のとある休日の出来事
五時過ぎ−起床、洗顔に食事
朝帰りの兄に挨拶を済ませ外へ
六時−広い所にて槍の稽古
七時近く−稽古を終え、散歩中に揉め事を発見
ものの見事に成敗する
「覚えてやがれーーー!!」
定番の捨て台詞を吐いてチンピラどもが
逃げていくのをため息つきつつ眺める
「まったく、近頃の若者はろくでもないな」
「おはよう、早いのねちゃん」
ニッコリと微笑む妙にペコリと頭を下げる
「おはようございます妙殿、仕事帰りですか?」
「まあそんなとこよ…あら、ちゃん
髪の毛がグチャグチャになってるわよ?」
言われて自分の三つ編みが乱れていることに
気づき あ、と声を上げる
「私が直してあげるわね?」
「お気になさらずとも、後ほど直しますゆえ」
表情は変わらぬが慌てるに
「ダメよ 女の子なんだし、身だしなみは
きちんとしなくっちゃ」
クスリとやわらかく笑い
妙が近づき、の後ろに立った
女性らしい柔らかい手が、乱れた三つ編みを
解いて長い黒髪を梳きなおす
「女同士仲いいと男は何か入り辛い」
「綺麗な髪の毛してるのね うらやましいわ」
「そんな…兄上の足元にすら及ばぬし
妙殿の方が綺麗だ」
「あらそんな、私が太陽のように美しいなんて
本当のことを言ってくれて嬉しいわ」
前半部分を聞き流し、自分の都合のいい感じに
歪曲して聞きながら髪を結っていき
ほどなくして、いつもの三つ編みが出来上がる
「…ありがとうございます 妙殿」
「どういたしまして」
「いやぁ、ちゃんの髪の毛を結ってあげる
お妙さんはまるで聖母のようですなぁ」
音もなく側に立っていた近藤の顔面に
強烈な一発をお見舞いして
笑顔を全く変えぬまま妙が聞く
「あら いつからいやがったんですか?」
鼻血をボタボタ垂らした顔面抑えつ
「いや…あのつい先程 姿を見かけたので」
「だったらその片手のハンディカメラは
なんだゴリラアァァァ!!」
右手にハンディカメラを握り締めたままの
説得力0な近藤へ襲い掛かる妙
七時少し過ぎ−妙のボコりぶりが余りにも
ヒドいため止めに入り、三途の川を渡りかける
八時頃−何とか復活し、通常モードの妙と
別れ 家に帰ることに
(近藤はほったらかしで)
十二時−一時起床した兄と昼食
一時位−昼食を済ませ 何となく万事屋に
外にいた神楽と遊ぶことに
「ダルマさんがころんだあぁぁぁ!
動いたネ!」
「ム、油断した…まさか先程のが陽動とは」
片手で逆立ち&身体を逸らせた状態の
中国雑技団顔負けのポーズでが言う
振り向いた神楽は嬉しそうに笑う
「次はが鬼やるアル!」
「お前ら 何やってんの?」
玄関から下にいる二人を見下ろして銀時が呟いた
「あっ銀ちゃん、今 と二人で
ダルマさんが転んだやってたとこアル」
「どこの国のダルマさんんんんん!?」
「さんのポーズとか明らかいらないでしょ!」
「普通のダルマさんと一緒にしないでほしいネ
これは私が考えた ネオ・ダルマさんアルよ!」
ビシ!と人差し指を突きたてた神楽に
普通に立ち直したがうんうん頷く
「何処がどう違うんだよ」
「点が高いと勝ちだ」
「何で点をつける要素があるんですか!?
それよりそのポーズとの関連性は!!?」
新八のツッコミに神楽とが
途切れ途切れにルールを説明してきた
内容を整理して平たく言うと、
鬼が振り向いた時 どれだけ無茶なポーズで
しのげるかも競技の対象となり
鬼を交代して試合終了した後、
タッチされた・振り返った時動いた回数と
その点数を計算して持ち点が高い方が勝利らしい
「いらねーだろ 何のためにあんだよそんな
しちめんどうくせぇルール!!」
ツッコむ新八に、神楽は侮蔑の視線を向ける
「マンネリ打破の為に決まってんだろーが
新八マジKYアルな」
「お前のがKYだろーが、わかってんのか?」
「テイアイ?」
「どんな聞き間違い!?
何その地下帝国築きそうな名前!!?」
だるまさんの決着をつけたいとごねる神楽に
仕事があるからと説得し
ついでに来るかと訊ねる銀時と新八の誘いを
丁重に断っては家へと戻った
そろそろ二時−またもや稽古
(今度は基礎運動のみ)
三時辺り−稽古を終え 辺りを散策中に
偶然、さっちゃんに遭遇
「ねぇ 銀さんにどんなアプローチが
効果的か一緒に考えてくれない?」
唐突な相談に、は無表情ながらも
少し首をかしげて悩む
「…例えば同じ本を読んでいるとか、
同一の趣味を強調してみるのはどうかと」
さっちゃんは唇に指を当てて
「少女漫画にはよくある手だけど、意外と
効果的かもしれないわね」
言いつつ、いそいそと"やさしい縄縛り講座"
というタイトルの本を懐から出す
「…銀時には縄の趣味は無いと思うぞ
万事屋に縄はないし」
「そういうあなたは何読んでるのよ、」
「私の愛読は 兄上が買ってくれた
この本一つだが」
言いつつが出したのは "人体急所"という
物騒極まりないタイトルのボロ本だった
「あなただって大差ないじゃないのよ」
「むぅ…しかし私は兄上のように
少女漫画を読まぬし実用的なものを」
「あら、これだって十分実用的よ?」
「うーむ、それもそうだな…」
お互いの愛読書を見せつつ
色々アレな会話をしていた二人の前に
「待て待て待てぃ!お前達の愛読書は
根本からなってなーい!!」
叩きを持ち、エプロンを付けた
本屋スタイルの桂が現れた
「あ、桂殿 今回は本屋の仕事か?」
「うむ、この仕事は世の中の情勢を
知るためにも非常に勉強になっていいぞ」
書店の奥のレジに エリザベスが
ぬぼーっと突っ立っている
「それで私達の愛読書がなってないって
どういうことかしら?」
「知れたこと 実用性に目をつけるのは
中々だが、内容が充実しておらず信念も
中途半端だ…だが、しかぁし!」
目をキラリと光らせながら説明し
「オレがお勧めするこの本ならばその全てが
揃っている!ぜひともこの場所で買っていけ!」
"改革のススメ"と書かれたいかにもな本を
二人に勧める桂 だが…
「すまぬ桂殿、私は元々本を読まぬ性質ゆえ」
「いつも使う書店じゃないから遠慮しとくわ」
「あっさり断るなぁぁ!ちょっ本当
ちらっと見ていくだけでもいいからぁぁ!!」
さらりと断る二人にすがりつく桂
「うるさいわねぇ…ん、あれは 銀さん!」
「なにぃ 銀時だと!!」
遠くにいた仕事中の銀時の姿を認めた瞬間
さっちゃんと桂はその場所へと走り出し
ほどなく大騒ぎとなった
「…そろそろ家に戻るか」
それだけ呟くと、は真っ直ぐに
家へと目指した
四時−兄に夕食の買出しを頼まれ、買出しに
五時程−買出しを終え 帰りの通りにて
とある店の前にいる九兵衛を見つける
「九兵衛殿 こんばんは」
はっと気づいたように驚いた顔を向け、
「ああさんか、こんばんは」
表情を幾分か和らげ 九兵衛が挨拶を返す
「こんな場所でどうかされたのか?」
「いや…その…」
口ごもる九兵衛の様子に首を傾げるも
先程、彼女が向けていた視線の先を
追って にもようやく合点がいった
「ああ、そういう事か」
そこには 今の流行に合うきらびやかな
女物の服が飾られたウィンドゥ
「…僕が こういう着物を見ていた事
言わないで欲しい、誰にも」
「九兵衛殿がそう申されるなら言わぬ」
無表情ながらも、少しだけ頬を朱に染め
恥ずかしそうには続ける
「それに…私にもお主の気持ちがわかるのだ」
「さん…」
同志を見つけ 柔らかく微笑む九兵衛
そこに、
「若!一人で着るのが恥ずかしいならば
さんと一緒に着るというのはどうですか!?」
突然の登場で固まる二人にお構いなく
「ちょうどここに二着分、ゴスロリ服が
ありますし さぁさぁさぁさぁ!!」
どこからともなくゴスロリ服を出し
東城が九兵衛とに迫ってきた
二人は瞬時に目線を交わし
無言で東城に
ダブル右ストレートをお見舞いした
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あとがき(というか楽屋裏)
狐狗狸:今更ながら お登勢さんとキャサリンを
混ぜ忘れたなって思いました、あれ 作文?
お妙:枯れかけのご老体や年増の泥棒猫と
見目麗しい私を一緒にしないで欲しいわ
さっちゃん:全くだわ
狐狗狸:恐ろしいことをさらりと言うね
てかさっちゃん、に恋愛相談して平気?
さっちゃん:は銀さんを取り合う上での
ライバルには成り得ないから安全なのよ
神楽:は色気ないしブラコンだからな
狐狗狸:色気に関しては君もまだまだ発展途じょ
ぐふるあぁぁ(殴られ)
神楽:うるさいアル、私だって成長すれば
ごっさ美人になるネ!
狐狗狸:さいですかまぁガンバレ
九兵衛:…さんの槍術はかなり特殊な
動きが多く、目を引くな
狐狗狸:いきなり話題てんか…さすがに武術の心得が
ある九ちゃん 鋭いコメントに惚れ惚れします
お妙:あら、私だって武術の心得くらいはあるわ
九兵衛:そうとも 妙ちゃんも道場の子だ
さっちゃん:甘いわね 私は忍術の心得があるのよ
神楽:さっちゃんのはSMの心得ね
私だって武術の心得の一つや二つあるアルぅ!
狐狗狸:なにこの自慢大会!?てゆうか趣旨がっ
趣旨がわかんないよ!!
…近藤さん 殴られ頻度高くてゴメンね
(ツッコミどころはそこじゃない)
様 読んでいただきありがとうございました!