ハメを外して楽しむことだって
ある意味「正義」っていえるかも!?









〜get carried away〜








イーストシティの町中で
買った物を抱えつつ路地を歩いていると





メガネさんが向こうから声をかけてきた







「よ〜ちゃん!」


「あ、メガネさんだ〜仕事はどしたの?」


「ちょっとこっちの方に用があってな
…ってか何その荷物」


「ニャハハ ナーイショ


「とか言ってどーせイタズラ用の材料か
何かだったりするんだろ?」


「ご名答〜」







私の手にあるのは、新作イタズラの仕掛け
作る為の素材たちっ☆







「色々と面白いネタがあるから、エドとか
大佐辺りに試そうかと思いまして♪」


「相変わらずだなぁちゃんは」


「それが私の性格ですからっ」







違いねぇ!と愉快そうに笑ってから





メガネさんがいきなり調子を変える





「ふーん エド達もこっちに来てんのか」


「そうなの、調べモノだ何だって言いつつ
案外よくイーストに寄るんだよね」







…あ、今ちょっと"後付くせぇ"とか
"ご都合主義過ぎ"とか思った方


その通りなのでご安心ください







作者曰く、この話もまた例の如く
パラワ交じりらしいので





まったく 何度も同じこと書いてて
飽きないのかな〜ニャハハ!









「それにしても、どんなイタズラを
仕掛ける気なんだ?」





訊ねるメガネさんに、私はチッチと指を振る





「おっと それは教えられないな〜
マジックもイタズラもタネが命!


「なんだよ〜気になるじゃねぇか
チョットぐらい教えてくれよちゃーん」







いい歳してるクセに、子供のように
せがむメガネさんが面白かったので





今回の仕掛けの規模を予測で口にする







「そーだねー…規模は大体、前に
東方司令部で仕掛けまくった時の…二分の一?」


「あーアレか ロイや中尉から話だけは
聞いたことあるぜ?」


「知ってるなら話は早いよ…ちなみに
その話は結構有名だったりするの?」







軍人層のどのぐらいにまで広まってるのか
少しだけ気になった







…だってあんまりハデにやり過ぎると
身内に怒られますから♪









メガネさんは涼しげな笑みで答えた





「オレらの間ではな、他の奴等には
"謎の愉快犯"による犯行って事になってる」


「わー バレたら捕まっちゃう
気をつけなくちゃっ、ニャハ!」


「それ、今から仕掛け作ろうって奴が
言うセリフじゃないだろー?」





呆れたように私を見やって呟いてから




「所で、ちゃんはどっち
仕掛ける気なんだ?イタズラ」







続けたメガネさんの言葉に、少し考える







「うーん…私としてはどっちに仕掛けても
反応が楽しいだろうから 特に考えては…」


「そっか」


「逆に訊くけど、何で仕掛ける相手
知りたいと思ったの?」







小首を傾げつつ聞き返してみる







「…いやー実はさ 仕事が予定より早く終わって
中央に戻るまでに一日半ほどヒマがあってよ〜」





頭を掻きながら メガネさんが
ポケットから取り出したのは


いつもの如くエリシアちゃんの写真





「こっちに来たついでにロイにウチの
エリシアの近況報告しに行ったら あのヤロ
仕事を理由に引きこもっちゃって」





お陰で退屈なんだよ、とそこそこ地位のある
軍人さんらしくない一言をもらすメガネさん







「もしちゃんがロイにイタズラ
仕掛けるんだったら…ちっと手伝おうかなー
なんて思ってるんだけど?」







私の答えは……決まっている







「それはそれはご丁寧に、ぜひお願いします!





そんな面白過ぎる展開を選択しないなんて
エドの牛乳一気飲みよりあり得ない!





ぶっちゃけ仕掛け人が増えれば
仕掛けの数もターゲットの驚きも二倍だし


メガネさんもヒマが潰せて一石三鳥…かも!







「お〜ありがとちゃん、そーだ
ウチのエリシアちゃんは今月何と」


「それじゃ お話聞きつつ早速
仕掛けを作る為に参りましょうか!」





言い終わらないウチに私はさっさと駆けて行く









私達の泊まっている宿の一室で軽い打ち合わせを
済ませてから解散し





入れ違いで買い物に出るエドとアルを見送って





部屋で一人、買い込んだ材料を元に
出来るだけ早めに仕掛けを作り…











ようやく準備を整えて





やって来ました東方司令部!







ニャハハ〜、お疲れ様ー大佐」







一人で通路を歩いてる所を見計らい
壁の後ろから大佐の前に姿を現す







ちゃん…毎度言うが一般の人は
気安くここに来てはいけないと言っているだろう」


「一応今回は了承を得て入ってきてるもん♪」







ニッコリと笑顔のままそう言うと





もう追求する気も起きないのか、深い
ため息だけが返ってきた







「…それで 私にワザワザ何の用だね?」


「これを差し入れしたいと思いまして〜」





言いつつ、後ろ手から取り出だしましたる
二本のコーラのうち 一つを渡す





「…ちゃんの事だ
コレに何か入っているのだろう」


「ひっどいなー私を疑うんですかぁ?」


念のため、そちらと取り替えてもらおう」





頷いて 大人しくコーラを取りかえっこする





…でも、実はこっちも仕掛け入りのコーラです♪


大佐の性格なら絶対取替えを言い出すと思って
あらかじめ用意しておいたんだよね〜







「ちょっと喉が渇いてるので、失礼して〜」







言いつつフタを開けて先に飲んで見せれば


訝しがりながらも、大佐も同じように
コーラのフタを開けー





「うどわぁぁぁぁぁ!?」





フタに仕掛けたラムネ菓子が中に落ちて


ものすごい勢いで吹きだしたコーラ
大佐の顔面を直撃しました☆







「やはり私の思った通りじゃないか!!」


「そんな事無いですって〜取り替えろって
言ったの大佐だし 私はそれに応じましたよね?」





笑顔でそう言うと、大佐は言葉に詰まった







…実はフタの所に目立たない穴があって


そこを抑えながら開けないと、中に
ラムネ菓子が入っちゃうんだよね〜







「てゆうかコーラをもろに頭から被っちゃってるし
早く洗った方がいいですよ〜?」





幸い近くにシャワー室がありますし、と
続けながら 私は目でその場所を指す







「まるでこうなる事を始めから想定して
ここで待ち伏せしてたんじゃ…いや、何でもない」





左右に頭を振ってから私を指差し





「とにかく後々言いたい事があるから
ちゃんはそこから動かないように」








大佐はシャワー室へと入っていった









…もちろん賢明な読者さんは 私が
この程度で満足しないのは知ってるよね?





シャワーの水も 途中で赤くなるように
バッチリ仕掛け済みです







唐辛子水にしようかギリギリまで悩んだけど


流石にそこまでは可哀想なんでただの赤い
色水にしておいた私の優しさに拍手!









「…っわぁぁぁぁ!







予想通り聞こえてきた大佐の悲鳴にほくそ笑み





急いで私はその場を離れ、ある場所へと
仕掛けと共に身を隠す







隠れ終えてから間を空けずに


やや乱暴にシャワー室の扉が開けられる





「こんな所まで仕掛けたのかちゃ…!」







慌ててたのか 僅かに赤く染まった
髪の毛のまま出てきた大佐が辺りを見回し





打ち合わせ通り さっきまで私のいた場所に


入れ替わりで佇み 顔を隠すように
新聞を読んでるメガネさんの姿を見つける







よぉロイ、どーしたよ」


「ヒューズか…ちゃんを見なかったか?」


「いやー見てねぇけど?」







新聞を挟んでメガネさんに向けた大佐の視線は
猜疑心に満ち溢れまくってます







本当にか?私の目を見てもう一度言え」


「何だよ気色悪ぃな 友人の言葉に
耳を傾けられなくなっちゃおしまいだぜ?」







普段通りの返答が、余計火に油を注いだのか







「人と話す時は新聞をどけたらどうなんだ!」





怒った大佐がメガネさんから新聞をもぎ取った瞬間







「おぃおぃ 何すんだよ…」


「っわぁぁぁ!?」





その身体に首が無いことを驚いて
大佐が面白いくらいに後ろへ引きました!





けど、まだそれで終わりじゃないよ〜







おーい待てってロ〜イ〜
エリシアちゃんの近況報告聞いてくれよ〜」





ふらりと立ち上がった首なしのメガネさんが
引いた大佐を追い始め





「っくくく来るな!!





大佐はあまりの展開に思考が追いつかず
そのまま後ろへと下がり続けてきます







ふふふふ…そろそろ仕上げの時!









こちらに近づいてきたのを見計らい







「ばあぁぁぁぁぁ!」





潜んでいた偽の壁をぶっ壊しながら
後ろから大佐へ向かって駆け寄った







もちろん、私の姿はさっきと違い


手作りのみょうちきりん怪物マスク
+怪物スーツを着用した


どこから見ても合成獣人間的な格好です!







「うどわあああぁぁぁぁぁぁ!?」







最後の仕掛けが効いて 大佐はものすごく
驚いた顔でその場に尻餅をついた







その姿があまりにも面白すぎて





「「ふ…ふふふふ、はははははは!!」」





私達は つい声に出して笑ってしまった









まだ現状を飲み込めてない大佐へ
すかさず、同時に自分達の顔を晒しながら





「「ドッキリでした〜」」





笑顔と共にいままでの趣向を教えると







「ドッキリ…そうか…ドッキリか…
ふふ…ふふふふ…ははははは……」







ゆっくりと立ち上がって 大佐は


引きつった笑みで両手に発火符を装備…!





「き・さ・ま・らぁぁぁぁぁ!!」


うっひゃ〜!待て待て待てロイっ!!」


「ニャハハ とうとうマジギレしたよー
とにかく逃げるよメガネさん!





火花が飛ぶ直前、急いでその場から逃げ出すと
一拍遅れて 司令部内は戦場と化してた











どうにか無事逃げ仰せて、一息つく





楽しかった〜!メガネさん、協力本当ありがと!」


「いいって事よ けど、派手なイタズラは
程々にしとけよちゃん」





微笑んで、メガネさんは私の頭をクシャッと撫でた







……本来 私はメガネさんよりも
ずーっと年上なんだけどなぁ





でもノリ合うし、こういう"親父"って感じの人も


そんなに嫌いではないかなって 最近は思う








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:最初の短編以来のトンデモ話になりました
てゆかパラワ気味をがソッコでバラすし…


中佐:確かにイタズラ参加はちっと楽しかったが
オレとしてはエリシアちゃんの自慢をだなぁ


大佐:せんでいい!前の時よりも更に
性質が悪くなってるじゃないかっっ!!



狐狗狸:これでも資料を元に加減しましたよ?


中佐:ドッキリは下手すっと単に陰湿なだけ
嫌がらせになっちまうしな


大佐:……今回のちゃんの仕掛けは十分
ドッキリの域を超えてたと思うが?


狐狗狸:下手すると軽犯罪ですので、ドッキリを
仕掛ける方はお気をつけ下さいね


二人:お前が言うか




初・中佐夢なのに捏造展開&オチなしでスイマセン


様 読んでいただいて
ありがとうございました!