私はこのイベントが大好き
だって普段の悪戯が「正義」になるから!









〜南瓜灯りを掲げよう〜








「ただいまー」


「おかえりエンヴィー、早かったね」


「まーねー」







用事で出かけてから、アジト(仮のものでちょい狭め)
に戻ったエンヴィーに





私は作業の手を休めず声をかける







 何作ってるのさ?







エンヴィーが言いながらこっちを覗き込む







「んーもうすぐハロウィンだから、
仮想用の衣装!ドラキュラだよドラキュラ」


「へー上手いじゃん、ねーねー
僕の分も凝ったつくりにしてよ?」


「ニャハハ いいけど、高いよー」


「ええーお金取るのー?」







二人でワイワイ言ってたら、隅で
お菓子食べてたグラトニーが寄ってきた









ハロウィンってなーに?」


「ハロウィンはね、お化けや怪物に仮装して
お菓子をねだって回るお祭りなんだよ♪」


「もらったおかし、たーべていいの?」





グラトニーが目をキラキラさせながら訊ねる





もちろん!でもハロウィンの醍醐味は
いかに人を脅かすかに―」


「ちょっとジャスティ…じゃなかった
グラトニーに変なこと教えないでちょうだい」









振り向くと、ドアを開けたラストが
ため息交じりで立ってた







「あ、ラスト お帰り〜」


変なことじゃないもん!それより
頼んでたものは買ってきてくれた?」


「はいはい、これでしょ?」







言いながら ラストがやや大きめの
買い物袋を差し出した







「そうそう サンキュー」







私はそれを受け取り、中から
装飾道具を取り出して







「よーし部屋を飾り付けるぞー
エンヴィー、グラトニー 手伝って〜」


「はーい」





言うと グラトニーは素直に返事をして





「えぇ〜いいじゃん ここ借り物なんだし」







エンヴィーも文句言いながら手伝ってくれて







「まぁ がんばりなさい…


「もっちろん!」







ラストの励ましに 私は俄然やる気を出した







「内輪だけだけど、楽しい
ハロウィンパーティーにしようね♪」














そして ハロウィン当日









仮アジトに集まったのは、私を含めて…







たったの四人って…どゆこと?」


「仕方ないのーお父様は動けないってー」







悪魔の角とシッポをつけたグラトニーが





のんびりした声で言いながら
テーブルの上の特製お菓子を食べている









まぁ…お父様は仕方ないけどさー







「スロウスは?」


「ハロウィンなんかめんどくさいってさ」







肩をすくめて狼男なエンヴィーが言う







あー、スロウスは面倒くさがりだからね









「ラースとプライドは?」


「何かやらなきゃいけない仕事が溜まってて
参加できないのを残念がってたわね」







腕を組みながら魔女の仮装をした
ラストが呟く











…そう言えばラースとプライドって
一度も会ったこと無いなー







大抵 仕事が忙しいって言ってるけど





二人とも何の仕事してんだろ?











「せっかくのハロウィンなんだから
もう少しいてもいいよねー」









エンヴィーの言う通りだ







いくら内輪でハロウィン祝おうにも
四人だけじゃちょっと寂しい…









「あ、じゃあさ 今から皆で
あいつん所に行かない?」


「「「あいつ?」」」









簡単に説明をして、私達は
ハロウィンらしく脅かしに行った











『トリックオアトリート!!』









デビルズネストの一室にて







「…で、オレ様の所に来たのか皆して」







不機嫌な顔でグリードが呟いた











電話でそっちに行くことを伝えたら







何か知らないけど 他の部下は皆休みらしくて
ヒマしてるから喜んで待つって言ってたのに









ちなみに仮装はフランケンシュタイン
(自前らしい)ゴツイから似合う似合う











「何さー、一緒にハロウィンやろうって言ったら
喜んで待ってるって言ったくせに〜」


「……ちっ、他の奴と一緒なんて聞いてねぇぞ」







うん、だって言ったら絶対
招待してくれなかったでしょ?







てゆうかあんたと二人っきりだと 何されるか
分からないし、それはお断りだよ







「じゃあ呼ばなきゃよかったじゃん」


ああ?うるせーよオレの勝手だろ?」







わー出会い頭 早速エンヴィーとグリードが
火花を散らしております









別に普段ならこのままケンカしても構わないけど







さすがに今ケンカされたら
ハロウィンどころじゃなくなっちゃう





ので、一応止めに入ることにした









「まーまーエンヴィー、一応こんなんでも
いないよりはマシだし」


「扱いがエラいぞんざいだなオィ」


「うん だって私、あんた嫌いだし♪







キッパリハッキリ言ったのに、グリードは
めげずにニヤニヤ笑いながら







「ほう、嫌いなのにやってきたのか?
随分と矛盾してるじゃねぇか」



「ニャハハ、してないよ人数合わせだから」


「そうそう、やっぱりお祭り事は
頭数揃わないとねー」





言ってエンヴィーと二人でねー、とやる





「ケンカ売ってんのかテメェら」


「「うん♪」」







見事なまでに声と顔がシンクロ





やっぱりエンヴィーとは気が合うなぁ







「所で三人とも、いいのかしら?
グラトニーが勝手にお菓子を食べ始めたけど」







静かなラストの言葉に、私たちは
慌ててテーブルの方を見る









グラトニーがものすごいスピード





テーブルの上のお菓子や料理を平らげていく









移動中 「おなかすいたー」って
うるさかったのに、妙に静かだと思ったら…









って、そんな場合じゃない!







グラトニー!今食べちゃ駄目だよ!
どうせならイタズラ決行した後で食べようよ!」


「おーいしーのー」







いくら言っても、グラトニーは
聞く耳持たないで 名前の通り"暴食"してる







「無理よ、グラトニーはこうなったら
全て食べ尽くすまで止まらないわ」







諦めきったようにラストが呟く







「おいおい その辺にしとかねぇと
また太るぞー、グラトニー」


「もう太ってるじゃん 手遅れなぐらい」







同じようにグリードもエンヴィーも
傍観してるし…はぁーあ









結局私も 途中で諦めて







グラトニーの食べっぷりを眺めていた











「しっかし、見事なまでに何も残らねぇな」


「ニャハッ確かにねー」







グリードの言葉に 私は相槌を打った









あの後、グラトニーは5分足らず
テーブルの上のお菓子と料理を平らげ





挙句の果てにテーブルまで食べた







「ごちそうさまでしたー」


「ダメじゃないのグラトニー
勝手に食べ始めたりしたら」


「ラスト それ、言うの遅くない?」







グラトニーをたしなめるラストに
エンヴィーがそう言う







…本当にそう思う







「あーあ、折角グリードにイタズラかまして
皆でお菓子と料理食べるつもりだったのに」


「オイコラ てめぇ」





グリードが何か言おうとするけど、それは無視





「これでハロウィンパーティーが終わりは
ちょっと味気ないなー」









私の呟きが聞こえたらしく、
エンヴィーがこっちを見て言う







「不満があるなら、代わりにうちらのアジトで
ハロウィンパーティーやり直す?


「ニャハハ それいいよエンヴィー!
さっすが!!







提案に、グリードが少し考えて









「…まぁ たまにはガキの遊び
付き合ってやってもいいか」







フンとか笑ってそう言った







「だから嫌なら来なくてもいいよオッサン


「誰がオッサンだとテメ!」







またケンカを始める二人を尻目に、







ラストとグラトニーはさっさとアジトに
戻るために 部屋を出た









「ケンカしてるなら置いてくよー」







そう言いながら、私も部屋を後にすると





二人があわただしくついて来た













アジトに入ったグリードが、先ず最初に
内装について感想を漏らした







「案外 ちゃんと飾り付けがしてあんだな」


当然!ハロウィンなんだから
これくらい気合入れないと!!」







次に テーブルの上の特製お菓子
(こっちはまだ少し残ってた)に視線を移して







「この指や人の腕の形のものは菓子か?」


「そうだよの手作りだってさ
かなり張り切って作ってたからね」









エンヴィーの説明を聞いて グリードが
ほう、とか感心してる所に





ラストがじっとこっちを見つめて







 またグラトニーが食べ始める前に…」


「ああそうだった、てわけでイタズラ決行!!







私はエンヴィーに目で合図を送り、





間髪いれずに 取り出した仕掛けの
両端を持って、







「「喰らえ グリード!!」」


「どわ―――――――――――!?」







グリードにイカ墨爆弾をお見舞いした









ニャハハ!イタズラ完了!
どう ビックリしたでしょ!!」


「身も心も腹黒になった感想はどう?」







二人でそう聞くと、グリードが
怒りに震えて叫ぶ







「てっ…テメェら――!!





真っ黒魔人のまま襲ってくるけど





私もエンヴィーも難なく攻撃を避ける





「怒らない怒らない ハロウィンだから
仕方ないじゃーん?」


「それに結構似合ってるじゃん♪」


「ただで済むと思うな このクソガキ二匹が!







そのまま、狭いアジトないでドタバタと
賑やかな鬼ごっこが始まる







一応 テーブルをひっくり返さないよう





私もエンヴィーも注意は払っている







「まったく二人とも子供なんだから…
先にお菓子をいただいておくわよ?」


「いいよー でもちょっとは
残しといてねー」









グラトニーがパクついてるのを見て
念のために そう言っておいた









「鈍いねオジサン ほらこっちこっち!


「待てやコルアァァァ!!」


「鬼さんこちら、手のなる方へ♪」









そのまま しばらく鬼ごっこを楽しんでた








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:鋼でハロウィン!てことでパラレル風味に
ウロボロス組でハロウィンを満喫させてみました


エンヴィー:まさにのためのイベントだね


狐狗狸:そーいうエンヴィーさんもノリノリですが?


エンヴィー:だって、僕と大体トモダチだし


ラスト:どこのヒップホッパーの言葉かしら?
まったく、お子様ね二人とも


狐狗狸:そのお子様に付き合ってあげてる
あなたも意外とノリノリですけ…うわっ(爪避け)


グリード:初登場なのにオレの出番が
なんでこんなグダグダなんだよ(怒)


狐狗狸:そりゃ、ギャグですから…


グリード:よし グラトニー、食え


グラトニー:たーべるーのー


狐狗狸:ぎぃやあぁぁぁぁーーーーー!?




あまりまともじゃない話でスイマセンでした


様 読んでいただいて
ありがとうございました!