「ほあたぁぁぁぁぁぁぁ!!」





群れ来る敵を殴って投げて蹴り飛ばしながら
ポンポンと宙を跳ね戦う神楽





適当なガレキや倒した相手の刀を奪っては


襲いかかる連中を片っ端から張り倒す銀時と沖田





続々と集まる兵隊に対し、三人は己の武器が
使えないにも関わらず引けを取らない







「さっさとガスを注入しろ!」





怒鳴りつける七男など知らぬ顔で、場に似合わぬ
涼しげな声で機械から音声が零れる





『注入開始まで、あと5分







兵の数に反し、敵勢力の重火器が圧倒的に
少ない事が彼らの進撃を助けるも





「兄貴だ!あの兄を狙え!!」





命令を受けて周囲がを狙いだし


三人の行動も自然と彼の防御を中心に
ならざるを得なくなる







「くそっピーマン兄貴を狙われちゃキツイぜぃ」


「ピーマンだのお荷物だの…程でなくても
僕だって槍くらい扱えるんですっ!」





いきり立ち、懐から信玄袋を取り出して


中の槍を組み立てるとが突進していく





「やぁぁぁぁぁ!!」







鋭いその一突きは 慌てて屈んだ銀時の頭を
掠めて敵を打ち倒した





「だぁぁぁぁぁぁぁ!?
どこ狙ってんだよお兄ちゃぁぁぁん!!」



「いや…槍って久々に持つから……はぁ…」


「スタミナ切れるの早っ!結局役立ってねぇぇぇ!」











第十四訓 運動不足解消はまず町内の散歩から











味方によってピンチにさらされながらも
彼らの攻撃は留まる事を知らない







「これでは埒が明きません…行くぞ末弟よ」


「了解兄者、テメェら!この女見張っとけ!!





近くにいた兵士二人への監視を任せ
伏木兄弟が戦いの只中へやって来る







「させるか…よっ!





銀時が浪士らしき一人を投げ飛ばすも





伏木兄弟は難なく避けて接近する







「「でぇぇぇぇい!!」」





両者の槍を銀時と沖田が他者の刀にて受け
そのまま辺りを巻き込んだ斬り合いが発展する





「銀さん!沖田さん!」







呼びかけるへ 伏木から目を離さずに
銀時は大きな声で叫んだ







!走れぇぇぇぇぇ!!」









気が付けば、神楽と沖田と銀時のおかげで





へと続く一本道が出来上がっていた







「…は、はい!」







槍を手に駆けて行く、だが





「付け焼刃の剣と田舎剣術で勝とうたって
無駄だ無駄無駄ぁぁぁぁ!!」






刀をへし折り 伏木七男が槍の柄で
思い切り沖田を跳ね飛ばす







「何やってるア…ぐはぁっ!





彼の様子に気を取られた一瞬、七男と
兵士の一人によって神楽も挟み撃ちにされ倒れ付す





「神楽ぁぁぁぁ!テメェらぁぁぁぁ!!」





猛り、眼前の伏木へ斬りつける銀時だが







「正直ここまで強いとは思いませんでしたが
この程度の武器では、勝てませんよ?」





閃いた槍は剣を砕き 彼の胸を割いた







「銀時!!」


「銀さん!皆さん!!」







多数の兵士に囲まれ、ヒザをつく三人へ
声をあげるの間へ





「「諦めなさい、兄妹?」」





伏木兄弟が笑みを湛えて立ちはだかる







「僕は…もう諦めない!最後まで戦う!!







迫り来る伏木達に 振りかぶって
は手にした槍を一点目がけ投げた









『特殊神経ガス、注入開始』





機械は作動し ガスが見る見る内に
カプセルへと流れ込んでゆく







そしての投げた槍は…伏木の遥か横





見当違いの方へと飛んでいった









「おやおや 最後の抵抗がこの程度とは
ガッカリですよ…お兄さん?」





槍の柄によりあっさりと地べたへ倒し


うつ伏せにされた整った顔を、七男が
遠慮なく踏みつける





「有守どころか武術の才の無い貴様が
槍を持った所で、結局は足手まといだったな」







踏みつけられた足の下 か細いながらも
よく通る声で、は呟く





「たしかにあなたの言う通り…僕には
戦う力は無い 足手まといのお荷物だ」





しかしその目は伏木の二人を見ておらず


この状況下でも、絶望に染まってはいない







「だけど戦える人に武器を
渡すくらいは 出来るんですよ」








伏木達が狼狽したようにの視線の先を見る







そこには、片手に槍をしっかと掴む
の姿が








「「き、貴様ぁぁぁ!!」」


「後は頼んだよ……!







兄の言葉に呼応するかのように





痛みをいとわず足を縫う杭を床から
力任せに引き抜いて







「ああああああぁぁぁ!!」





は至近距離からの鋭い突きを
連打で繰り出し自らを抑える者を蹴散らすと


兄の前まで駆け、包囲していた伏木達を
槍の一振りで弾き飛ばした









「兄上っ大丈夫ですか!?」


「あ、いや僕はそんなには…」


「ああぁご尊顔に靴跡が……兄上や仲間達へ
手を出した罪は重いぞ、覚悟するがいい!





睨むを、しかし伏木兄弟はせせら笑うのみ





派最後の一人は、どうやら戦力の差
全く理解されていないようだ…」


「片腕を折られたボロボロの小娘に何が出来る!」







陰険な瞳を掃うように 彼女は石突きで床を叩く







「私達兄妹の事をお主らは失念している
…兄上 しばし持っていてくだされ」





彼が無言で槍を支え、は折れている腕を
掴むと…思い切り上へと持ち上げた







ゴキリ!と折れた時同様の音を響かせ


折れたハズの手が、平然と動き出す





「「なっ…腕が元に戻っただと!?」」


「私も兄上も半身は天人、身体の間接を
操ることなど造作も無「「「らぁ!!」」」





説明の最中、沖田と神楽と銀時の
飛び蹴りにより彼女は床に沈み


息つく間も反論の隙も与えず銀時が
の首根っこ掴んで引きずり起こす





「テッメ、腕プラつかせて折れたとか
描写されてたのはこんなくっだらねぇ
展開にもってかせる為かよ あぁ?


「銀さん!メタ的な発言は読者の人しか
ついて来れないですからぁぁぁ!!」





ガスの立ち込めるカプセル内の新八に
同調するようなの冴えたツッコミ





「仕方なかろう 妙殿と九兵衛殿を助けた後
戻す前に気絶されられ隙が無かった故」


「まぁいいぜぃ、今のくっだらねぇ
やり取りはちっとだけ役に立ったからねぃ」





言う沖田の手には投げたハズの愛刀がある


よく見れば神楽や銀時も、先程のドサクサに
紛れて自分の武器を拾っていたようだ







「そうか…なら私は新八達を助「待ちねぃ
、こいつを持ってけ」



「これも渡しとくアル 割るなヨ





二人が懐から幾つかの瓶を取り出し
その内の無事なモノを二つずつ手渡す





「オィ神楽と沖田君…その妙な液体が
入った瓶は何?何処に持ってた?」


「旦那、こいつが件の解毒剤でさぁ」


「銀ちゃんと合流する前に暴れてた部屋で
見っけたから根こそぎガメてたネ」


「ツッコミはこの際置いといて…乱闘で
全部割れなかったのは不幸中の幸いですね」


「時間が無いから要点だけ言うぞ 十分経つ前に
アイツらをあそこから出して、これ飲ませろ」





大体の意味合いは飲み込めたのか


示された瓶を大事に懐へとしまうと







「了解した」





槍を手に は機械の元へと駆け出す









『くそっ、あいつらを殺せぇぇぇぇぇぇ!!』







機械を守るべく、またを仕留めるべく
命じられて襲いかかる配下どもだが





「行かせるかよっ!!」


!こいつらは私達が食い止めるネ
お前はあのガスタンク止めるアル!!」


「ヘマやらかしたら承知しねぇぜぃ!!」







己の武器を手にした銀時達に薙ぎ倒される







「「ここで朽ちるがいい妹ぉぉぉ!」」





それでもしつこく彼女を狙い、伏木二人が
零れた兵と共に向かっていったが







「邪魔立てするなら、貴様等全てを
地獄へ叩き落してくれる」






肋骨にヒビを入れられ度重なる暴力や
拷問により満身創痍で


片足に杭を貫かれたままの筈の少女が
敵に突きつけた気配―





正に 冷酷な幽鬼と等しきそれ





雑魚だけではなく外道と化した伏木の二人をも
無意識に半歩、退がらせ







彼女が機械へ辿り着かせる決定打となった







「新八!瞳孔マヨ殿!下がっていてくれ!!」





独特の構えを取るに、二人が頷いて
カプセルの壁から離れる







「無駄だ無駄だ!その機械は科学技術の粋
凝らして作られた特注品!!

そんなチンケな槍一つでは傷すらつかんわ!」





せせら笑う伏木の声に答えるように







「ならば見せてくれよう…有守の奥義を…!」







槍の刃が唸り 神速の閃きで空を舞う





ピシピシと、機械に音を立てて入ったヒビが


フィルムの早回しのように瞬間的に
機械全体へと広がって行き―







甲高く打ち付けられた槍の石突きの振動により





一斉に散る花の如く、兵器は粉微塵に粉砕される







機械に連動していた透明のカプセルも
同じようにコナゴナに砕け散り


内部に充満していたガスも
機械に内在していたガス類も全て


センサーにて作動した換気扇に吸われて消える





閉じ込められていた新八達が、体内へ
一定量のガスが蓄積される前に脱出を果たすと







「皆の者 この解毒剤を飲むのだ!」





妙と九兵衛をそれぞれ抱えた二人へ
が懐から解毒剤を出し、投げ渡す







さ…うわっ!


「っぶねぇ!







落としかけながらも両者が解毒剤を
受け取ったのを見て





ゆっくりと、彼女は兄へと向き直った







「兄上…
こんな私でも、仲間を救えましたか?」







無言で頷くに代わり 銀時が
彼の気持ちを代弁する







安心しろ…
お前はちゃあんと侍の魂を持ってる





その一言に嬉しそうに笑み返すと―


襲いかかる激痛と限界を超えた動きの反動で
はその場に倒れこんだ









――――――――――――――――――――――
あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:兄妹活躍と奥義発動、やっと
一番書きたかった見せ場を出せた〜!!


九兵衛:あの奥義はどこで覚えたものなんだ?


狐狗狸:多分、三途でお父さんに直伝かと


神楽:出たネ このサイトお得意のご都合主義


狐狗狸:(無視)高速で叩き出される刺突の
連続によって衝撃が貫通し 巨大なモノでも打ち砕く

…技名はその時の刃の閃きと崩れたシロモノに由来


銀時:よーするに二重の○み百花○乱
混ぜこぜにしたってこったろーが


新八:銀さんんんん!いくらWJだからって
連載終了した有名漫画で例えちゃダメだから!!


妙:けど、腕の展開はちょっとどうかと思ったわ


狐狗狸:えーソレ言うなら解毒薬のくだりも…
すすすすすスイマセン!(ウルトラC土下座)




次回 長きに渡る因果、ついに決着!


様 読んでいただきありがとうございました!