お昼の時間にTVで行われたその"新競技"
人々に驚きと笑いをもたらした





恋人同士のじゃれあいから生まれた

バカバカしくも、単純かつ意外と熱中出来る
楽しみがあるその競技はまさに


現代に甦ったツ○スターと言っても過言ではない





『それでは、ここに第一回かぶき町
ソーファ大会を始めたいと宣言します!!』






江戸でも今まさに、バカバカしくも単純な
熱き戦いが繰り広げられようとしていた







ソーファとは公式で定めたソファー
(奥行き70cm幅50cm、高さ35cm、
背もたれ70cmの物)を使用し


攻め(攻)と受け(守)に分かれて

どちらかをソファーから落とすというシロモノ


但しあくまでソファーの上で争う競技であり


外から引き摺り下ろしたり、叩いたり抓ったり
といった反則技は認められていない





なお勝敗の基準として 身体の一部が
床に触れていればその時点で負けとし


攻守入れ替えのワンセットで一戦とまとめ


一勝一敗の場合は、もう一度勝負をして
決めるサドンデス方式だ











「公式ルールは穴が開くまで読め」











なお定められたルール以外のプレイ方法としては


「もうルールいいから早く話始めやがれ」


「いや、ダメでしょ ルールはちゃんと
聞いとかないと後で揉めますから」


「そんなのどーでもいいネ捨石んパチ
私の目には賞金と米しか見えないアルよ!」


「新しい呼び名作んないでくれる!?」





地域の催しとして開かれたこの大会の目玉は

優勝賞品の金一封と米一升





もちろん経営が常時火の車な万事屋には
願っても無いビッグチャンスだった







参加は一人からエントリー出来る為


より確実に賞品ゲットへ焦点を絞るべく

敢えて万事屋三人はバラバラに分かれたのだ


体力に自信のある銀時か神楽が
勝ち残りさえすればよし!という作戦だ







「はーい、皆さん貴重品の類はここに預けて
…ってあなた何預けてんですか!?


「いやこれ俺にとっては貴重品だし…」


「明らか危険物サイドですからこれぇぇ!」





なにやらスタッフと揉めてる金髪の青年も
遠目で見かけ、新八は益々不安を募らせる





「あの人も参加するみたいですよ…本当に
優勝する自信あるんですか?二人とも」


「ふふん、お昼のTVで情報をリサーチして
培った私の技を甘く見ちゃ困るネ!」


「そーとも オレら万事屋で自主連
バッチリしてるもんなー神楽」


「そりゃ日がな一日ゴロゴロしてるって
だけでしょうがこのダメ人間ども!」







…普段からの体力の高さか リサーチから
得た技の賜物かは分からないが







「シブトインダヨ落チロ大食イ娘ェ!」


「テメェが落ちるネ猫耳年増ぁぁぁぁ!!」





下から揺すりをかけるキャサリンの攻撃を耐え
足を足で挟んで神楽が反撃に転じたり







「ああ…人の目がこんなにある中で銀さんと
密着してるなんて…興奮するじゃモギャ!


『坂田選手、ランバダと見せかけて
押し切りもえで相手を落とし込みましたぁぁ!』






参加にかこつけてよからぬ事を目論んでた
さっちゃんを瞬殺したり、と





割合とんとん拍子で万事屋三人は


優勝に向けて次のマスへと勝ち進めていた









「楽勝だな…この調子なら予定通り
オレらが優勝をかっさらえんぜ」


「次辺りどっちかと当たりそうアルなー」


「もし当たったら…悪いが辞退してくれや新八」


「僕が負けるの前提!?」





言葉を交わしながらも次の試合を目にして


三人の目が 目の前の二人に釘付けられた







対戦カードは…vs高屋八兵衛という
予想だにしなかった組み合わせ





「ちょっ…何で参加してんのタカチン!?


思わず上げた叫びに反応し、飛び出た出っ歯が
チャームポイントの彼が新八に気付く





え゛し、新ちゃん!い…いやそのっ
お通ちゃんの新曲CD買う金が無くて…」


『こらそこ!試合前の私語は慎みなさい!』





注意され、渋々口を噤んだ彼はソファーへと
仰向けに身を横たえる





『レッツ ソーファ!』





開始の合図と同時にタカチンは背もたれに
半ばしがみつくような形で鉄壁の構えを取る


ヘン!テメーみてぇな女にオレが負けると」


「すまぬが容赦はせぬ」





しかし彼女は無表情のまま行動に出る





僅かな隙間から柔軟に身を捻りこみ、そこから
寝返りを打つようにして器用に身体を回し


「あ、えっ、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?





まさに開始して30秒持たず

タカチンの身体が頭から床へと叩き落された





「「「早っ!?」」」


『高屋選手 立派なリーゼントごと
自信が叩き落されたぁぁぁ!』



スキマ産業から地下鉄(大江戸線)のコンボ
それとロデオ…いやローリングストーンズ
トリプルプレーが決まり手ですね』


上手いことを口走る実況の隣では

武蔵っぽい人が真剣に技の解説をしていた





どんな技かは…ググッて下さい





「説明投げたぁぁぁ!!」


「くっ…さっきは油断したけど今度は
オレがテメェを引き摺り下ろしてやるぜぇぇ!」







攻守交替の後半戦で、へ覆いかぶさり
先程の雪辱を果そうと奮起するタカチン





だが彼女は眉一つ動かさぬまま


地下鉄技へ移行しようとした相手を見据え

その身体へ腕を回して抱きついた





「ふおぉぉっ!?」





動じぬ様子と抱きつかれた状態に油断した瞬間


再びタカチンの身体は 床に放り出されていた





『ニ連勝により、選手の勝利です!』


『いやー見事な初孫・溺愛・卒業コンボだね』







淡々とした解説を聞き、銀時と神楽の頬に
一筋の汗が伝い落ちる





のヤツ…既にソーファの本質
身に着けてやがる…!」


「才能ってヤツね…恐ろしい子!


「白目剥いて何言っちゃってるのこの人ら!?」





ツッコミを入れている間によろよろと
戻ってきたタカチンが新八の前で倒れこむ





「タカチンんんん、大丈夫!?」


「う…気をつけろ新ちゃん…あのって奴…」


真剣な眼差しに 固唾を呑んで次の言葉を待つ





…が、途端に彼の表情がだらしなく弛んだ





「すげぇやーらかくて い、いいニオイがした…」


技の感触に浸ってニヤつくタカチンの


特に股間を重点的に踏みつけ、淡々とした
顔つきで見下ろしたまま銀時は言う





「この調子じゃ大丈夫そうだな」


「ええ…そうですね」





普段ならば抗議の一つも出る所だが


彼の目があまりに冷たいのと、断末魔を上げ
悶える親友の思考が残念すぎたので


新八はそれ以上 何も言えそうになかった







…そこにウワサの当人が歩み寄ってくる





「何だ、銀時達も参加しておったのか」





次の試合で賑わう人並みを避けながら
やって来た


倒れたタカチンと新八を見比べ


「所で先程お主 この者と言葉を
交わしていたようだが、知り合いか?」


「いえ違います」





メガネを押し上げ、彼は即答しながら


白目を剥き泡を吹く出っ歯リーゼントを

いないものとして無視を決め込む





「いつの間にあんな見事なコンボ
プレーをシコシコ練習してたアルか?」


「すまぬが競技自体、参加して初めて
知ったのだが」


…TVとかで見たんじゃねーの?」


「兄上はご承知やも知れぬが、私は
他の者の動きを見て何となく学んだ故」







平素の無表情を崩さぬ彼女へ 二人は
ベタフラを背負ってまたも白目になった





「この短期間で…技の数々を
自らのものにしただと…!?」



…つくづく、恐ろしい子っ!


「お前らそれが言いたいだけだろ!!」





一通りのリアクションが済んでから

真顔に戻った銀時が訊ねる





「にしてもお前がこーいうのに参加するって
珍しいな やっぱ賞金目当て?


「それ今の僕らです銀さん」


「いや…私だけではない





、と言いたげな三人へ答えるかのように







けたたましいまでの周囲の歓声


『長谷川選手 ここに来てまさかの粘りを
見せられず敗退ぃぃぃ!!』






負けない声量の実況が注がれる相手は


完膚なきまでに燃え尽きた長谷川
ソファーに横たわりながら見つめる





「お前ナニやったのお兄ちゃぁぁぁぁん!!」


思わず口を突いた銀時の咆哮が聞こえたらしく


相手へ届く声量で 彼はにこやかに宣言する





「かぶき町だけに、歌舞伎町を駆使して
他の技のコンボへ軽く繋げただけですが?」





くすりと笑うその瞳に垣間見えたのは


知っている相手から見ても、十分に
飲まれてしまいそうなほど底知れない色気








「おお…流石は兄上!!


さも嬉しげに手を振る彼女を尻目に





「ヤベェ…だけでも厄介だってぇのに
思わぬダークホース出現だよーこれ」





優勝を目指していた三人は、という

強大かつ最大の障害に不安を隠しきれなかった







[本日はココまで!続きは次回に!]


「「「さり気に続かせやがったぁぁぁ!!」」」








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:もちろん今回の元ネタは5月末頃に
某お昼番組でやってた新競技 まんまからです


銀時:遅くね?つーかよりによって絡みが
タカチンってどーいう事!?


狐狗狸:そう言えば出演させた事ないなって
某方の夢小説読みながら思い立ったので


高屋:べっ…別に嬉しくなんかねーぞコノヤロー!


銀時:どこのツンデレトナカイ?


新八:…そう言えばこの話書く最終的な
きっかけも、その人のコメレスですよね?


神楽:屁怒絽男爵の話も火元はそこアルな
ココまで来れば立派なストーカーね


狐狗狸:ストーカーじゃないよ!仮にストーカー
だとしてもストーカーという名の紳士


銀時:黙って補導されてろぉぉぉぉ!!




立ちはだかる最強の兄妹に打ち勝ち
万事屋トリオは賞品ゲット出来るか…!?


様 読んでいただきありがとうございました!