「はちょぉぉぉぉ!」





駆け来る伏木の片割れに突進しながら
速度の乗った飛び蹴りを先制でかます神楽


しかし男は槍の柄で防ぎ、逆に上へと流して
神楽を宙へと跳ね


その身を貫かんと槍を上へと構えるも





「よそ見してる場合かぃ!」





続けて距離を詰めた沖田に気付き
伏木の目標がそちらへ切り替わる


が、彼の行動が僅かに早く横薙ぎに
振るわれた刀が男の身体を両断


する直前 それを石突きで叩き落してから





「あなたもですよ?」





もう片方の男も刃を瞬時に沖田へ向け
喉元目掛けて突き出してくる


が、中空から放たれた神楽の弾丸
二人の動きを阻止し


沖田は後ろへ飛び 着地した神楽の側に
並んで伏木達を再び睨む







と同じ技習ってるだけあって
こいつら結構手強いアルな」


「何でぃ、怖気づいてんのかチャイナ」


「ざっけんな誰がこんなキモ野郎にビビるアルか
お前こそさっき私が助けなきゃ串刺しだったろ!」


「それ言うならあそこでオレが仕掛けなきゃ
テメーも同じ立場だったろぃ!」





戦闘中だと言うのも忘れて口論をおっぱじめる
二人を哂いながら、伏木達は挑発を試みる







派のような軟弱な志の槍術
我等の槍術を一緒にしては困りますよお嬢さん」


「それにケンカはよして下さい 遅かれ早かれ
仲良く串刺しになるんですか「こいつと一緒だなんて
まっぴらゴメンね!」



同感でぃ それに流派だなんだって
言う奴等に限って実力ナニも貧相なもんでさぁ」


「私ら串刺しにする前に、お前らの粗末な槍
ナニをブチ折ってやるから覚悟するヨロシ!」





手痛い挑発返しに、伏木二人の表情が引きつった











第九訓 ケンカは殴る方も悪いが
挑発に乗る方だって十分悪い












「手加減してやれば付け上がりおって!」


「我等を愚弄した事を後悔させてくれる!!」


「我等は伏木の兄弟の中でも
最も連携に慣れている二人!!」


息もつかせぬ槍捌き、かわし切れるか!?」







流れるような台詞と共に始まった攻撃は


言うだけあって、怒涛の勢い
連携の取れたシロモノであった







防ぎながらも反撃へと転じる二人だが





攻めだけでなく守りも臨機応変な
フォローを見せる為 兄弟に隙はない







「うがぁぁぁ腹立つアルぅぅぅ!!」







大き目の床穴から剥き出された鉄骨の上で
バランスを取りつつ


横走りする男へ向けて銃を乱射し吼える神楽





少し離れた位置では、沖田が外の風が吹き込む
壁の大穴付近でもう一人と切り結ぶ







「この足場がなんとも言えず厄介だな…」





彼は舌打ちしつつ 予想外の方向から
飛んできた槍をどうにかかわす





「この室内は改築ついでに対人兵器実験
行った為 あちこち穴だらけなんです」

「そいつぁまた派手にやったモンで…っ!





抉れた床穴の一つに足を取られ、僅かに
重心を崩す沖田へ







「もらったぁぁぁ!」







一撃を繰り出さんとした伏木の背後から





もう片割れの体が勢いよくぶつかった







「「「ぎゃあああぁぁぁぁぁ!!」」」







ぶつかった男と、前にいた沖田を巻き込み


三人は鉄骨だけになってるエリアまで吹っ飛び
うち二人は横柱に叩きつけられ





巻き添え食らった沖田は咄嗟に伸ばした手で
鉄骨を掴むことでギリギリで落下を免れ


伏木達が身を起こす前に何とか這い上がる







だぁぁぁ!今落ちかけた、マジ落ちかけた!
なにしやがんでぃチャイナぁぁ!!」


「あー悪い悪い、そっちにキモい面が
見えたからつい一緒にぶっ飛ばしてたアル」





ヘラヘラと笑う神楽に反省の色は見えない





「今のマジむかついた、テメェから先しめる


「いい考えですね 全く非常識なお嬢さんだ」


「でも、それは後ほどあの世でやってください」





復活した二人組の突きを避けながら





沖田と伏木兄弟は刃を閃かせつつ鉄骨エリアから
床のある場所まで戻ってくる







そこから最初のように二人vs二人パターン
攻防戦に切り替わるが







ちょ!お前今私ごと斬ろうとしただろ!!」


「お〜悪ぃなチャイナ こっちも祖チン野郎が
いたんでまとめ斬りしかけたぃ」





先程のお返しとばかりに、神楽もろとも
伏木二人を斬りかかりにかかる沖田





とはいえ 避ける神楽とて再び沖田を
巻き添えにせんと攻撃してたりして


しまいに二人は伏木そっちのけでケンカし始める







「テメッ、やんのかコルァ?


「先におっぱじめたのはテメーだろが」





ヤンキーさながらのガン付け合戦を行う二人へ







「「我等を無視するとはいい度胸ですね!」」





苛立つ伏木兄弟が攻め入って行く







「「あ゛ぁ!?」」





…今この瞬間 伏木兄弟の命運は尽きた







確かに両者のコンビネーションプレイと
足場の悪さは最悪の組み合わせだったが





その悪条件を消し飛ばしてしまうほど


本気でケンカしはじめた沖田と神楽
暴れっぷりはすさまじかった







最強二人のマジゲンカの度合いと攻撃の
矛先は有守流の槍術よりも遥かに読みづらく





「土方より先に死ねぇぇぇチャイナぁぁぁ!」


「ちょ、標的はあっちブルァ!!


「お前が死ねぇぇぇ!」


「串刺しになりなさギャブッファ!!









二人が気が付いた時には 兄弟は仲良く
地べたに倒れ伏していた







「ありゃ…どうやらケンカのドサクサで
あっさり倒したみたいだねぃ」


「マジでか、キッチリぶちのめそうと
思ってたのに…お前のせいアル!」







床には槍の残骸が無残に転がっており


片方は顔をボッコンボッコンにされ
意識をぶっつり失っていたが





幸いにも、残った方は辛うじて意識がある







そんな伏木片割れは 神楽と沖田に
容赦なく襟首掴まれて半身を起こされた







「まだくたばるのは早いアル、お前には
のいる場所まで案内してもらうネ」


「そりゃ旦那達と合流してからだろがぃ」


「わ、分かりました案内いたしま「ただ
と会うまではしっかりと道中
雑魚どもの盾になってもらうぜぃ?」


「お〜そいつぁいい考えアル!
下手なマネしたら…分かってるアルな?







ニタリと笑うドSなお子様二人に
彼は、今日初めての戦慄を味わった













そろそろ最上階へと到着するエレベーター内で
新八は不安を露わに呟いた







「神楽ちゃんと沖田さん…大丈夫ですかね」


「心配すんなって、あのお子様どもは
どっちも腹黒だし上手くやんじゃねぇの?」


「てゆーか銀さん、一番上なんかに
さんがいるんですか?」


あん?知るかよ いたらラッキーだけど」


「ラッキーだけどって、いなかったら
僕ら完全に無駄足じゃないですか!」





ちちち、と指を振って自信ありげに笑う銀時





「言ったろ?大人の話し合いって

悪党は大概最上階にいるから、そいつ
捕まえての居場所吐かせりゃいんだよ」


「話し合いじゃなく脅迫じゃん!
結局行き当たりバッタリかぁぁ!!」



「そーでもねぇよ、この作者三流だし
案外世の中ベタで回ってんだぜ新八ぃ」







世界の片隅で悶える約一名を他所に
二人を乗せたエレベーターは最上階に着く







開いたドアの向こう側には





武器を手にした様々な天人兵と浪人の
分厚そうな人垣がひしめいていた







「うわまたむっさい面子だな、どーせなら全裸の
ミスユニバース軍団で出迎えよこせよ…な!





銀時が目の前の兵を弾き飛ばしたのを皮切りに


エレベーターから飛び出した二人は木刀を
振るいながら人垣を掻き分けて進み


まとい付く軍勢を次々と打ち倒していく





ちょ銀さんんん!結構パない数なんすけど!?」


んなもん雇った奴に言えよ!
とにかく口より先に手と足動かせぇぇぇ!!」







囲い込んでた兵達を千切って投げてブチかまし





「テメェらに用はねぇんだよ!
とっとと親玉かを出しやがれェェ!!」






叫びながらフロア内を駆けずり回って
二人が社長室へとなだれ込む







「んだよ、期待して雑魚張り倒したってのに
もぬけのカラかよ…お、椅子ふっかふか!」


「ちょっ何悠長に椅子座ってんすか!!」


「一番上だけあって景色も絶景だな〜
こっからするションベンは気持ちよさそー」


人の話聞けェェ!それ以前に人としての
ルールは守って頼むからぁぁぁ!!」







立ち上がり 室内と社会の窓を開けよう
する銀時を止めるべく近寄る新八





だが、不埒な動きを止めたのは彼ではなく







「兵隊引き回して社長室乗り込んで
挙句に下劣極まりない行為に及ぶとは…

侵入者としては前代未聞ですよ あなた方」


「しかも私達を無視って、ナメてません?





入り口にようやく現れた伏木の三男と四男の
あからさまな殺気だった







…ついさっきまでのドタバタに彼らもいたが


やたらといる兵隊を銀時がワザと彼らの邪魔に
なるようにぶっ飛ばして


いいようにあしらわれていたようである









「オレぁ小物にゃ用ねぇんだよ

とっとと社長とやら呼んでくんねぇ?」


「アンタ敵地だからって無礼講すぎだぁぁぁ!!」


「「ただで済むと思うなよ貴様らぁぁぁぁ!!」」





青ざめる新八に続いて、伏木兄弟が唱和し
槍を振りかざしながら突進してくる





「おっとぉ!」


「うわわわわわっ!!」





繰り出された単調な刺突を捌いていると







『侵入者ごときにここまで入り込まれるとは
…まったく、兵どもも貴様らも無能揃いよ』





苛立ちをはらんだ声音が、室内に響く







動きを止めた四人の横に位置する
大スクリーンのモニターへ異形の男が映った









膨らんだ楕円形の顔に髪や眉などの体毛は一切なく

象皮のような皮膚は青く 鼻も象さながらに
長く伸びてだらりと下がっている





葉巻を咥えるやや張り出した口からは
所々牙がはみ出


苦虫を噛み潰したような表情が、自然と
相手に威圧感を与える





中背中肉よりはやや恰幅のよい身体を
仕立ての良さそうな服に包んでいるが


袖から出ている腕や首の皮膚は顔同様青い







頭をボリボリ掻きながら、銀時がモニターを
指差し 開口一番こう言った







青くて萎びたチ○コみてーなツラした
アンタが田足とかいうおエラいさん?」


銀さんんん!幾ら親玉っぽいとはいえ
初対面でそれはちょっとどうかと!!」


「だって流石にSWのワ○ーにクリソツって
言ったらこのサイト消されちゃうじゃん」


「ルー○ス敵に回す気かあぁぁぁぁ!!」







しばし呆気に取られていたものの、気を取り直し
渋面を浮かべるモニターの人物は言った







『口の減らぬ侵入者よ、いかにもワシが田足だ
貴様等の目的は分かっている…』


「そいつぁ話が早い じゃ早速の場
『まぁ慌てるな若造』





銀時の言葉を遮り、田足は淡々と言い放つ





『じきに兄妹とは会える…あの世でな








――――――――――――――――――――――
あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:ドSっ子コンビが暴れ放題ながらも
ついに銀さんと田足が対面しました


神楽:まだアイツと決着ついてないネぇぇぇ!


沖田:上等でぃチャイナぁぁぁぁ!


狐狗狸:あとがきで暴れない!あと伏木さんを
武器に使わないであげて!死ぬから!!


銀時:本格的にベタな展開だよなー紅蜘蛛篇
被って来てんじゃねーかよ


狐狗狸:言うなァァ!気にしてんのすんごく!!


新八:それより田足さんの外見、もーちょっと
マシな表記なかったんですか?アレは流石に…


狐狗狸:天人なんだからOKじゃね?
ぶっちゃけると田足兄のビジュアルもSW1の
ボ○・ナ○にクリソツっていう裏設定が


新八:今度こそアメリカ敵に回すぅぅぅ!!




騒がしくなる上階、一方下階にて…


様 読んでいただきありがとうございました!