権力者の行動が「正義」でも悪でも
一番の被害者は 結局民衆









〜第二話 ワケあり炭鉱〜








ユースウェル炭鉱に到着して直後





私達は木材の縁でカヤル君に宿へと
案内してもらいました〜







「えーと一泊二食の二人分ね」


「あ 私の分も入れて三人です〜」





勘定をお会計する宿屋のおばさん(カヤル母でもある)に
さりげな〜く私もお勘定に便乗する







 誰がおごるっつったコラ!





ちぇっ さり気にたかったのにもうバレちゃったよ







「だって私 殆どお金もって無いもん☆
別の街についたらどうにかして稼いで返すからさ〜」


もそう言ってることだし、一緒に
払ってあげようよ兄さん」


「…ちっ しょうがねーな、絶対返せよ?





やさしいアルフォンスの説得もあって エドワード
渋々承諾、イエイ☆







「わーいやった ありがとっ」


「それで、いくら?」





宿屋のおっちゃん(カヤル父でもある)はニッコリと
指を二本突き出して







「20万」





その言葉と同時にエドワードが盛大にずっこけた









「冗談じゃない!」





しかし他の宿に移ろうとすると、おっちゃんが
エドワードの頭をわしづかみにしました







「逃がすか金ヅル」





「諦めなって兄ちゃん達 他の所もこの値段だよ」







カヤルの苦笑とおっちゃんの鬼気迫る表情


諦めたのか、しゃがんで手持ちの金勘定を始める
エドワードとアルフォンス











「…ひょっとして君たちって 新手の
ぼったくりだったりする?」





笑顔を作って 私はカヤルに聞いた





「違うよ、こうでもしないとオレたち生きられないんだ

だから…そのナイフしまってよ姉ちゃん」







カヤルが引きつった顔で私の手元を指差した





いつのまにか愛用のナイフを握ってたみたい〜









「ニャハハごめんごめん サギだったら
バラしちゃおうかと思って☆」





何故か青ざめるカヤルが、視線をそらすように
エドワードたちの方を見た


釣られて私もそっちを向くと しゃがんでる
エドワードの呟きが聞こえた







「…こうなったら錬金術で この石ころを金塊に…」





…金の錬成は違法の一つだって知っててそういうかな


しかも エドワード君かなーり凶悪な顔してます☆







まーでも もしそれがバレたら私だけトンズラすれば
結果オーライ〜









すると、カヤル君 二人の間に座り込んで





「父ちゃん!この客 錬金術師だ!!


「本当か!こんな子供が!?





驚きまくる炭鉱のおっさんたち







「まあそうだよね〜普通こんなちっこいの
錬金術師だなんて分かんないよね☆」


「誰が豆粒ドチビかー!、テメェ
恩をアダで返しやがってーー!!」



「兄さんおちついてっ!!」





率直に感想を述べた私に向かって
飛び掛ってくるエドワードをアルフォンスが抑える


…危なかったーもうちょっと抑えるの遅かったら
つい切り殺してたよ;










それで成り行き上 錬金術師だとわかるや否や
炭鉱のおっちゃんらが壊れた工具を持ち寄って





エドワードが錬金術で ツルハシやら工具を
バシバシ直していく







普通は錬成陣を使うのに エドワードは


両手を合わせたその動作だけで、錬金術を発動させてる









…やっぱり"人柱"の一人なんだな〜とちょっと感心











エドワードの活躍を気に入った宿屋のおっちゃんは
宿賃を負けてくれた







「大まけにまけて10万





…これでも(笑)





「まだ高いよっ!!」







まー払うのエドワードだし、別にいっか〜とか思いつつ
ぼんやりとスープをすすっていたら









「そういや名前聞いてなかったな」


「言ってなかったっけ?エドワード・エルリック





エドワードが名乗った途端に、店内の空気が変わった





「国家錬金術師の?」







そうだけど、と答えるエドワードの食事が
固まった笑みで取り上げられる





「何なんだよ一体!?」





エドワードが不満の声を上げたと同時に







「出てけ」







その一言で 炭鉱の人達にエドワードとアルフォンス
ついでに私まで外に放り出された










「こらー!!オレたちゃ客だぞ!!


かーぺぺぺっ!!軍の犬にくれてやる
メシも寝床も無いわい!!」









……何か ロコツに国家錬金術師とか軍人嫌いみたい





そんな雰囲気を感じ取ってか アルフォンスが
即座に手を上げて







「あ ボクは一般人で〜す、
国家なんたらじゃありませ〜ん」





おー兄貴と共に外で過ごすかと思いきや、


あっさりエドワードを見捨てるとは 中々見所あります(笑)





「ニャハハ 私も私も〜
たまたま列車で一緒だっただけ☆」







ついでに私も便乗 ってか、これは本当だし〜







「おおそうか!よし入れ!」


「裏切り者っ!!アル、!!
お前等覚えてろよ!!!」






悔しそうに叫ぶエドワードを外に残して


私とアルフォンスは 暖かい店内に戻った












「えらい嫌われ様だね」


「そりゃそうだよ ここのみんなは
軍人なんて大っ嫌いだもん」





アルフォンスの呟きに眉をしかめて答えるカヤル





「特にここを統括しているヨキ中尉っていうのが
もー最悪でさ!







そのまま 店内の人達の愚痴に耳を傾けて


大体のことの成り行きは見えてきた





「なるほどね〜自分の土地を切り捨てて 軍人に
擦り寄るクズ人間…どこにでもいるよねーそういうの」


だろー!許せないよなっ 分かってくれるよな
姉ちゃん!!」





意気込んで話すカヤルに頷いて同意する









…私は人間にさほど興味は無いんだけど、特に軍人
大っ嫌いの部類に入るんだな〜


ので、炭鉱のおっちゃんらの意見に全面賛成、みたいな?







ふと 肩を指で突かれてそちらを向くと
アルフォンスが 声を潜めて呟いた









…僕 兄さんに食事を届けてくるね?





私が無言で頷くと


アルフォンスは鎧の巨体に似合わずこっそりと外に出た














…店の中は暖かいし騒がしいけど







豆粒兄貴デカ鎧弟もいなくなったら、流石に退屈だね










……しばらく店内は愚痴っぽい酔っ払いオヤジ
ムードだし、外にでようかなー







そう思って こっそりと外に抜け出した








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:遅ればせながら第二話です
ちょっと原作のやり取りすっ飛ばし気味でスイマセン


エド:のヤロー…誰が豆粒だってぇ
誰がミジンコだってぇ……(怒)


狐狗狸:うっわ まだ気にしてやがりますよこの人


アル:それよりもって 見た目に似合わず
結構過激だね(汗)


エド:やっぱり前科あるんじゃねーの?
ナイフ持ってる辺りかなり怪しいぜ の奴


狐狗狸:…君ら二人には言われたくないだろーなー
特に悪どい顔つきになるエド君には(苦笑)


エド:何だと ケンカ売ってんのか!!(暴)


アル:ちょっと兄さん、暴れないでって!!(慌)




はい 何か長い上に続きます…スイマセン
次はヘタレ最低軍人のあの人出ます(笑)


様 読んでいただきありがとうございました!