「選べ、菓子かイタズラか」





厠を出たら典型的幽霊なカッコのがいた


正直シャレにならなさすぎてちょっとビビった





アレ?こんなんいつぞやのハロウィンでもやったぞ


いつか来るとは思ってたが管理人の野郎
とうとうネタが尽きて展開丸ごと焼き直しに


選べ 菓子か、イタズラか」


「…何が始まるんです?」


「ハロウィンだ」







いたって真っ当にそう答えくさったので





額に手を当て、ひとつばかり唸ってから


オレはいつかのように挨拶もなく
不本侵入しやがったであろう能面娘を叩く





「どんだけ殺伐とした訊ね方してんだよ
そーいうのはあざとーくカワイコぶった声出して
"お菓子くれなきゃイタズラしちゃうぞ☆"って」


「気色が悪いぞ銀時」





ムカついたのでもういっぺんドタマにチョップ





「痛いではないか」


口は災いの元って知ってるか?てゆうか
どういう了見で菓子せびりに来たわけ?」


「神楽と晴太に誘われて」


「誘われたって…仮装にか?」


「うぬ、この間二人に頼まれて当日決行と」





今朝から何かゴソゴソやってると思ったら


アイツ合法的に菓子せびりに行きやがったぁぁぁ


何でオレに声かけねぇでや晴太は
しっかり仲間に入れてんだァァァァ!!

別に参加する気なんかねぇけどな!!





「選んでもらいたい、菓子かイタズラか」


あん?やれるもんならイタズラしてみやがれ」


菓子なんかこっちが欲しいわ!むしろ寄越せ!











「ルールを守れば楽しくハロウィン!」











ヤケクソで答えたら、この白装束娘は
無表情で首かしげやがった





「…何をすればよいのだ?皆目分からぬ」


「そこは考えとけよ!」


「大まかなやり方しか知らぬのだ
関わった記憶も、一度きりゆえ」





ああ〜どこぞのドS皇子にメイドコスさせられて
街中走り回らされたアレね


オマケに盗撮までされて写真売られてたもんなぁ


そりゃーあんまり積極的にハロウィン
やろうとは思わねぇ…アレ?





「じゃ何でハロウィン参加してんだよ」


「二人にどうしても、と頼まれては断れん」





微妙に目ぇそらしやがった…何か隠してんな?





だがこのバカ娘はヘンなトコで律儀っつーか
頑固だから聞いて白状するかどうか





「やはりカボチャを投げた方が」


アレは参考にするんじゃねぇ」


「それは助かる、食物を粗末にはしたくない」


「その優しさをオレにも分けてくんない?」





……正直ガキか管理人(ヘンジン)ぐらいしか
喜ばねぇイベントに参加する気はなかった





が、ハブにされたのは心底納得いかねぇし


この能面ピーマンが何を隠してるか気になる





「よーし、オレが本当のハロウィンってヤツを
教えてやろうじゃねぇの」


「真か!」









を予定通り丸め込んだ所で


まずは世間の流れなんぞお構いなしに
普段通りに店の準備してるババアへ





「「トリック・オア・トリート!」」


「アンタらもか…って何だいそのカッコ!





流石にあの幽霊ルックは笑えねぇから
着替えさせちゃいるが、それでも効果はテキメンだ





「銀時から巷ではこの姿が流行りと教わった」


様が着ているのは"軍艦これくしょん"
呼ばれるゲームの制服ですね」


「男連中ニ媚ビル気満々デスネ」


「にしちゃー余計な被りもんがあるけどねぇ」


「軍艦っつったらコレだろ、てーか四の五の言わず
菓子寄越せイタズラすんぞ妖怪ババア」


やれるもんならやってみな!大体菓子より先に
こっちが家賃払って欲しいくらいさね」





ほーそう来やがったか、じゃ仕方ねぇ





「よーしお許しが出たぞ、好きにやれ」


「…すまぬ お登勢殿」


カチリとヒモが引かれ ヘッドに装着された
艦首部分の筒が青白く輝き





ビームよろしく醤油が発射された


「オ登勢サァァァァン!?」







ババアどもの悲鳴を背に、次に攻めるは志村家





あら〜カワイイカッコねちゃん!」


「た、妙殿…苦しい…」





思った通り、お妙は食いついてきやがった





「確かにカワイイですけど、頭にかぶった
ヤ○トの砲台で台無しですよね?」


「そうねぇ…思い切ってコレ外しましょっか」


「レイヤーに手を触れるんじゃない
触りたきゃ金払え」


お触りパブかよ!?てゆうかどこの世界に
波動砲頭に装着した艦むすがいるんですか!!」


「どうせ元ネタは一緒だろぱっつぁん?
それに波動砲は男のロマンだ」





珍しく、抱きしめられて照れてた


ウットリしてるお妙から菓子もせびれたんで
結果としちゃ上々だ





…ガード下がってるから行けるかと思ったが


ハー○ンだけはきっちり死守してやがった
チッ、さすがに抜け目がねぇ









道すがら真選組の門前冷やかしに行ったら


マヨとヤニの化身(笑)が油売って


「おい人聞きの悪いこと抜かすんじゃねぇ
テメェらヒマ人と違って仕事帰りだ」


「そいつぁご苦労様で、仕事熱心な警察なら
菓子の一つや二つ常備しとくべきだろぉ?
無いなら誠意として土下座しろよ土・下・座


「ならオレもテメェに訪ねてやろうか
この場と岡場所どっちで死にてぇ?





めでたく次のカモが決まったので
実行部隊(ただし一人)へ命令を下す





「そんじゃ次はイタズラの内容を
自分で考えてやってみ?見ててやるから」


「ほーやってみろ公務執行妨害に特典つけて
ブタ箱にブチこまれてぇならな」


「分かり申した」





するとは道端から石をあちこち拾ってきて





門の側に屈んで、無表情で一個一個積み始めた





「賽の河原方式!?」


地味に怖ぇよ!呪いでもかける気か
今すぐ止めろシャレになんねぇ!!」


「しばし待て、この間三途のほとりにて
建てられてた城を再現するゆえ」


「「建ててたヤツ無駄に器用ぅぅぅ!!」」







この後バズーカでぶっ飛ばされた積石
名残惜しそうに眺めるバカ娘を引きずって


予定通り、アイツん家へと駆けこむ





今さっきね、神楽も来てたんだよ!
はいコレにもあげるね」


「かたじけない…その黒衣 可愛らしいな」


「似合ってるわよね〜魔女っ子衣装
ちゃんのもカワイイわ、頭のヤツ以外は」





おーおー女同士が揃うとランクの違いが
明確に現れて残酷なもんだ





「おーいオレの分の菓子は?」


「いい大人がアイツをダシに集ろうとすんなよ
そもそも何で公 国軍のコスプレしてんだ」


「あん?タダの軍服じゃねぇんだよ
よーく見ろ、コン○コン少将だ」


「文字だけで分かるかそんなモン!!」







多少ゴネられはしたがバカップル共からも
きっちりいただくモンはいただいて





オカマやら幾松っちゃんトコやら
鉄子んトコやらとっかえひっかえ


次々に知り合いを訪ねちゃー


収穫とイタズラの成果を上げていった







「いやーハロウィンっていいもんだな」


「…そうか?私には分からぬ」





しけたツラしてんじゃねぇよ


せっかくのヒマつぶしが台無…もとい
楽しいハロウィンが台無しになんだろ?





ホント、コイツが訪ねてきてくれてよかったぜ


何だかんだで甘いヤツらから小娘をエサ
多めに菓子巻き上げられるし


イタズラを肩代わりしてくれるから
オレへの恨みは分割されっし





…波動砲ヘッドギアのおかげでスカートと
絶対領域、ついでにふくらはぎも堪能できるし





あーもう隠し事なんかどうだっていいな


あとは金払いのよさげなトコで楽しんだら
適当に団子でも一本おごってやるか







なんて考えながらふらついてたら


安っぽいマントつけた吸血鬼もどきの晴太と
包帯巻きつけてるだけのミイラ神楽に出くわす





あれ?銀ちゃんも参加してるアルか?」


「正しいハロウィンの楽しみ方を
教授してもらっている」


「それ…騙されてない?姉なんか
疲れてるみたいに見えるし」


「逆に銀ちゃんは両手に菓子抱えてて
ホクホクアルな」


余計なコト言うんじゃねぇよクソガキども





「ハイハイ邪推邪推、それでオメーら三人で
ハロウィンやりだした理由は何だよ?」





モノのついでにと訪ねたのが 間違いだった





ニヤリ、と神楽がムカつく笑みを浮かべて





「ふっふっふ…今までのヤツらは前座ネ
本命は江戸城にありぃぃぃ!!


「……はい?」


「いやーオイラもびっくりしたんだけどさ
お姫様とマブダチだからお菓子ぐらい
楽勝でもらえる、って神楽ちゃんが」







つまり、お前らアレですか?


ハロウィンにかこつけて将軍家から
菓子をせびりに行こうってそーいうこと!?






いやそれはいくらなんでもヤバくね?


まだ一国傾城篇がサイト内で始まったばっかだし


いくら交流あるっつってもそんな気軽に
ホイホイ行くトコじゃねぇだろアソコは!





「晴太が心細いと言っていたゆえ、たまたま
手の開いていた私に声がかかってな」


おい待て、まさか





が戻ってきたならちょうどいいアル!
早速お城へ突撃するヨ!!


「ほ、本当に大丈夫かな〜…もし断られたら」


「大丈夫!今日なら多少強引なコトしても
全部"イタズラ"で済まされるネ!」


「それは都合がいい、今しがた銀時から
色々なイタズラを学んだばかりだしな」


済まされるかァァァァァ!!





「待てオメーら早まるなぁぁぁぁぁ!!」





こんな時に限って素早いガキどもは
あっという間に走って行っちまいやがった





ヤバイヤバイヤバイヤバイ!


もしこの状況で城の人間やそよ姫、ましてや
将軍にアイツらが何かやらかして


へイタズラを教えたのがオレってバレたら





     オレの命がデッド・オア・デッドぉぉぉ!!









落とした戦利品にも構わず走りだし





江戸城の正門が見えたと同時に


コスプレ三バカと相対してるそよ姫が見えた





「お前らトリックはストップぅぅぅぅ!!」





血相変えたオレに反応する門番を飛び越し


どうにかアイツらへ制止を呼びかけ…って
つまづいたあぁぁぁぁぁ!!





「外国の祭とは一風変わっているのだな」


「お兄様もそう思います?」


門前に将軍もいるのかよぉぉぉぉ!!


将軍んん逃げてぇぇぇ!てか避けてぇぇぇ!





心の叫びもむなしく、オレ達は衝突し





白目を向いた将軍下敷きに身を起こした
オレの首筋へ 刀が当てられた


「退屈していたけれど待ってた甲斐があった」





…よりによって何でコイツがいるんだよ





「公儀処刑人ほどじゃないけど、首ぐらいなら
私でも刈り取るのは容易い」


「いや待たれよ信女殿」





そう!よく止めた、そのままそこの
キラードーナツモンスターを説得し


「首は供養してやれ、せめてもの情けだ」





そこじゃねえぇぇぇぇ!





「それは住職の仕事
私の仕事は、肉を削ぎ落とすこと


「私は肉より魚が好きだが?」


聞いてねぇよそんな個人情報!


銀さん命の危機!ホラ一緒にハロウィン
楽しんでた仲だろ?ってアレ


なんかいつにもまして顔面が固い気が





「もしかして散々利用したから怒ってんの?
ねぇ、それなら謝るから機嫌直し…」


「反省しろ」


そっぽ向きやがった!やっぱ気づいてたぁぁぁ





ダメだ誰か…神楽、晴太、いやそよ姫様でもいい


ぼーっと見てないでオレを助けてぇぇぇぇ!








――――――――――――――――――――――
あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:久々にノリ中心で書いたんだけど
…おかしいな?銀さん夢なのに銀さん可哀想


銀時:うんそれいつもの事だよね?
オレにうまみが全く無いのが基本方針だよね


お登勢:アコギな真似してるから罰が当たったんだ


新八:サイト内でのハロウィン短編や歩執守
ダムに艦○れに本編に…どんだけネタ盛るんですか


妙:外国繋がりであの人達まで入れたのに
それでも結局遅刻しちゃったなんてね


狐狗狸:ネタの女神が…女神の降臨が早ければ…!


土方:どーせならあの迷惑天パ処分しといてくれよ


信女:そうしたかったけど、他にも公務が
あったから止められた…運動も出来なくて残念


銀時:。゚(゚´Д`゚)゚。




やり過ぎなきゃ一緒にハロウィンが
楽しめたのにね、というお話でしたとさ


様 読んでいただきありがとうございました!