かぶき町は、今日も最高気温が三十度越えをし


エアコンのある屋内でも降り注ぐ熱波に
皆、いささか嫌気が差している





…ましてやエアコンの無い万事屋では





銀時と神楽がソファの上で死んでいた







「あっつぃね…このままじゃ私干乾しになるアル」


「っだー何なんだこのパねぇ暑さは
温暖化か?温暖化のせいなのか?」





日中彼らが動かないのは、夏バテだけでなく





「…銀ちゃんがあんな事しなきゃ、今頃は
アイツやのウチに避難できてたネ」


「あん?テメェも調子んのって食いすぎて
ゲロ吐いたりしたろ おアイコだバカヤロー」





最高の避難所と言える二箇所を失い
もはや外へ出る気力もないからであった







開け放たれた窓からは爽やかな青空と
眩いくらいの日光


そしてダイレクトすぎるセミの合唱が飛び込み


余計暑さと不快感をあおっている











「落ちたアイスの溶ける様は物悲しい」











「セミが羨ましいね…もう私セミになって
飛んで行きたいアル」


「安心しろ オメェは頭がセミ並だ」


「ちょっ二人とも、暑いのは分かりますけど
働きましょうよ!!」





うだうだする生ける屍二つに
割烹着姿の新八が活を入れるも





「ムーリー 銀さん甘いモン補給しないと
もう動く気しない〜」


「私も冷たいモン食べないとやる気でない〜」


「どんだけグータラなんだアンタらぁぁぁ!」





復活しようという意気込みは皆無のようだ







「大体、の奴ァどこまでアイス買いに
行ったんだよ…もう半日は経ったろ?」


「経ってません でも確かに遅いですね…」


「三途は渡っててもいいけど、アイスは
ちゃんと届けて欲しいヨ」


「人命よりアイス優先!?」


「宅配便でーす」


はーい!何か頼んでたかな…?」





呟きつつ新八が玄関へと駆けて行く







「速達なんで判子かサインお願いしまーす」


「うっわぁ…ずいぶん大きな荷物ですね」


「あと、これ送り先から配達代金の
請求書なので 期日までにこの口座へ…」


何ですかその前代未聞な支払方法!
これ本当にウチ宛の荷物ですか!?」







しかし住所は間違いなく万事屋宛てであり


先方へ問い合わせても、送り先に
間違いが無い事が確認され





釈然としないながらも謎の荷物は
居間へと運び込まれたのだった







「しっかしやけにデケェ荷物だな…なんか
微妙に冷たくねぇ?」


「一応危険なものじゃないらしいですけど
何なんでしょうねー中身」


「あーなんかこの箱見てっと、あのバカが
送ってきた大工のオッサン二人を思い出すわ」


「またあんなムサイのだったら速効捨てるネ」


「流石にそうそうあんな事は起こらないでしょ」







ダンボールを剥がし中身を改めた三人は





KC七巻95P五コマ目みたいな顔で硬直した







入っていたのは…無表情でアイスのように
凍りついただった





「ってかよ!」


「カッチンコチンアル、冷やっこいネ」


「いや確かに冷たいけど マズイでしょ
この状態は!早く解凍しましょう!!」


「あーでもコレちょっと涼しくていいな〜」


「夏中このままにしときたいアル〜」


「別の意味で冷たくなるってぇぇぇぇぇ!!」









超至近距離での冷気に幸せを感じる二人を
新八が必死でせっつき


何故か箱の底にあった"解凍取り説"を元に







どうにか手遅れになる前にを解凍した







「間に合ったのはいいけど何で取り説が…」


「スマヌなお主ら、手間をかけた」


「いつもの事だろーが とりあえずテメェ
送った請求書来てたから後で払っとけよ」


「了解した」


「いいのかそれで、というよりさん
どういう経緯でああなったんですか?」


「省かずに説明するアルよ」







しっかり先に釘を刺され、彼女は事の次第を
始めから順を追って語りだす







立ち寄った万事屋で三人(主に銀時と神楽)に


代金そっち持ちのアイスのお使いを頼まれ





一応アイスの種類ともしもの際の連絡先を
書いたメモを新八から渡されて


炎天下の最中 出かけたが…







道中、とある天人の企業が販促の目玉で行う
瞬間冷却機のデモンストレーションのテスト
思わず気を取られてしまい





「ぬぁっ、メモが!」







手をすり抜けたメモの落下先は機械の噴射口前


後先考えずそこに躍り出たは当然
モロに冷凍ガスを浴びてしまい…





あっという間に人間アイスと化したのだ





「うわやべっ、地球人凍らせちまった!」


「落ち着け 解凍すれば間に合うって
しかしデモテスト中に地球人が紛れ込むとは…」


「警察にバレたら営業停止だ、一旦隠せ!」







運び出す間も人間アイスの処遇が交わされる





「しかしコレ どーします?」


「幸い一般用だから、手順さえあれば
解凍は楽だが生憎そんな時間は…」


「なぁここに落ちてたメモの電話番号って
この娘の住所か何かじゃねぇか?」


「したらとりあえず一旦代金立て替えて
一般での解凍方法の取り説と一緒に
この住所送っておくか…」











「…それから意識が途切れ、三途から戻ると
解凍されてここにいたという了見だ」


「なるほど〜キャッチ&リバースアルな!」


「リリースな もう戻すなゲロ吐き娘」







顔を一度しかめてから、銀時はへと
向き直ってこう言った





「まあいいや、復活したならもっかい
アイス買いに行けよ新八と」


「って何で僕も!?
皆で行けばいいじゃないですか!!」


「あん?元はと言えばテメェの渡した
メモのせいで二度手間になったんだろーが!」


「それにに任せ切りだとまた三途に
寄り道するネ!アタイもう待てねぇよ!!」


「だからアンタらのどっちかがついてけよ!」


「「だってダルくて動きたくないもん」」


「結局それかこの人間ナマケモノどもぉぉぉ!!」











文句を言うも連合組んだ多数決と僅かな正論に
勝てず、新八は渋々お使いへ同行するハメに







「スマヌな新八…迷惑をかける」


「もう仕方ないですよ、確かに今回は僕にも
ちょっとばかし責任があるみたいですし」





諦め顔でため息をついてから





「アイスを買って帰るまでの間は
僕がさんを三途に行かせませんから」


「おお、頼もしいな新八」







微笑んで言った一言に、微かな笑みが返った









※ここからはサウンドオンリー
お送りいたします





「オィィ!小説なのにサウンドだけ!?
コレ完全に管理人手抜きだろぉぉォォォ!!」






皆様の想像力でお楽しみくださ


楽しめねぇよぉぉぉぉ!人の話聞いてる!?」





って問答しているうちに…







「うぬぉぉぉぉ!?」


「ってアイス買う前から
早速大ピンチぃぃぃぃぃ!?」






ズザッ ガシャガシャガッシャァァァ…ン!!







「驚いたな、まさか氷の彫刻があんなに
上から降ってくるとは…」


「見とれてないで避けましょうよ!!」









ブオォォォオ〜!

ザバァァン!!

ガガガガガガガ


ザニュザニュザニュ ズシャァァァァ…












「……ありがとうございましたー!」


「やっとアイスが買えた…溶けないうちに
急いで帰りましょうさん」


「そうだな新八…む?」







ピーピーピー、バックシマス
ピーピーピー、バックシマス





「アイス会社のトラック?何か嫌な予感…」







ピーピーピー、バックシmガシャアァァ!!


「やっぱりかぁぁぁぁ!!」





ぐいっ! ガラガラガラゴロ…







「スイマセーン!お怪我は無いですか!?」


「もう本当アイス難の相でも
出てるんですかさんんんんん!!」


「かもしれぬな、しかしお主スゴイな
立て続けにこれだけの動きを見せるとは」


「殆どヤケクソですけどね!」









…とまぁこんな感じでへと襲う数々の
アイス難を、新八は正に獅子奮迅の活躍で排j


分かるかぁァァァァァァ!!
特にアイス買いに行くまでの間の擬音が
説明不足過ぎるだろうがァァァァァ!!!」





あー件の企業の最新ロボが暴走して
瞬間冷却機を手に暴れまわってたのを


アイス化を危惧した新八がぶっ壊したトコ?





「あの部分でそんな大事が!?」









とにかく帰りにもてんこ盛りな災難を
蹴散らし続けた我等が新八君は







「…スマヌな、大丈夫か新八」


「僕の方こそスイマセン…正直三途行き
災難ナメてました」





帰る頃にはに支えられながら、肩で
息をする状態で戻るまで疲弊していた













「ただいま戻ったぞ、遅れてすまなんだ」


「遅っせーよ待ちくたびれたぞテメェら」


「私のアイスはどこアルかぁぁぁぁぁ!」







新八が無言で差し出した袋に素早く手を
突っ込み アイスを取った銀時と神楽は





…一瞬でひしゃげた顔になった







「「溶けてるじゃねぇかぁぁぁぁぁ!!」」


「当たり前だぁぁぁぁぁぁ!!」








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:夏の炎天下で一辺ぶっとんだギャグを
書くぞーと、ノリで行ってしまいました


新八:ベクトル暴走し過ぎだろぉぉぉぉ!
夢小説だってのに何コノ扱い!!


狐狗狸:新八の真価=ツッコミですから、やっぱ
そこを突き詰めていくべきかと思いまして


神楽:私の雪○だいふくダメにして全く…
いっそ二人ともアイスで戻れば良かったネ!


新八:じゃ今度はお前が買いに行けぇぇぇぇ!!


銀時:つーかやっつけで出て来た天人の企業
アレ結局何しにきてたワケ?


狐狗狸:宇宙空間から家庭までに使える
電化商品のセールスで、夏なんでフリーズドライ
中心だったんだと思いますよ?


新八:ホントにやっつけだなオィィィィ!!




笑え…なかったら本当にスイマセンでした!


様 読んでいただきありがとうございました!