は 特に否定もせずにこう返す







「まーねっ、アンタの部下にあんまり
よく思われてないみたいだし?」





グリードが側まで近づいて、





オレの女になれば 部下なんざ
いくらだって黙らせられるぜ?」







私に顔を近づけながら言うけれど


わざと微笑んで私はこう返す







お断り♪それより酒くさいから
離れてくれる?」











しかめっ面したグリードが、すごすご
ソファに戻って 深く腰掛ける







「オメェ ここに何しに来たんだよ」


「んーヒマだから お酒でも飲みに?
あとはついでにグリードと話に」


「ついでかよ」


「うん、基本はアンタ嫌いだし」







私は側の壁に背を預けて グリードに語りかける









「街はクリスマスだから回りの装飾も
力入ってるし お祭り騒ぎだね」


「まーな」







興味なさそうに呟くグリード







「でもここは、相変わらず静かで殺風景」


「悪かったな オレはガキの祭りに
興味がなくてよ」


「まーでも たまにはこういうのも悪くない
こういう何もない所は昔から落ち着くんだよね」













そう、外は嫌になるくらいキレイで眩しい









私に届かない輝きを 見せつけるように











色々な所に旅をするけれども、たまに
こんな殺風景な場所が恋しくなるのは











決して人としては生きられない
闇の住人だから だろうか













グリードがこっちをじっと見て、





自分の隣のスペースを指差して 手招きする







、隣 座れよ」


やだね、アンタすぐセクハラするから」


「うるせぇな 今日は女どもが出払ってんだよ
側にがいねぇと落ち着かねぇ」


一人の時間が欲しいって言ってたくせに」







突き放すように言ってみるけれど、
今度は大してこたえてないみたいだった







それを壊したのはお前だろ?
いいから座れよ、何もしねぇし」







そのニヤニヤ笑いは嘘くさいんだけど?





…でもまあいいか、嘘だったらその時はその時





取り出したナイフをちらつかせつつ







「何かしたらジョーカー脳天にぶっ刺すから
覚悟しといてね」







言って、私はグリードの側に座った





…うわ 本当に酒くさいコイツ


さては結構飲んでたな、このオヤジ







「おーおっかねぇ女 ま、そこも
気にいってっけどよ」







ニヤつきながら早速 肩に手を回す





そのまま何か動きを見せたらマジで
ブッ刺そうと思ってナイフの柄を握る









けど、回された腕はその位置で止まる







「オレは正直で通ってるんでね
今日は何もしないでいてやるよ」


「あそ、じゃ お酒もらうよ」







私はそう言いながら置いてあった空きグラスに
手を伸ばして、ボトルからお酒をつぐ







「ほーオメェ飲めるのか?」


「一応 年齢はとっくに成人してるからね」









一口飲んで…強烈なアルコールの味にむせた







「何これ、度 キツくない!?


「当たり前だ、ジンは普通ストレートじゃ飲まねぇよ
つか大丈夫かよ







むせ続ける私の背中をグリードが擦る









「ちょっと楽になったかも ありがと…
アンタ 良くこんなの飲めるね」


「オレァ割りと酒強ぇからな」


「あー気持ち悪、ちょっと肩貸してよ」







頭をグリードの方に乗せて
思いっきり体重をかける







「弱ぇなら飲むなよ、重てぇなコラ」


「いーじゃん 私の勝手でしょー」


「もう酔ったのかよ、なんなら
泊まってくか?オレのベッドによ」


「それは丁重にお断りします」







チッとか舌打ちしてもダメだよん





酔いが回っててもアンタの企みぐらいは
阻止できるんだからね











「…グリード、アンタは
信じてるものってある?」


あん?何だいきなり
オレが信じてるのはオレだけだ」







清々しいまでにハッキリ答えるね







「アンタのそーいう自己中で
自信満々なとこ 大っ嫌い」



「テメェも自己中じゃねぇのか 









まーね、でも アンタは私と違って


創造主に逆らって生きてるでしょ?







自分が何者か構わず 自分の信じた
"正義"を持って生きてるでしょ?









"正義"の名前を持つのに


信じる者も 胸を張れる自分もなく
流されながら生きる私を笑い飛ばすように











だから 大嫌いなのよ













自己チューで結構、疲れたしちょっと寝るね
少ししたら起こしてぇ〜」


「寝るなよ 重いんだよクソガキ
襲うぞコラ


なぁにもしないって言ったくせにー
それにクリスマスなんだからいいじゃん」


「脈絡ねぇよ それとこれとは別だろ」







言い合いをする合間も、酒のせいか
思考がどんどん睡魔に奪われていく







「わざわざ来たんだから少しぐらい
肩かせっつのーバカグリード〜


「……完璧酔っ払ったなお前
わーったよ、そのまま寝とけ


「最初っからそう言やいいのよ おやすみ〜」







二へっと笑って 私は目を閉じた









目が覚めたら、私はまた
行かなくちゃいけないんだから







せめてクリスマスぐらいは







ここでヒマしてるアンタと一緒に
のんびりさせてよね グリード








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:ここんとこ鋼書いてないからマズイと思い
クリスマスのネタを書いてみました


グリード:マズイと思ってんならとっとと
長編書きやがれ そしてオレの出番を作れ


狐狗狸:痛いとこつくね 原作と睨めっこしながら
長編書いてる私の苦労を知ってください


グリード:知るか、オレとの絡みを増やせ


狐狗狸:…セクハラ親父とか言われて
嫌われてるくせに


グリード:砕くぞ てかこの話は
長編のどの辺りのネタだ?


狐狗狸:…長編より前かもしれないし
後かもしれない、まぁ適当で

つかそもそもクリスマス無いけどね、"鋼"の世界


グリード:いいのかよオィ




長編もがんばって書いてますので…(謝)


様 読んでいただいて
ありがとうございました!