「ふわっ、て、停電アルか!?」
「いやいやいやいやいや!おかしいじゃん
だって今日は雲ひとつ無い晴天のハズ…!!」
窓を開けた新八が、その状態のまま
固まってしまいました
「何これ…」
晴れやかな青い空に広がる道路と町並み
いたって当たり前の見慣れた街の風景には
上空を行き来する船と 行き交う町民達と
…ありとあらゆる音だけが消えておりました
「おいおいおい、マジかよ 一話目にして
二ページ目突入とかどーいう事?」
「しかも強制でページ飛ばされたと思ったら
壁紙まで露骨に変わったアル」
「そこツッコんでる場合!?明らかにコレ
異常事態以外の何者でも無いですよ!!」
俄かに色めきだつ三人を眺めていたは
「…!電話を借りるぞ!」
ハッと思い立ち、有無を言わさず受話器を取って
自宅の番号をダイヤルしますが
程なく首を横に振り 受話器を置いて呟きました
「…ダメだ 通じぬ」
「そんな!一体どうなってるんですか!?」
神楽も自室の押入れの下段や和室などを見て回り
戻ってきて、こう言いました
「銀ちゃん!定春もいないアル!!」
「やっぱりあの本ヤバイものだったんですよ…
って、アレ?神楽ちゃんあの本は?」
「おかしいネ、さっき落っことしたから
床のその辺にあるはずアル」
四人で手分けして床を探してみても、あの
古ぼけた表紙の本は どこにもありません
「人の気配だけでなく 本まで消えるとは
全くもって面妖な…」
「とにかく、ここでぼーっとしてても
ラチがあかねぇ 一回外の様子を調べんぞ」
「はい あの僕、家に戻ってみます」
「私も兄上の様子が心配だ、一旦帰宅しておく」
大体の合流場所を決めて 新八とは
それぞれ自宅へと歩を進め
残った銀時は神楽と共に連れ立って
人気の無い町内を散策しだしたのでございます
いつもなら車や人、天人でひしめく大通りには
人っ子一人見当たらず
「おお〜大通りがすっからかんアル!
今ならアスファルトに寝転び放題ネ!!」
「好きなだけ転がって鼻とヒザ小僧擦りむいてくれ」
立ち並ぶ店の中も、商品や食べかけの料理などが
残されているが 人の姿だけがありません
自動ドアをくぐっても コンビニの中はもぬけの殻
点在する車の中や自転車のカゴにも、荷物や
私物は残っていても乗っていた主はおらず
わざわざ真選組の屯所付近を通っても
あの三人はおろか隊士の黒い制服すら見かけず
更には桂やさっちゃんなど、頼まずとも望まずとも
エンカウントしてくるキャラの影も形もなく
まるで街から 銀時達以外の生き物の存在が
切り取られてしまったかのようでした
「ここまでムグムグ人がモグモグいないなら
ングッ、ちょっとぐらい食べ物ムシャムシャ
パクっても怒られないゴックン アルな」
「だな 金欠で最近ろくに食うモンにありつけね
…って神楽お前ソレどっからとって来た!」
ちゃっかり屋台のケバブをむさぼっている
神楽の頭が小気味よい音を立てて叩かれました
公園にて、彼らの姿を見つけた
新八とが走り寄ってまいります
「よぉ、オメーらんトコはどうだった?」
「家と店の両方を覗いてみたんですけど
やはり姉上はいないみたいでした」
「私も同じだ ああ、兄上はいずこへ…」
「知るかよ、とりあえず落ち着けブラコン
一々この世の終わりみてーな悲壮感出すな」
頭を抱えた少女をなだめながらベンチへ腰を
落ち着けた銀時の袖を軽く引き
「銀ちゃん 私のど渇いたヨ〜」
そう言って神楽は自販機へ目を促します
が、彼はその期待をあっさりと一蹴しました
「公園の水道水で我慢しやがれクソガキ」
「散々うろつきまくっといてカルキ臭いぬるい水が
のど通るワケないアル!ジュース買えヨぉぉ!」
「贅沢言うなぁぁ!こっちだって金欠続きで
甘いモンは砂糖水しか口にしてねんだよぉぉぉ!」
「…他人事ながら 万事屋の家計は大丈夫か?」
表情の変化が極端に乏しいに問われては
虚ろな笑いで目を逸らすくらいしか新八には
返せるリアクションが無いのでございます
「あーチクショー!空から万札でも降ってくりゃ
いちご牛乳が余裕でダース買い出来んのによぉ!」
空に向かって怒鳴るようにして、のけぞった
銀時が現状への不満をもらしております
その次の瞬間、何かがひらひらと目の前を横切り
「んだこりゃ?」
空中で掴み取ってしげしげと見つめた彼の目が
手の中のモノに釘付けとなりました
舞っていたのは…間違う事無く一万円札でした
「ゆっゆゆゆゆきっつぁんじゃねぇかぁぁぁ!?」
「ええええ!ちょっ、それ本物ですか!?」
「そそそそれで酢昆布いくつ買えるアルk」
言葉を遮るように、上からひらりと一万円札が落ち
思わず見上げた四人の瞳が 空から雪のように
降り注ぐ一万円札を捉えます
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あとがき(というか楽屋裏)
狐狗狸:今回のコンセプトは"ホラーゲーム風"な
長編です…色々ミーハーな管理人でスイマセン
新八:開幕ネタバレと謝罪はやめてくださいよ
こっから先の会話が進まなくなるし
銀時:わざわざちゃちい仕掛けしこんだ挙句
文章二つにぶっちぎるたぁどういう了見だよ?
狐狗狸:いやコレ序の口なんだよね、この長編
ちょーっと特殊な感じに書くつもりだから
把握しとかないと読み進められなくなるよーて
神楽:それでkbムダに重いアルか
つくづくユーザーにやさしくないサイトね
銀時:だよなー、脳ミソすかぷーだから
結局スマホ対応に出来てねぇし管理人
狐狗狸:…ふふ、メタで気軽に私をそしれるのも
今のうちだと知るがいい(黒笑)
新八:ちょ、なんか不穏な空気出してる!?
ちまちま仕掛けを施して行きますので
楽しんでいただけたら幸いです
様 読んでいただいてありがとうございました!