「雨、雨、降れ、降れ、兄上を♪
蛇の目でお迎え、嬉しいな♪
兄、兄、上、上、兄上♪」






雨の中 蛇の目傘なんつー古風なもん差しながら


明らかに兄バカ全開な替え歌
唄ってやがるけど…お前、人の目気にしろよちっとは


と、まぁ伝わらねーだろう事を思うオレ







仕事も無くてヒマだし 雨降ってるから
外出たくねーんだけど





新八は寺門通のコンサート行きやがったし


神楽はテレビにかじりついてっし

おまけに定春もオレの頭に噛り付きやがった





「ほんっと身勝手だよなオメーらはよぉ」







頼める奴もいないから、仕方なくジャンプ買いがてら
散歩に出かけた矢先に





見たのが この雨の中


妙に嬉しそうなの姿





…いや 面は能面みてーに変わんねんだが
声っつか雰囲気がこう、


見た感じ浮かれてるってか





何となく方向が一緒だったんで、後ろから
の様子を眺めていると







…げ、向こう側から来んのお妙じゃん!





オレ こないだあの女怒らして
ボコにされたんだよなー


意外に根に持つ奴だし 顔会わさねぇどこ











「腰を落ち着けると傘を忘れやすい」











「あらちゃん、こんばんは」


「妙殿、お仕事ご苦労さまです」


「こんな所までどうしたの?」





は面こそ全く変えねぇが

堂々と胸を張って





「兄上のお迎えに参ったのだ」


「朝早くから偉いわね〜でも、女の子が
一人でこんな時間に出歩いちゃダメよ
男はみんな狼なんだから


オメーが言うな ゴリラ女





兄上は絶対に狼などではないから大丈夫ですぞ」


オメーが言うな ブラコン女





「分かってないわねちゃん
男は皆スケベな事しか考えない生き物なんだから」


「そうだったのか 妙殿」


「そう いつ物陰から変質者が出てきても
戦闘態勢を取れるようにしておきなさい」


案ずる事なかれ それならば私は
いつでも槍を出せますぞ」





だから 仕込み槍は法律違反だろ、オイ!





「偉いわねちゃん 変質者が出たら
遠慮なく相手の小汚い槍もへし折ってやんなさい」





オイオイオイ 何よけーな知識吹き込んでんのおぉ







ああもう注意したい、今すぐ顔出して
色々言ってやりたい…!


しかし今のタイミングでオレが普通に物陰から出ても
の奴に変質者呼ばわりされるじゃ…







てーかアレ?





今のオレの状態を考えてみたらさ





オレこれどっからどーみても
立派にストーカーじゃね?


むしろストーカーじゃね?







…いやいやいや 単にオレはジャンプを
買いに行くだけだから


たまたま方向一緒なだけだから!







でも、今出てったら間違いなく
お妙にボコられるからでられねー…







「おはよう妙ちゃん」





オイオイ…向こうから またややこしい奴が
現れやがったよ





九ちゃん!おはよう、
こんな朝早くに会うなんて奇遇ね」


「僕は最近、足腰の鍛練をするため
朝早くジョギングしてるんだ」





嘘つけぇぇぇ 絶対ぇお妙に会う為だろ!





「君は一体誰だ?」


「人に名前を聞く時は
まず自分から名乗るのが礼儀だ」





バカの一つ覚えじゃねえかあぁ!


お前はヅラか!?
つーか思考パターンヅラと丸かぶりだろ!!






「僕の名前は柳生九兵衛だ、そちらの名は?」


って真面目に答えるなよ!





「丁寧な挨拶いたみいる、と申す」


…君は女の子なのか?」


「あら 二人とも女の子同士
早速仲良くなってるみたいね」


「何と、九兵衛殿は女人なのですか…」







相当驚いてんのか が珍しく
表情を変えて九兵衛を見てやがる





何つーか お互いジロジロと見つめ合う辺り

似たモン同士ってか同類な二人だな





「しかし、凛々しい顔付きに鋭い眼光
 九兵衛殿はかなりの使い手と見受けるが?」


「…君も 武術を心得る者とお見受けする」


「ご明察の通り、有守流を体得しております」


「その名なら僕も耳に覚えがある、
あの独特の槍術を 君のような若い方が…」





そのせいかミョーに会話も弾んでやがるみてーだし







「おや、この人はどなた?」


「兄上!お帰りなさいませ!!」





相変わらず 仕事帰りの兄貴は
男と思えねぇぐらい美人だな


派手な振袖が側にいるモノホンの
女より似合うってどーいうことだよ





…お妙の奴が無言で睨みつけてるのに


そ知らぬ顔して微笑んでる
肝っ玉も見上げたもんだ





兄上?どう見ても女に見えるのだが?」


「九兵衛殿、兄上はワケあって世を忍ぶため
仮初の姿をしておられるが、立派な殿方です」


「え、男なのか?







この二人、キャラカブり気味だろオィ


このまま絡ませ続けると空知に
パクリで訴えられんぞマジで





気をつけなさい九ちゃん、この人は
女装が趣味の変人さんだから」





お前はそういう誤解を生み出す発言
してんじゃねえぇぇぇ!!


嫉妬してんのか、ったくコレだから

女って奴は始末が悪い…







「何だとこるああぁぁぁぁ!!」


うおおおおおぉぉぉい!

何今の!何か石が飛んできたよ!!?






「どうかしたのか 妙ちゃん」


「ううん、何となくあっちの方
石を投げたくなっただけよ?」


複雑な乙女心とは、こういうものなのか…」


 それは間違ってるよ」







…女の勘って恐ろしいな









兄貴と馬があわねぇのか、お妙が
早々とその場を離れようとしていた





「それじゃあ私は 帰るから」


「気をつけて、妙ちゃん
僕は少しさんと話をしてくから」


九兵衛殿 もう少しお話を…」







こいつらは…ファミレスに向かうみてーだな





…いやいや オレには関係ないな、うん


さーて、ジャンプ買いに行くかぁ













「やはり 一度正式に九兵衛殿と
お手合わせをしてみたいものだ」


さんには悪いが 僕は他流派
試合は断る事にしている」


「それは残念だ…銀時にもこの間
手合わせを断られたし、腕が鈍りそうだ


「女の子なんだから はもう少し
大人しくなりなさい」







オレの後ろの席で、あの三人は
ずっとズレた会話をしてやがる





って アレ?


何でオレ ここにいんの?







いやこれはアレだ、うん


最近甘いものが食べたいから来ただけで





それにの奴が万が一暴走したり
した時に止める事も出来て都合がいいしな


決してアイツのストーキングってわけじゃ…







「やはり武術家たるもの どのような武器にも
立ち向かえるよう鍛えるべきだと思う」


「しかし やはり剣と槍では
射程の違いなどからでやり辛いだろう」





の奴 まーだ諦めてねぇのか


兄貴の言う通りもう少しとしての
自覚を持ちやがれ 自覚を







「銀時 お主は私の意見に賛同してくれるよな?」


「バーロォ賛同もクソも
お前の意見はメチャメチャ…」





って、アレ?





「「「え」」」






振り返ったオレも 後ろにいた九兵衛や
の兄貴も目ん玉飛び出さんばかりに驚いた


いや マジだって





「って 何時から気付いてたの!?


「妙殿に会う少し前、雨の日の歌を
歌い歩いていた辺りから」


最初からじゃねーかぁぁぁ!!





「…何故 何も言わなかったんだ?」


「知り合いだし実害も無いと思って
放っておいたのだ」







嬉しさ反面 心配反面ってとこだ





信頼されてんのはいいが、お前
それでいいのか…





「もしもし、真選組ですか?
今 目の前にストーカーが」


「ってテメェ何通報してんの!?


ストーカーの被害にあったんですから
通報するのは市民の義務です」





しれっと答えてんじゃねぇよ!





「まさか まさか銀時が…」







がオレをこれ以上無いほど
真剣に見つめている







だから誤解だって濡れ衣なの!

オレはジャンプを買うつもりだったの!!


お前をストーキングしてたんじゃねぇって
信じてくれよおおぉぉ!!





「兄上をストーキングしていたなんて!!」


「「「…ええええええええ!?」」」


っておいそっちいいいいぃぃ!?







「御用だ!このストーカー野郎!」


「早いなオィ!!」





やってきた近藤…いやゴリラは


無残なほどボロボロだった





「……勲殿、何ゆえボロボロのお姿に?」


「いや何、心配ご無用ですぞさん
これは正義の為の名誉の負傷という奴で」


「良くゆーぜ、どうせ何時もみてぇに
新八の姉ちゃん尾けててボコられたんだろ?」


「Σなっ み、見てたのか!?」


やっぱ図星かよ





「妙ちゃんをストーキングしてただと…?」


「ま、待ってくれオレはその
自主的にお妙さんの警備を」





皆まで言わずにゴリラは九兵衛にボコられる

自業自得って奴だな うん







「さーオレはジャンプを買いにいこっかな」





ドサクサに紛れてその場を立ち去ろうとしたら





「銀時 から逃れるのはよくない」


「そうだ、ちゃんと償った方がいい





と九兵衛の二人に肩をガッチリ掴まれていた







「いやだからオレはジャンプを…」


シャバから出たら 買いに行ってください」





何そのいい笑顔 むかつくんだけど


なぁお前の兄貴一発殴っていいか?









この後 オレは取調べを受けて、
何とか誤解を解いたのだった





やっぱ雨の日に買い物なんて…ろくな事がねぇ








―――――――――――――――――――――
あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:この話は サイトに載せてる長編より
もっと後の未来設定になってます


銀時:未来って、近未来的なもんかオイ
何かやたらめったら飛んだりする?


狐狗狸:いや そんな大層なもんじゃなく
単に原作の柳生篇が終わった直後位


新八:これ餓鬼椿終わった当時の発言じゃ…って
そもそも短編の時期、みんな妙バラついてるし


狐狗狸:コレに限らず 短編の時期は
適当ですよ?


銀時:それよりよぉ、の奴 柳生篇も
現れなかったし 妙に付き合い悪くね?


狐狗狸:それは裏稼業の仕事忙しかったり
兄上とデートしたり用事があったりで出れないだけ


神楽:用事って何アルか?


狐狗狸:お父さんのお墓参りとか




毎度 あり得ないテンション&展開
本当スイマセンでした(どんだけ!?)


様 読んでいただきありがとうございました!