「そろそろ仕事しねーと今月ヤベーなオィ」





デスクに座りながら 上の空で銀時が呟く





「退屈で仕方ないアル、新八ーちょっと
外で喀血しろヨ」


何で僕!?出来るかそんなことぉぉぉ
てゆうかそれ某漫画のパクリでしょ!!?」


ソファでごろつく神楽の台詞に、

手持ち無沙汰で掃除してた新八がツッコむ





「血を吐きながら万事屋のアピールしてこいヨ」


「いやそれアピール所かみんな引くって!」


「聞いた事ねーよ そんなR18指定のアピール
どこで覚えたんだよ…ったく」







ぼやきにかぶせるように玄関から戸を叩く音がして
みんなの視線が玄関の方に向く





「誰かいるだろうか?」


「あ、さん 今開けまーす」





新八が玄関に駆け寄って戸を開け…一歩身を引いた





「ひいいいいいいぃぃ!!」


「うるさいアル黙れ新ぱ…すっすすすすすす
スプラッタアァァァァァ!?


「なんだようるせーぞお前ら、ホラー映画じゃ
あるめーしはた迷惑な叫び声…」


神楽に続き、銀時もひょいっと顔を出して





「何アレ ちょっ真っ赤っかなんですけど
ちゃあぁぁぁぁぁん!?」



一際大きな叫び声をあげた







玄関から入ってきたは、どこぞの
ホラー映画さながらに血塗れだった

てゆうか、むしろ血染まりだった


作務衣の上の部分がもう血でアートみたくなっている





「スマヌ…あがらせてもらうぞ」


荒い息をつきながら、律儀に履物を脱ぎ
廊下を歩く





「う、うわわ 廊下に血がっ…じゃなかった
さん大丈夫なんですか、ちょっと!?」


 どうしたアルか、もしかして
万事屋のアピールのために」


台詞の途中で神楽は銀時に頭を叩かれる


「そんなワケあるかよ!
てーか何で血だらけなんだよ!?」





は答えず、部屋にある電話機のそばまで
辿り着くと 受話器を手にして





「…電話 借りるぞ」


「いいけど、何処にかける気なんだよ」





銀時の問いかけを無視し 無言で番号を
指定し、繋がるのを待つ





「…救急車にかけてるんですかね?」


あいつにそんな常識ねーだろ、絶対
ヤバイ仕事絡みだって まずいなー」


「銀ちゃん いざとなったら
窓から捨てて知らんプリね」


「だな、オレらは何も知らない関係ない」


「あんたら人として最低だな!」







小声でそんなやり取りをする中、


電話が繋がったのか の表情が変わる





もしもし兄上、今から家に帰ります…
心配は無用です…買い物に行かれるのですか?」





普段よりも明るめな声で会話を交わし


静かに受話器を置いた…その瞬間





       「「「紛らわしいんじゃあぁぁぁ!!」」」


銀時と新八と神楽 三人のトリプル跳び蹴りが
見事にへとヒットした





床に倒れ…さは表情を変えず身を起こす





兄上に至急報告を、と電話を探していた
だけなのにヒドイではないか」


「何で電話探してて血塗れ!?


「これは途中で柄の悪い輩に絡まれたからで」


どんな探し方!?いや、それより
その血を何とかしてください怖いんで!!」





頷いて、新八に歩み寄ろうとしたから
余計出血が激しくなった


原因は 背後から頭をかじる定春だ


「やめろ定春ぅぅ!血塗れだけど
エサじゃねーからそれ!神楽 止めさせろ!」


「定春に悪気はないネ!
単ににじゃれてるだけアル!」


「悪気なかろうと あれにじゃれられて
平気なのはお前だけだっつーの!」


「てゆうか早くさん助けましょうよ!
もうなんかボロ雑巾みたいになってますよ!?」





は定春の定春に噛まれつづけて流血し
既に意識がもうろうとしていた











「携帯は通話よりも他の機能が充実してる」











「…助かった、危うく三途の川を渡るところだった」







三人はなんとか定春を止め、
は一命を取り留めた





「シャレになってねーっつの、今のは」


「タオルを用意したんで 向こうで
顔とかの血だけでも落としてきてください」


「了解した 洗い場をお借りする」


「待つアルよ





そのまま洗面所へと向かう
神楽が止め、新八に突っかかる





「気が利かないアルなー新八 こう言う時
黙ってシャワーを貸すのが男ね」


「いやでも そしたら服どうするのさ」


「余ってる部屋着、適当に貸せヨ」


「おーい ここの家主オレなんだけどぉ?
そんなら服、お前が貸せぇぇぇぇ!」





神楽の勝手な言い分に銀時が口を挟み

流れで三人が言い合いを始める







じっとしていたが口を開く





「…私は別にこのままでも構わぬが」


『いいわけねぇだろ!!』


彼女の遠慮(一応)は速攻で猛反対された









話し合いの結果、シャワーを貸すことになり





下着は自前・替えの服は神楽のを拝借という
形で落ち着く事になった








「服まで借りてしまってすまぬ」





どことなく功夫の衣装を思わせる上下は
に違和感無くしっくりきていた





「まぁ仕方ないですよ、着てた服は
もって帰って 早めに洗ってくださいね」


言う新八の頬は、少々赤い





「わざわざ私の服を貸したんだから
感謝するアルよ」


「無論だ、神楽には本当に
ありがたいと思っている」


お礼を言われて、神楽は
まんざらでもない顔をする







上から下までじろじろ見回して銀時が一言





ーお前、服替えても 胸と色気ねぇな


「何処見てんですか銀さん、さり気に
セクハラですよそれ!」


「気を落しちゃダメアル
女は胸や色気だけで勝負決まらないネ」


「何の勝負だぁ!
神楽ちゃんも余計なこと言わない!!」


「いや、亡き父上が言うには
"戦いはへそでするもの"と」


「お前変身して戦うのかよ!?
パクリな上にネタ古ぃんだよ!!」








…少し話が脱線するも、ようやく本題に戻る





「電話ならババァんとこでも借りれんだろ
何でわざわざ万事屋きたんだよ?」


「それが、お主の言う通りお登勢殿の所で
借りようと頼んだが 壊れていてな」







彼女の言う通り、下のスナックお登勢の
電話機は昨日から調子が悪く





頼んだ時には修理に出したばかりで断られ


ついでにキャサリンとケンカになったらしい
(それで血塗れ度合いがひどくなったとか)







「そもそもさん、携帯とか
持ってないんですか?」


「からくりは苦手なのだ
扱いがわからぬし、よく壊れるし…」





チッチッチ、と神楽が指を振る





「いまどきケータイもってないなんて
遅れてるアル」


「そうなのだろうか?」


「今はみーんなベンリで新しいケータイを
標準装備ネ なっ新八ー?」


「まあ、持ってた方が一々電話探して
うろつかなくてすむしいいと思うけどさ」


我が意を得たり、と言う顔で神楽が
の腕を掴んで拳を振り上げる





「そんなわけで一緒にケータイ選びに
いくアルヨ 、銀ちゃん!」



「いかねーよつか金ねーよ」


「銀ちゃんわかってないアル、や私
みたいなギャルにケータイは欠かせないネ」


「お前がほしいだけだろうがそれ」





バカバカしい、と言い放ち
やさぐれた物腰で銀時は続ける





「今時の携帯は、やれ音楽だ財布だっつーが
肝心の通話が使いづらくて意味あんのか?」


「確かに携帯は他の機能が充実しすぎて
本質の通話機能はないがしろですよね」


「だろ?あんなもん電話じゃねーよ
ガキのオモチャだよ」





うんうん、と頷く新八に銀時が賛同し
神楽が渋い顔をする


「新八、お前どっちの味方アル!」


「だって僕 元々PHS派だもん
電話の繋がりとか結構いいし安いし」


「よくわからぬが、携帯も色々あるのだな」







とりあえず納得している所 新八が
ニコニコ笑いながらに話しかける





さん、もし携帯とかPHS買ったら
番号教え合いません?その方が色々と便利ですし」


「ふむ それもそうだな」







新八が一瞬 人の良い笑みに黒いもの
滲ませた事に、は全く気付かない





今から一緒にケータイ買って
一緒に朝までメール合戦するアルよ!」


負けじと神楽が掴んだ腕に絡み付いて
にせがむ





「神楽ちゃーん それ銀さんが携帯買うの
前提で話してるよね!?」






銀時の抗議はオール無視された







「大体 新八お前、通話より
アイドルの写真撮る気ダロこのエロメガネ!」


写真撮って何が悪いのさ!
神楽ちゃんだってメールだけでしょ!?」


「メールだけじゃないアル、
サブちゃんの着メロお揃いにするもんね〜」



「そんな渋い着メロねぇよ!
今 もっともホットなのはお通ちゃんなの!」






段々論点がずれている事に気付かぬまま
新八と神楽はお互い張り合っている


それはもう火花散る激しい口論だ







「…携帯の事は追々考える事にして
兄上に頼まれた買い物に行きたいのだが」





神楽から腕をするりと引き抜いた
の呟きが全く聞こえていない程









ため息を一つついて 銀時がの腕を引く





 ガキ二人はほっといて、買い物行くぞ」


「え…あ、うぬ」





少し戸惑いながらも は銀時と
一緒に買い物へ出かけた











大分時間が経ってから、神楽と新八は気付く





「アレ?がいないアル」


「銀さんもいないし…まさか僕らに
何も言わず二人で出かけたとか!?」


「きっと二人でケータイ選ぶ気アル!
くっそぉぉテメェのせいだ新八ィィィ!!


「なんで僕!?」





神楽の怒りの矛先は新八に向けられた











買い物の道中、は隣にいる銀時に問う





「本当に新八と神楽を万事屋に置いてきて
よかったのか?」


「…んー 大丈夫だろ多分」





どうでもよさそうな返事が返る





現在、神楽の八つ当たり攻撃で新八が
ホラー映画さながらに血だらけだが







「銀時、やはり兄上やみんなのために
私は携帯を買うべきだろうか?」


「どーでもいいよ買いたきゃ買え、オレには
関係ねーし お前のブラコン変わんねぇだろ」





ぺしぺし、の頭を叩く銀時





「しかし…」


「そんな不安ならよぉ」





不安そうなの言葉に


銀時は叩いていたその手で、頭を撫でて呟いた





万事屋の電話番だけ覚えとけよ、銀さん
いつでも力になるからよ…金と仕事次第で」







撫でられながら、は納得したように
少し嬉しげに微笑んだ





「うむ、わかった」








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:年明けてようやく書いた銀魂話です!


銀時:遅ぇよ、もう20日過ぎてんぞ


新八:しかもなんですかこのグダグダっぷり!
お兄さんは携帯持ってるのに何でさんはないの


狐狗狸:からくり苦手なのと、すぐ無くす&壊すから
だから仕事帰りの兄携帯への報告は電話探しから


新八:なにそのアナログさ!?


神楽:てゆうか二人だけで買い物行くなんて
不潔アル!ズルイアル 酢昆布5箱買ってこい!!


狐狗狸:最後パシリになってるよ神楽ちゃん


銀時:あーあー、万事屋戻りたくねー


狐狗狸:神楽の八つ当たりで新八も室内も
エラい事になってるしね(笑)


新八:なんで僕だけ日和見な上 被害者!?


狐狗狸:…損な役割ばっかでゴメン




血塗れの服、後でちゃんと持って帰ります
そして後日借りた服も洗って返(聞いてねぇ)


様 読んでいただきありがとうございました!