「正義」の遂行にハプニングは
付いて回るものでしょ?









〜response less〜








イーストからさほど離れてない町に
私達は賢者の石の情報を探していた







…とは言っても、
私は本当に探すわけに行かないから





適当に聞き込んでごまかし


単独行動ついでに買ったアイスを
なめながら散歩して時間を潰す











「冷える時期にアイスってのも
中々おいし〜モンだねぇ」







カボチャを練りこんだアイスを
堪能しながら当てもなく視線をさまよわせ







少し先の路地に、知った顔を見つけた









すっと背の高いガッチリした体と金髪





私服だけどタバコ咥えてるし間違いない







…でも、ここイーストシティじゃないのに
どうしているのかな?







「おーい タバコさーん?」







ちらりと青い目がこちらを見やって





一瞬 固まってから再び目を逸らす







…あれ?無視ですかぁ?


今のは明らか気付いてたよねぇ









彼の視線の先に注意してみると
ひたすら人相の悪いオッサンが一人







へぇー、なるほどー仕事中かぁ
あのオジサンの尾行ってトコかな?





でぇぇも 知らない中じゃないし
返事くらい返してもいいよねぇ







お姉さんは冷たい子、嫌いだぞ♪









気配を消して背後を取り


足りないリーチはマジックハンドで補い





ちょっと勿体無いけど、食べかけのアイス
タバコさんの背中に投入!





「どわあぁぁぁぁーーっ!!?」


ニャハハ〜!
いーリアクションいただきました!!」





気持ち悪そうに服の後ろを引きながら
タバコさんは首だけをこっちに向ける





何すんだちゃん!いつの間に
後ろに…てゆうか気持ちワル!何入れた!?」


「食べかけのアイス爆弾♪」


「何つーことを!この服気にいってんのに
よりによってアイスのシミ付けるなんて!!」








涙目なその顔をもう少し良く見る為に
彼の前へと回り込む







「仕事熱心すぎだから
少しクールダウンさせてあげたのに〜」


余計なお世話だ!
とにかくちゃんはどっかに行ってて」


「う、うわあああっ 銃だ!?」









遮るように響いた甲高い声に振り返る









さっきのタバコさんの声に驚いてか
立ち止まってたらしいオジサンと


お決まりにも走り回ってたガキが衝突





で、懐から銃がポロリ☆







…ってシチュエーションだね、これ









辺りの人達はオジサンと銃と子供を
取り囲むようにして見ている







子供はすぐさま近くの人込みに紛れ込み


オジサンは足元の銃を拾いあげる







二秒遅れて 野次馬達は悲鳴を上げて
その場から遠ざかり始めた







「バレちゃしょうがねぇ みんな動くな!
近づくヤツは撃つぞォォ!!」






あちこちに銃口を向けながら、


相手はどこかへ逃げようと移動している





「っくそ!」







周囲の被害を恐れてか タバコさんは
その場から下手に動けないようだ







…こっちとしても二人と行動してる以上
事件に巻き込まれるのは避けたい





このままだといずれエド辺り
首突っ込むだろうから


タバコさんには悪いけどさっさと片付けよ









「ねぇタバコさん アイツって
爆弾とか持ってる?」


「いや それはないだろうけど」





それだけ聞ければ多分十分!







コートのポケットに入っていた新作のピンを
引き抜いて オジサンに向けて投げる







足元に転がるそれに気を取られ


アイツの動きが 止まった





「何だコリャ!オモチャか?」


「ニャハッ 逃げないと危ないよぉ〜?」


「こんなチャチなガラクタで何が出来る
なめんじゃねぇクソガキ!!





忠告を無視するように叫び、こちらに
銃が向いた直後





「特製火薬トラップ、発動☆」







狙い通りのタイミングで





オジサンの足元からド派手な火花
炸裂音の連打が襲い掛かった









周りの人は大慌てで飛びのき


本人はモロに喰らって服のあちこちに
焼け焦げを作って暴れまわる





その間 ナイフを抜きつつ一気に距離を詰めて







あづづづづっ!な、何だってん」







、の辺りで手にしてた銃を切り裂きつつ
連続でわき腹に回し蹴りを喰らわす







うつ伏せに倒れたその背中を踏みつつ


ナップザックから出した
ロープでしっかりと縛り付ける





いっちょ上がり!じゃタバコさん
あとはよろしくね〜」


「えぇっ、待てよちゃん…!」











その時は、そのままタバコさんに
オッサン引き渡して退散し


二人と合流したから知らなかったけど







どうやらタバコさんが追ってたのは
過激派テロに武器密売をやってる
売人の男だったらしく





下手に私が捕まえちゃったもんだから
密会現場を押さえられなかったとか







で、タバコさんは三日の謹慎になった









…って言う事を 後になって大佐から聞いた











「あっちゃー…下っ端って辛いね〜」


「全く 困った民間人がいたものだ
そう思わんかねちゃん」







大体のいきさつは本人から聞いてるだろうに
ずいぶんといい性格してるよねぇ





って私が言えた事じゃないか











何にせよ、結果的にタバコさんに迷惑を
かけた負い目がちょっとあるので





一つ励ましの言葉でも と住んでる場所へ
お邪魔してみました













いつもより三割増しの煙で部屋を満たし





タバコさんは、部屋でガックリしてた







「ニャハハ 落ち込んじゃってどしたの?」


「…誰のせいだと思ってるんだっ」


「悪いと思ったからこうして
励ましにきたんじゃん」


ちゃんのせいでこっちは
色々と大変な目にだなぁっ!」








ふぅん 励ましに来た人に
そーいう態度取るんだ〜







「そもそも、一般市民の呼びかけを
無視する方が悪いんじゃないんですか〜」





う、とタバコさんは言葉を詰まらせる





「けどアレは大事な仕事中で」


「それなら、アイスごときで大の大人が
騒ぐなんて見苦しくないですか?」







かなり痛い所を付いたらしく
彼の顔が引き歪む







「っでも 背中にアイス入れられたら誰だって」









尚も食い下がるので 私は笑顔でトドメを刺す







「てゆうか一般市民に簡単に背後に回られて
手柄取られる軍人
ってかなり間抜けだよねぇ」







やっぱりその一言が聞いたのか、





タバコさんはダイレクトに床に倒れた







じわじわと 涙の跡らしきものが広がっていく









「おーい タバコさーん?」







…ヤバイ、ちょっとやり過ぎた





「ゴメンってば、言い過ぎたよ〜キゲン直して」







謝ってみるも反応無し







あーなんか面倒くさくなってきた









「タバコさんだってやれば出来る!ファイトー」





おざなりに励まして帰ろうとした…が







「そんな言葉の一つ二つで励まされるほど
安かねぇぞオレは!!」








叫びながらバネ仕掛けみたく起き上がり





いきおいでタバコさんは私の腕を引き


ベッドに腰掛けつつ自らのヒザに
私を抱えて座らせる





ガキは趣味じゃないんじゃなかったっけ?」


「ヒザに乗っけてグチ付き合ってくれるぐらい
いいじゃねーか減るもんでなし〜!!」








あーあー涙声になっちゃって







いい男なのに、台無しだよねぇホント







「そんなに言うなら付き合うよ」





首を タバコさんの方へと向けて
自由な手で、請求のポーズをとる





「このヒザ乗せ込みで、前払い
しめて200万センズになりますが」


金取んのかよ!?200万って…
しがない軍人にんな大金が出せるか!!」


「えー しょうがないなぁ」







首に手を回して、キスを交わす







少し硬くて タバコの苦味のある唇を
ペロっと小さく舌で舐め







「じゃ、残りは身体で払ってね」







微笑んで見せたら 途端に相手は
真っ赤になって言葉を詰まらす







ちゃん…大人をからかうんじゃない」


「からかってないよ、さ
買い物に付き合ってちょーだい」





ヒザから降りつつ "買い物"を強調すれば、





「え、ああ いいけど…」







やや残念そうにタバコさんはそう言った









「退屈はさせないから
協力してね タバコさん?」


「んー、まあよく分からんが
付き合ってくれんなら協力するわ ちゃん」







新しいタバコを咥えつつ、彼は私と
並んで街路を歩き始めた







その言葉 後悔しないようにね…?













そしてタバコさんはその日一日を





私のイタズラ用品購入ツアーと仕掛け手伝い


効果実証フルコースにお付き合いし







「おーい、大丈夫〜 タバコさーん
まだ試さなきゃなんないの残ってるよ?」


「も…もう勘弁して、ちゃん…」


「だぁーめ♪」







心身ともにボロ雑巾になりましたとさ








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:前の話に引き続き、ハボさんいいトコなし


ハボック:オレに何の恨みがあんだ(泣)


狐狗狸:無いんです…が 夢主がSだから
つい悲惨な方に持っていく性質が


ハボック:捨てちまえそんな性質!


狐狗狸:…ゴメンねハボックさん、次回出せたら
もう少し格好いいシーン増やすから


ハボック:ちゃんとのマトモな絡みってことか?


狐狗狸:あくまで"出せたら"ですが


ハボック:…チクショー!どうせオレなんか!!


狐狗狸:あっ ちょどこ行くんですか!?




イタズラグッズ出過ぎ&ハボさんファンの方
悲惨な感じにしてしまいスイマセンでした


様 読んでいただいて
ありがとうございました!