地域の催しとして特設会場(屋根アリ)で
開かれた"第一回かぶき町ソーファ大会"は
参加者多数の為 割合大規模な
トーナメント戦となっていたが
前回の話ですっかり大多数が片付けられていた
「勝手に片付けてんじゃないわよ!
折角銀さんと当たって**とか○○とか
楽しめると思ったのにどういう事よ!?」
「アノ判定ヤッパリ納得イキマセーン
ヤリ直シテクダサーイ!!」
「てゆーか新ちゃんヒデェよ!
いきなり股間踏まれたオレを無視だなんて」
「いやオレに至ってはセリフ所か
試合描写すら無かったんだけど!?」
…大勢の野次は無視して話を進めていくが
目当ての優勝賞品・金一封と米一升を
手に入れるべく参加した万事屋トリオの前に
予備知識の無さを見様見真似と持ち前の
柔軟性の高さでカバーすると
禁断の色気を遺憾なく発揮して
色んな意味で相手を"落とす"が
強大な壁として立ち塞がった
「兄妹だけに強大ってか?寒いわぁぁぁ!」
「分かってても口に出さないで下さい銀さん!」
「皆が認めりゃそれが公式ルール」
「例えどれだけデカイ壁だとしても、酢昆布と
米の為なら私乗り越えて見せるヨ!」
意気込んだ神楽が対戦の舞台へと上がり
普段から見慣れた無表情へ傲然と対峙する
「悪いけどこちとら賞品かかってるネ
大人しくここらで退場するアル !」
「悪いがこちらも兄上の為、負けられぬ」
譲れない決意を瞳に灯して
『レッツ ソーファ!』
合図と共に二人の少女が一つのソファーで
押し合いへし合いの攻防戦を繰り広げ始めた
「踊りながら落ちるヨロシ!」
どうにか下へと潜り込んで相手を
揺り落とそうと神楽が腰を動かせば
「させるかっ!」
その僅かなスキマへと身を捻りこんだが
自ら回転しながらグイグイとソファーの外へ
小さな身体を押し出し始める
上に逃れながら"カニばさみ"を駆使しつつ
立場を取り戻し 初孫の体勢へ神楽が入れば
彼女はホールドした腕から逃れながらも
両腕を放射状に伸ばし、ジッと相手の
攻撃を耐え忍んでいる
『おおっと両選手 二世帯住宅のまま
攻防が拮抗し続けております!』
『いやー激しいキャットファイトですねぇ』
実況&武蔵のおっさんのコメントにも熱が入り
時折ひらりと服の生地が捲れ上がって
ほんの短い一時垣間見える
神楽の細くも白い足首や、存外白いの
すらりとした手首が妙に艶かしく
それがまた観衆を沸き立たせ 会場を白熱させる
「いやいやいやおかしくね?普通こー言う展開は
男女とかでやるもんなんじゃねぇの!?」
「銀さん、このサイトでの夢小説…いや
読み物全般に普通を期待するのは間違ってます」
ツッコミ入れつつ仲間を見守る二人の眼差しは
優勝がかかっているからか かなり真剣だったが
同時に、どこか言いようのない後ろめたさも
心の片隅に感じていた
大会が開始されて以来の長丁場となったものの
柔軟性を生かしきったが、効果的に
スキマ産業を繰り出したので
神楽は僅差で敗北を喫してしまった
「くっそー能面星雲ピーマン星人のスキマ技
侮れないネ…銀ちゃん、あとは任せたアル」
「おいおいおいマジかよ!片方だけでも
面倒だってーのに両方残してくなよぉぉ!!」
「落ち着いてください、まだ二人残ってますし
僕らが戦う事になれば何とか希望は」
「ねーよ!外から現れた屈強な軍馬に
ハリボテの捨石馬が勝てるワケあるかぁぁぁ!」
「どんな例え!?
どんだけ僕戦力外認識されてんですか!?」
流石に憤慨し、血管浮かせて叫んだ所で
『志村選手!次の試合が始まりますので
お早く特設舞台へとお越しください!』
「あっ、はーい!」
呼び出しのアナウンスが響き 新八は
はっと我に返って駆け出していく
そしてソファーの前に並んだ相手を見て
メガネの奥のその目がドヨリと曇った
「あら…次のお相手が僕だとは
つくづく運が無いですね、新八君?」
華やかながらも派手過ぎない着流し姿で
長い黒髪を髪留めで上にまとめあげて
悠然と微笑むが
彼にはラスボスの魔王同然に見えてしまった
…この後 攻め・受けどちらのターンであれ
亀 梨くんや金のしゃちほこで健気にも
果敢なる攻撃を凌いでいた新八だが
やはり、彼の仕掛ける歌舞伎町と
そこから生まれた隙を突いての落とし込みに
抗いきれず床へと身を付けてしまった
「は…長谷川さんが何でああなったのか
今なら、分かった気がします」
試合を終えフラフラと二人の前へ戻った
新八の顔つきは、やややつれていた
「大丈夫アルか新八ぃ!傷は浅いヨ!!」
「そんなキッツイの?
そこまでヤバイの?お兄ちゃんの眼付け」
前回の長谷川の燃え尽きぶりと
憔悴している相手とを目の当たりにし
決勝へ進めたにも関わらず危機感を募らせる銀時へ
「気持ちは分かるぞ新八君…あの技は
正直、本気で反則だ」
答えたのは、金髪で青い目をした青年
「そーいえばお前なんで参加してたアルか?」
「知り合いに誘わ…いや俺のことはいいんだ!
今話すべきなのはあの人の事だろう?」
どうやら既に彼はと対戦していたらしい
「預けてあるとはいえ、銃を扱う以上
これでもそれなりに鍛えてはいるんだ」
体力・技術ともに自信もあり
ついでにソーファの知識もあった彼はそれまで
まさに無敵ロードを驀進していたが
「そうですか…でも単純な力押しで
勝てるほど ソーファは甘くありません」
不敵に笑んだ相手の、強烈な技には
歴戦の英雄でさえ一溜まりも無かったようだ
「最早凶器だなあの技は…さんの為に
作られたよーなモンかもしれん」
「つかお前何あっさり負けてんだよ!
そこであの腐れピーマン兄貴落とし込ブルァ!」
瞬発的に繰り出された槍底攻撃が銀時を黙らせる
「兄上の侮辱は許さん」
「「いつの間に!?」」
「たまたま通りかかった故 次は私の番だしな」
淡々と呟き、会釈をするとはそのまま
舞台へと進んでいった
「次誰と戦んだアイツ…オレじゃねーだろな」
不安げに表を確かめれば そこには
まさかの"兄妹が争う一戦"が記されていた
「オイオイオイぃぃ!
ヤベーよこれ確実にお兄ちゃんフラグぅぅぅ!!」
銀時の叫びは、直後に現実へと変わった
受けとして陣取っていた彼女の隙間に入り込み
「…悪いけど僕の為に落ちてくれる?」
「喜んでっ!!」
彼が呟いた途端 間髪入れず即答しながら
すごい勢いでが自ら転落した
『おおっとぉ!?まさかの最速記録更新
「「「その判定意義アリぃぃぃ!!」」」
実況のセリフを遮り、三人は声を張り上げる
「今あからさまに反則やらかしたアル!」
「間違いなく指示してたでしょアンタ!?」
「僕は宣言しただけで指示はしてませんよ…
まあこの速度で落ちたのは驚きましたが」
「だとしてもさっきのはテメーから
落っこちてんだろーが!無効だ無効!!」
その抗議に武蔵っぽい人も納得し
『そうですね…今の一戦は仕切り直しましょう
では位置についてください選手!』
実況は試合再開の号令をかける
だが、彼女はうつ伏せに倒れたまま
ピクリとも動こうとしない
『選手?起き上がらないと失格ですよ?』
再び声をかけても反応が無く、すかさず
スタッフが二人ほど駆け寄って…手を交差
どうやら打ち所が悪く 三途まで落ちた模様
『意識不明により、選手は棄権
よって選手が決勝進出決定!!』
「自ら三途へ行く事によって最後まで
兄貴に尽くす その根性…」
「なんていう執念…、恐ろしい子…!」
「あんたらの思考と表情が恐ろしいわ!
てーか気に入ってるだろそのパターン!!」
しつこくベタフラ&白目セットの二人へ
新八の的確なツッコミが飛んだ
「にしても…最悪な展開になったアルな」
「うん、夢小説的にもね」
頷く二人の目には 覚悟を決めて
決勝へ挑む銀時の背がやや寂しげに見えた
『プレイ ソーファ!』
死の宣告にも等しい掛け声を耳に
「タマついてっからか、細っこい見かけの
割にはしっかり肉ついてんなお兄ちゃんよぉ?」
迅速に勝負を決めようと果敢に攻める銀時だが
「それは僕の…いえ、私の台詞でございますわ」
次の一瞬 見下ろしている相手から強烈な
色気が噴出されていた
口調も緑眼も"仕事用"の状態に化しており
掴まれていた腕さえもしな垂れかかった
どこかいやらしい雰囲気を醸すものに変わって
雰囲気に中てられ対峙した銀時だけでなく
近くで見物していた観衆でさえクラクラ来ていた
「オィィ!これ反則じゃねレフェリー!!」
「直接攻撃を加えたわけではございませんし
許容範囲ですよね、審判の皆様?」
『はい有効です…おじさんはどう思われます?』
『アレは完全に新技…"夜の蝶"とでも名づけ』
「ざけんな色ボケどもがぁぁぁぁ!!」
レフェリーを味方につけながらも色気を武器に
身をくねらせ追い詰めるの猛攻を
巌の一念でしぶとく踏ん張り耐え切って
辛くも銀時は 優勝を収めて賞品を
手にしたのだった
「…真っ白によぉ、再起不能だぜ」
「銀さあぁぁぁぁぁぁぁんんん!?」
……代償に負った傷は圧倒的に深かったが
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あとがき(というか楽屋裏)
狐狗狸:ソーファ話終了です…管理人は生憎実物は
見た事無いですが、やってみると楽しいかと思
銀時:楽しくないわぁぁ!何が哀しくて
年の近い野郎と絡んで、しかもこっちが
貞操の危機を感じなきゃなんねぇわけぇぇ!?
狐狗狸:あの人だから仕方ないんですよ
新八:それで済ますなぁぁぁ!今回のは本気で
ヤバかったですよ色々な意味で!!
神楽:結局"歌舞伎町"って何だったアルか?
狐狗狸:ルールによれば"いやらしく相手を
見つめる"という技で 所により反則と
銀時:アイツが使うのはマジ反則だろ!
キャットファイトと転がり落ちるウチの子と
色気が恐ろしい兄の話でしたね…カオス謝
様 読んでいただきありがとうございました!