ほ〜し〜の〜ま〜ち〜の〜♪
(特定の年代なら聞き覚えのある絵本用BGM)
よい子の かぶき町絵本
―屁怒絽くんとゆかいな人たち―
サムライの国……この国がそうよばれていたのは
今はむかしの話
いぬい族という天人(あまんと)によって
開国(かいこく)した江戸に、星のむこうから
いろいろな人たちがやって来て
あっという間にたくさんのモノがかわりました
神社だったところにはターミナルがたち
たくさんの宇宙船(ふね)が空をとび
ピンク色のカンバンやお店、お城(しろ)のような
たてものがたくさん出来ました
天人の屁怒絽くんは
そんな にぎやかなまちのお花屋さん
顔はこわいけど、とっても強くて心のやさしい
すてきなすてきな男の子
道を歩いていてこまっているおばあさんがいたら
「大丈夫ですか?よろしければお荷物お持ちし」
「ひぃええぇぇぇ!おおおお構いなくぅぅ!!」
こしが抜けて立てなくなって、ふるえて後ろへ
後ずさる おばあさんを背負おうとしたり
「あのスミマセン、これ、落としましたよ?」
「え゛っ!?あ、あ〜あ…スンマセン
わわわワザワザ届けていただいちゃってハハハ」
マダオがサングラスを落としたならば
ひろって追いかけて 少しにげられたけれど
追いついて手わたしてあげたりします
もちろん、お花屋さんですから毎日
お花にお水をあげるのだってわすれません
そんなある日のこと
まちのどうろで箱をかかえた屁怒絽くんのそばへ
黒いみつあみの女の子がやって来ました
「愛の手ご協力おねがいしまーす」
「あ、こんにちはさん お出かけですか?」
「こんにちは屁怒絽殿、どちらかと言うと
お帰りなのだが…」
あいさつをして ちゃんの緑色の目が
屁怒絽くんのかかえた箱へくぎづけになります
人のあたまくらいの大きさのその箱には
ハッキリした字で赤○募金(あか○ねぼきん)と
書かれていました
「ああこれですか?地球の暮らしも長いので
僕にも何か出来る事はないかと思いまして…それで
団体の方に頼み込んで協力させてもらいまし」
「いや、このアカ○ネ…の後の字が読めなくてな」
「えぇっ!?あの、これ"ボキン"って読むんですよ」
「おお、博識だな…して、ボキンとは何だろうか?」
屁怒絽くんは、募金(ぼきん)について
なにも知らなかったちゃんにおどろきました
「街とかで見かけたりはしなかったんですか!?」
「む…言われてみれば、見たような気もする
すまぬ 私は流行にはとんと疎くて」
「いえ流行と言うわけでは無いですけど…」
色々な人たちに呼びかけたり、お店においた箱に
ほんのちょっとずつお金を入れてもらい
それを一つにあつめるのが目的なのだ、と
屁怒絽くんはおしえてあげました
「なるほど、托鉢のようなものか
…して 金を集めてどうするのだ?」
「恵まれない国の人々への援助や、災害などで
被害を受けた人達の復興のための資金として
役立ててもらうためにお送りするんですよ」
むずかしい言葉はよく分からなかったみたいですが
お兄さん思いのちゃんは、人の役に立つコトも
それを行おうとする人も好きでしたので
"困っている人の力になること"をしている
屁怒絽くんのお手伝いがしたくなりました
「屁怒絽殿、私も手伝いたいのだが
よろしいだろうか?」
「えっ!本当ですか?
ありがとうございます、僕一人だと心細くて…」
屁怒絽くんは満面の笑顔でよろこびました
ちゃんは、無表情(のうめん)だったけど
同じくらいよろこんでいました
まわりでチラチラと見ていた通行人の人たちは
ちょっと固まっていました
さてさて、二人のはじめての募金活動
(ぼきんかつどう)はうまく行くのでしょうか?
……どうでもいいけど"ぼきん"とか
ひらがなで書いたらちょっとヒw(ピー)
「皆様 どうか恵まれない方々のために
ぜひご協力をお願いします」
だれかが通るたび、屁怒絽くんはよくとおる
ひくい声で目の前の人へよびかけます
なぜか足早に通りすぎる人も多いですが
時おり、立ち止まって ふるえながらも
お金を箱へ入れてくれる人もいます
「ありがとうございます」
「い、いえその…屁怒絽さんもたた大変ですね」
「そうでもありませんよ こんな些細な事でも
地球の皆さんの役に立てるならお安いご用ですし
…どうかしましたか新八君?顔色がよくありませんよ」
「あ、元からこの色なんでお構いなくっ!!」
屁怒絽くんからそんなにはなれていない
どうろに立っているちゃんも
そのやり方をマネて、道行く人へ声をかけます
「皆様 どうか恵まれぬ方々のため
ぜひともご助力願えぬだろうか?」
けれど、足を止めてくれる人はいません
「むぅ…中々お主のようには行かぬな」
「うーん…もう少し離れた場所で
声をかけてみたら上手く行くかもしれませんね」
「そうか、それではやってみよう」
「がんばってくださいね」
言われたとおり場所を変えて、同じコトを
行ってみたちゃんですが 上手くいきません
こまったな、とため息をついていたら
「あれ?どうしたのちゃん
何ソレ、ひょっとして募金活動ってヤツ?」
「あ、勲殿 こんにちは」
顔面(ごりらがお)ボコボコの勲くんが
ハナ血をたらしながら話しかけてきました
「屁怒絽殿の手伝いで募金活動をしているので
ご協力いただけたらありがたいのだが」
「な゛っ!?ななな何ぃぃ!!
奴さんついに本格活動し始めたのかぁぁぁ!?」
勲くんが目を思いきりひらいて声をはりあげたので
ちゃんはちょっとビックリしました
「勲殿、何の話かとんと分からぬのだが」
「いいいいいやぁこっちの話さ!ええと
ところで屁怒絽第六天魔王様はどちらに…?」
「屁怒絽殿でいいと思うが…一つ離れた通りで
活動されているのでここからでも見えるはず、ほら」
「…ほ、本当だ」
勲くんは、屁怒絽くんのことを 見た目どおりの
こわいヤツだと思っているので
なんとかこの場からにげたくて仕方ありません
「ところで勲殿、ほんの気持ちだけでいいので
ご協力いただけたらありがたいのだが…」
「え、あ、そうしてあげたいトコなんだけどね
さっきお妙さんとそこで会って、殴られついでに
丸々サイフ取られちゃってさ〜」
玉砕(ストーカー)後の事実(じじつ)を伝えて
ここからの退散(たいさん)をこころみます
「それでは仕方が無いな、呼び止めてすまなんだ」
「こっちこそ力になってあげられずゴメンな
それじゃあオレ、これから仕事あるから」
立ちさろうとした勲くんの、行く先のどうろへ
「ふー撒いたか、全くしつこさだけは一級ひ…」
やねから着地(ちゃくち)した、長いかみの毛の
攘夷志士(てろりすと)小太郎くんがあらわれ
「桂殿、こんn「かっ桂あぁぁぁ!?」
おたがいがおたがいを見つけて おどろいてました
「なっ近藤貴様…まさかオレの行動を予測して
あらかじめここで張っていたと言うのかぁぁ!?」
「ま、まあそー言うこった 運が無かったな!
てことで大人しくお縄につけい桂ぁぁぁ!!」
真撰組(ばか)と攘夷志士(ばか)がどうろで
とてもあぶない戦いをしようとみがまえます
ヤリを出して止めるためにちゃんは
箱をどこかにおこうとしますが間に合いません
二人が一歩足をふみだしたけれど
直前(ちょくぜん)でかけつけた屁怒絽くんが
二人の真ん中のどうろを、拳(こぶし)でなぐり
クレーターをつくって戦いを止めました
「お二人とも、公道で争っては周りの通行人の
ご迷惑になりますよ?それに殺生はいけません」
「「す…スンマセンでした…!」」
正座(せいざ)した二人と屁怒絽くんを見て
ちゃんは、スゴイなぁと思いました
「それでは少し休憩に行ってきますので
僕の募金箱をよろしくお願いします」
「分かり申した、いってらっしゃい屁怒絽殿」
屁怒絽くんからだいじな箱をあずかって
一人で声かけをつづけるちゃんのそばへ
万年天パーの万事屋(かいしょうなし)
銀時くんが近づいて来ました
「本当にいたよ…何やってんの?お前」
「こんにちは、見ての通り募金活動だ
協力してくれぬか?銀時」
「そんな金ねーって知ってんだろがイヤミか?
むしろオレに金を恵んでくれ切実に」
「…そこまで厳しいのか?」
「そーいう目ぇしないでくれる?オレだってなぁ
金さえありゃ募金ぐらいいくらでも」
そこで、よくないコトを思いついた銀時くんは
ニコニコ顔でこう言います
「そうなんだよちゃ〜ん、実は今月
とってもピンチでさぁ 助けてほしいんだよねー」
「もしや、金を貸せと言うつもりでは」
「今度はちゃんと返すって!今までの分に利子
つけてやっから、その分募金すりゃいいだろ?な?」
「……その言葉 誠なのだろうか?」
「まーかせとけって増やすアテはしっかりあるから
上手く稼いで戻ってきてやるよ!オレを信じろ!」
自信マンマンに胸をたたく銀時くんですが
あたまの中はカケごとでおおもうけした
自分のすがたで、いっぱいになっています
だけれど銀時くんを信じちゃったちゃんは
自分のおサイフから お金をわたしてしまいます
「それだけあれば足りるだろうか?」
「おー十分十分、じゃっ ちゃんと後で返し…」
「お待たせしました、ありがとうございます
さ…おや?万事屋さんじゃありませんか」
もどってきた屁怒絽くんのすがたを見て
銀時くんは、お金をにぎりしめて固まりました
「戻られたか屁怒絽殿 どうぞこれを」
「ありがとうございます、本当に助かりました」
箱をうけとって、屁怒絽くんはふしぎそうにたずねます
「…万事屋さん?どうかしましたか?
お金を握り締めてボーっとして」
「え、ああここここの金はーそのぉ…」
ひやアセだらっだらになってあわてた銀時くんは
「そう!募金っすよ も全額入れちゃいます!」
「増やすアテがあるのでh」
「ハハハこの槍ムスメはなーに言ってんの?
銀さんがそんなダメ人間なワケないでしょー!」
手にしたお金を全部箱へおしこんで
それじゃ、とにげだしてしまいました
「こんなたくさん…いい人ですねぇ万事屋さんって」
せつめいが面倒(たいへん)だし、屁怒絽くんを
ガッカリさせたくなかったので
「確かに」 とだけちゃんはこたえました
…けっきょく、その日二人があつめたお金は
箱の半分もありませんでした
けど 二人はとても満足(まんぞく)そうでした
「このお金が地球の皆さんの役に立つといいですね」
「そうだな、本日は誠に勉強になり申した
また機会があれば誘ってもらいたい」
「ええ、次の時もご一緒にこういった活動を
行いましょうね?」
「うぬ 次回はぜひ兄上もお誘いしたいものだ」
ならんで夕ぐれの帰りみちを歩きながら
人から見ると分かりづらいけれども、楽しそうに
笑っていた屁怒絽くんは
となりのちゃんの手を そっとにぎりました
同じように笑ってたちゃんは、大きな手の平に
おどろいて、ちょっとだけほっぺを赤くしてました
―つぎの日、さっそくあつめたお金で
どうろに出来たクレーターがなおされましたとさ
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あとがき(というか楽屋裏)
狐狗狸:ほのぼの童話風ギャグ…のようなもの
ツッコミは本日お休みです
銀時:オチオチ休んでいられっかぁぁぁ!
ルビからちょいちょい悪意みえてるじゃねーかぁぁ!
つーかゴリラの件は完全スルー?!
狐狗狸:説明不要の日常風景ですから
新八:いや姉上普段カツアゲはしてませんから!
あと仕事中だったんですかあの人ぉぉ!?
桂:呆れた職務怠慢だな
銀時:オメーが言うなチョイ役エキストラぁ!
つーか当の本人がなんでここにいねーの?
屁怒絽:あの人なら、サングラスの人と
どこかへ行くのを見かけましたよ?
狐狗狸:わ…ワザワザご親切にどうも…
ボランティアに勤しむ男爵はパステルちっくな
雰囲気が漂えばいいと思います
様 読んでいただきありがとうございました!