12/23日の 家の会話にて





コタツで鍋をつつきながら、
その兄・がまったりと夜を過ごしていた









「兄上 世間では明後日がクリスマスなのだが…
クリスマスとは どういう日なのです?」







はふはふと白菜を頬張りながら が尋ねる







「うん、明後日はね
聖なる人が生まれた日なんだよ」


「誰の誕生日なのです?」





「イエスって言う 男の人だよ」









まさかは、自分のその一言で





が明日 とんでもない行動
起こすなどとは思いもよらなかったに違いない











「クリスマス当日は何故か皆しらける」











「銀時 イエス殿は何処に住んでいるのだ?」


「あ?」







万事屋にやって来て開口一番のの台詞に
耳を指でほじっていた、銀時の動きが止まる







「何だよいきなり つかイエスって…
磔のオッサンに用でもあんのか?
変な宗教に勧誘されてんじゃねーだろーな?」


決まっているだろう イエス殿に
誕生日のぷれぜんとを渡しに行く」


「いや、ちょっと 会話かみ合ってねーんだけど
聞いてる?」







銀時の台詞を無視して が更に詰め寄る







「そんな訳で銀時、イエス殿の住まいを教えてくれ」


「何この子 頭怪我してんの?頭に
手遅れなまでの重傷受けてんの?


いないのそんな人、もう一寸現実を見ろ」


「私はいたってまともだ 兄上にクリスマスは
イエス殿の誕生日だと教わったから
祝いたいんだ、イエス殿を心から」





キラキラと屈託の無い目で見つめる







まともじゃねーじゃん!いいか
イエスは死んだ人なのこの世にいないの、それに
クリスマスは若いガキどもが盛り上がるだけの日なの」







頭を抱えつつ銀時が どうにかの眼を
覚まさせようと説得(?)を試みる所に―









「違うネ クリスマスは
イエスじゃなくてサンタの日アル!





ガラリ、と押入れを開けて神楽が叫んだ









は銀時と神楽を交互に見やり 少し考えた







そして 自分の中で出た結論を口にした







「そうか…サンタがイエス殿だったのか」


「何処をどう理解したらそうなる!?
お前の頭異次元!!?





もサンタにお願いすれば きっと
プレゼントがもらえるヨ」







手早く身支度を整えた神楽が 押入れから出て
の側にやってくる





「神楽 お前が口出すとややこしくなるからしゃべんな」


「いや、私はぷれぜんとを渡しに行くのだが」


「オイ一寸そこのガキ二人
オレの言葉聞いてんのか?







銀時の存在を気にかける事無く二人の会話が続く








「プレゼントを渡すんなら 必ず三倍返しにして貰うネ」


三倍返し?そうすることが常識なのか?」


「テメェら無視か 銀さんはなぁ無視されると
寂しくて死んじまうんだぞこのヤロー!






大音量で怒鳴った銀時に 神楽と
が顔を向けると





『うるさい 黙れ天パ』







期せずして同時にハモった











「おはようござ…って 何やってるんですか?」


「新八ぃ 何とかしてくれこいつ等、手におえねぇよ
この無駄にデカいガキ二人







程なくしてやって来た新八が見た光景は





何やら間違った知識をに披露する神楽と


部屋の隅でヘコミながらジャンプを読む銀時だった













「…サンタ探しにつき合わせてしまって悪いな
銀時、新八」









どこをどう話が捻じれてしまったのか





サンタ=イエス説を信じて疑わない
現実を見せるために 銀時と新八はサンタ探しに
ついて行く事にした







神楽は寒いのか 万事屋でお留守番だ










「テメー一人じゃ おちおちグータラしてらんねーよ」


「まぁまぁ銀さん…それより、本当にサンタを
探しにいくんですか?」







声をひそめた新八に 銀時も同じようにささやく







「いるわきゃねーのに見つけられるわけねーだろ
適当に、赤い服着たそれっぽいの見繕って
イエスじゃねーって納得させときゃOKだよ」


「そんな適当な」









すると、辺りを見ていたが急に目を止めた





「赤い服…あれがサンタか!!」







の視線の先には―


サンタの衣装をまとったヘドロ





思わず駆け寄ろうとした
二人は死力を尽くして押しとどめた







「一寸待て!あれ単なる赤いオッサンだから
服の色しか合ってないから!!





「サンタは赤いオッサンではないのか?」


「いや 確かに赤くてオッサンですけど!!





ならサンタ殿だろう、見たところ
ぷれぜんとの花も持ち歩いているようだし」


「いやいやいや、いやいやいやいやあぁぁぁ!
あれだけはやめろってマジで!!












「…二人とも あの御仁に何かしたのか?」







銀時と新八の決死の説得に 何とかヘドロが
サンタでない事を理解しただが





どうやら二人の態度にいささか納得がいかない模様









「何かしたもナニも アレには絶対近寄らないで下さい
さんだけじゃなく僕らも危うくなります!


「そうそう それにちゃん、世の中には
知らなくてもいい事もあるんだよ〜」







二人の言葉に含まれる異様な恐怖を感じ取り
の顔から汗が一筋流れ出る







「そ、そうかスマヌ…ん あれは…









の言葉に 銀時と新八も
釣られてそちらを見る









「姉上…と 近藤さん?







サンタクロースの格好をした近藤が プレゼントを
片手に持ちつつ、妙に駆け寄ってくる











お妙さーん待ってくださいよ!
ほら、恋人はサンタクロースってギャバッ





台詞の途中で 妙の裏拳が顔面にヒット





「こんな時まで恋人気取ってんじゃねーよゴリラ!」







そのままマウントを取られ 近藤サンタの
サンタの衣装が赤さを増す











「まさか…勲殿が…サンタ?


「よく見ろ、ありゃ単なるストーカーゴリラだ」


「あの、ちょっと二人とも
…止めなくて良いんですかあれ」







新八が懸念する通り、近藤のHPは
限りなく瀕死に近づいていた







「何時ものことだろ ほっとけ、行くぞ」


流石に死ぬからあれだと!
僕止めてきます!!」





たまらず新八がケンカの仲裁へと掛け出した









「…新八も大変だな」


「まぁ シスコンだからな新八は」


「何の機械か分からぬが、意味が違うと思うぞ」


「オメー ラジコンとか考えたろ今」









新八を置いて歩き出した二人の足が、目の前で止まる





向こうの方から 土方と沖田を先頭に
真撰組の面々がやって来た







「おう、テメーらもヒマそうだな 万事屋」


「オメーら程でもねーよ、ゾロゾロゾロゾロ連れだって
連れションにでも行く気かこのヤロー」


「この時期はクリスマスだから巡回中なんだよ
桂もこの辺にいるって情報もあるしな」







道路の真ん中にもかかわらず
銀時と土方は凶悪なメンチを切る









「一応仕事していたのか 瞳孔マヨ殿」


「どういう意味だぁ!」







その一言に土方がをギロリと睨むが
彼女は全くと言っていい程表情を変えない


その様子に眉をしかめつ 土方は銀時に向き直り









「で、テメーらは何してんだよこんなとこで」


「いやこのガキがよぉ、変な幻想を夢見てっから
いっちょ現実を見せとこうと思ってな」


「へぇ、やっぱガキってのは厄介なもんだな
こっちにもメンドイのが…って 総悟?





傍らにいたはずの沖田の姿を探して
土方の視線が しばし辺りを彷徨い







「って事で、しっかり後ろ持てよー」


「了解した 総悟殿」





「って テメー等何処狙ってんだ!!







いつの間にか土方の背後でと沖田が
超特大大筒を、土方の頭に向け


それに対し 土方が不満の声を上げる









「そりゃーまぁ、明日がクリスマスだから
前日を土方さんの命日にしようと」


「良かったな瞳孔マヨ殿、歴史に名を刻めるぞ」





二人とも真顔で親指を力強く立てる





「上等だコラ 歴史の前に
テメーらの命を刻んでやらぁ!」







青筋浮かべながら土方が刀を抜くと


沖田ともそれぞれ
刀と槍を出して戦闘体勢に入る









「一寸あんたら何してんの!?
往来の真ん中で乱闘起こしたらまずいでしょ!!」








何とか争いを収めて戻ってきた新八が間に割って入る







「邪魔するなぃ、こいつぁとオレが
土方さんを葬る為の聖戦だ」


「何が聖戦だ 単なる恨みじゃねーか!」


てゆうか警察が乱闘起こすなっつってんだよ!
さんも止めて下さいよ!さん?」









新八が呼びかけるが、は一点を
見たまま全く動こうとしなくなった







「あれは…サンタだ!





そう呟くと土方との戦闘を無視して
瞬時に槍をしまった


視線の先へとかけていく









「あっオイ、何処行きやがる!!


「ちょっちょっとさん!?





かけられた声もまるきり無視して、
サンタの衣装の者の前で 足を止めた











「む…も銀時と共に来ていたのか」







ケーキ屋の店先に立っていたのは
サンタの格好をした桂だった





銀時も何故か隣にいて 何やら話しこんでいるようだ







 こいつは言うまでもなくサンタじゃねーぞ
てゆーか何やってんだよヅラ


「桂殿…何故、そのような紛らわしい格好を」





ヅラではない桂だ 革命を起こすにも
資金が足りなくてな…クリスマスのバイトをしている」







桂の横にはエリザベスが


『クリスマスにケーキはいかが?』
言う看板を掲げていた









買えねーよ ウチにそんな金あると思ってんのか」


ケーキか…兄上にひとつ買ってゆくか」





ぼやく銀時の隣でが呟く しかし









ー旦那ー どいてねーと怪我するぜィ







沖田の言葉に 瞬時に振り返ったと銀時が
そのまま横っ飛びに桂から離れた







「喰らえ カーツラアァァ!!





どこからともなく出したバズーカを桂に定め
沖田が引き金を引くと、辺りが爆煙に包まれた







煙がまだ治まらぬまま、土方と沖田が中心地へ詰める









「これで年貢の納め時だな 桂!







しかし、収まりかけた煙の向こうには桂の姿なく
代わりに球体のような爆弾が…爆発した








「フン オレがそう簡単に芋侍にやられるか」







いつのまにか建物の屋根に移動していた桂が
見下ろすと、煙の中から土方が上空に現れる





「いいや…今日こそはテメーの命日にしてやらぁ!」


「クリスマス前日だと言うのに しぶとい奴らだ
こい、エリザベス!!







そして屋根の上での桂と真撰組達のチェイスが始まり
彼等はドンドン遠ざかっていった









「…何か オレ、前にもこう言う風景見た気が
すんだけど これってデンジャブーって奴か?」


「銀さん それを言うならデジャブです」


「デジャブは確か どこかの民族が伝えた
舞踊だったよな」


『違ぇよ!どっから得たその知識!!』















その後、新八は妙に連れられて途中で帰り
と銀時だけでサンタ探しは続いたが





結局 サンタを見つけ出せなかった









「…結局 サンタは見つからなかったな
似たものたちは沢山いたが」


「んなもん最初っからいねーんだよ、イエスも
いねーの故人なの もう分かったろ?」







辺りも薄闇に包まれ始め、銀時の言葉に
が寂しげに呟く







「そうか…いないのか……」









うな垂れるの頭を ポン、と銀時が叩いて







「いねー奴を祝おうったって無理に決まってんだろ
元々 いる奴と祝う日なんだよ…
恋人しかり家族しかりよ」





ワシワシと頭を撫でられ が銀時を見上げる







「…そうなのか ありがとう銀と」


「つー訳で、寒くなってきたし 何か暖かいもの
食べたいな〜ボク」









の言葉を遮って、銀時が口調を変えて言う







「は?」


「だからー散々オメーに付き合ってうろついたから
何か甘いもんとかでも奢ってほしいんだよ銀さんは」





先程までのしんみりとしたムードが台無しである









「何だったらちょっと早めのクリスマス
プレゼントでも…ってちゃん?何その槍」







槍を手に構えたまま


は不自然に微笑んだ







「銀時 ちょっと早めのプレゼントとして
お主の名を歴史に刻もう


「いやちょっと、歴史って言うより明日の朝刊に
刻まれるよそれ」


「大丈夫 亡骸は後でターミナルに葬っておく」


ちょっ何言ってんのこの子!やる気満々!?
え ちょマジで振りかぶってね?マテ待て待て」










辺りに しばらく破壊音が響き渡った








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:銀魂でクリスマスネタを書いてみたものの
こんなグダグダなのしか浮かばなかったよ(汗)


銀時:そもそもサンタ=イエスってどういう
頭してたら思い浮かぶんだよ


新八:それより 何でさんはあんなに
イエスを祝う事にこだわってたんです?


狐狗狸:そりゃーまあ 単純に、誕生日だから
お祝いに行きたいって思ったんじゃない?


神楽:私の出番 また前半ぐらいしかないネ!
もっともっと出番増やすネ 私ヒロインアルよ!


狐狗狸:や 確かに出番少なかったのは悪かったけど
一応これ夢小説だから が主役なのよ




とりあえずクリスマスの短編って事で
ある程度のキャラを絡ませてみましたが…


どうせならさっちゃんとか山崎とかも
盛り込みたかったなーと後悔(遅いって)


様 読んでいただきありがとうございました!