出会い頭、アゴに一撃をもらい
倒れた黒服に見向きもせず
七人は通路を進んでいく
「ったくしつこいハンターどもアル
誰アルかミッション参加しなかったのは」
「そもそも指令所すら送られてねーっつの」
「こんな状況でどうすればいいんですかぁぁ!」
けたたましい警報を耳にしながら
当ても無く 彼らはただ建物内を
上へ下へと走り回っている
…とは言え、走り回っている合間に見るものは見ている
「落ち着け新八君!造りからしてここは恐らく
何らかの研究施設のハズだ きっと何処かに
酒に入れていたあの薬に関しての資料があるはず!!」
「どこかってどこだよテメェ!下手したら
オレら全員奴等にとっつかまんだぞ!!」
叫ぶ合間に爆破音に似た轟音が壁や床を揺らす
「うわっ!?い、今の音は何だ!?」
「どうやら外から聞こえてきたようだ…」
「騙されるな皆の者!これはきっとあちらの
特殊技術による仕掛けの一つに違いない!!」
「「うるせぇ黙れドッキリバカぁぁぁぁ!!」」
銀時とのワンツーパンチが桂の後頭部にキマった
第七訓 夢主同士の協力プレイも共演の見所
「これから私達、どこ行けばいいネ?」
「闇雲に動き回ってたら、本当に僕ら
一巻の終わりになっちゃいますよ」
「致し方ない…こういう時は知ってる者に
訊ねるが吉と兄上が言っていた 殿」
彼女は手招きをして、ヒソヒソと耳打ちをする
「なるほど、そりゃ名案だな」
「ちょっ 二人とも何する気なんだよ?」
「まぁ皆はそこで待っててくれ」
適当な物陰に五人を置き去りにし
二手に別れたが 目星をつけた黒服の前へ姿を現す
「あっお前は!待て!!」
追いかけてくる黒服が彼の後に角を曲がり
「ずぇあ!?」
予期せぬ方向からの衝撃に引き倒され
仰向けの状態で床に転がる
すかさず男の喉元に槍先を突きつけ
「余計な事は答えるな 薬の資料が
ある場所を教えろ迅速に」
仕事時の雰囲気で、相手を無表情に睨む
「ひっ…おおお教えますのでどうか命は…!」
情報を聞き終えてから 流れるような
早業のCQCが叩き込まれ
気を失った黒服を放置して二人が戻ってくる
「上手くいったぞ、薬のデータを保管した
管理制御室とやらの場所が聞き出せた」
「オィィ!何その夢主だけのコンビプレイ!?
主人公のオレはハブかコラァ!!」
「仕方ないだろ、こういう囮は俺の方が
慣れてんだし提案したのはだ」
「いや単に近くにいたのがお主だった故
囮を頼んだだけ「オイィィ!!」
ナイスタッグの余韻をぶち壊されつつも
彼らは管理制御室がある階を目指す
「にしても何だろうな、さっきから聞こえる
地響きみてーなこの音」
「大方外でコイツんトコのあのデカブツが
暴れてんだろーよ」
「出任せ言うな!メタルギアだったら
鳴き声くらい聞こえてもおかしくないっての!」
とは言いながら、当人も外から断続的に
響いてくる音の正体が気になってはいた
「妙だな…外で何が起きているのかは知らぬが
ここは大事な場所のハズ なのに人が少ないぞ」
思考はずれていても桂の一言は的確だった
何度か黒服と鉢合わせる事はあれど
研究施設にしては 警備が手薄に感じる
…嫌な予感を覚えた、そんな矢先
彼の持っていた無線が鳴り出した
『 聞こえる!』
「どうした?」
『江戸で子供化した成人の何人かが
誘拐や失踪しているのは知ってる?』
「ああ、今更言われるまでも無いさ」
『たった今、関与してるとされる謎の勢力に
ある人物の名前が浮き上がってきたの』
「何だって!?一体、誰が!!」
一拍の間を置いてが口にしたのは
『ジーンよ』
いる筈の無い、人物の名前だった
「何っ…何かの間違いだ!アイツはあの時
死んだはずだ!!それよりそんな情報どこから…」
『ゴメンなさい…それはまだ…』
言葉を濁す彼女にこれ以上の追求は無駄と判断し
「…分かった、落ち着いたらまた連絡する」
告げると彼は答えを待たず 無線を切る
「すまない銀さん、皆…どうやらこの事件
俺の敵が絡んでいるかもしれない」
「聞こえてるよ ったく
そんなこったろーと思ったぜ」
「こちとら共演の時点でお前のキャラが
出張るって踏んでたアル」
「言いたい事はあるだろうが、何にせよ
話は元の身体に戻ってからだな」
「そうとも、一刻も兄上を
元通りの麗しい姿に戻さねば!!」
「「ここに来てもお兄さん優先!?」」
幾度目かのWツッコミを誘発させながらも
彼らは"管理制御室"と書かれた扉の前に辿り着く
「くっそロックされてやがる、蹴破れ神楽ぁ!」
「ほあちゃァァァァァァ!!」
勢いの乗った夜兎の蹴りに堪らずドアが吹き飛び
いくつかのモニターや複雑な機械類の
並んだ室内へなだれ込む銀時達
「どうやらこれがメインの機械みたいです!」
「貸してくれ!!」
モニターの前に立ったがキーを操作し
いくつかのファイルの中から
それらしきフォルダを見つけ出す
が、開こうとクリックした途端
エラー音とパスコードが表示された
「くそ!やはりデータにロックがかかってる…!」
「オイ早くしろよ!奴等に見つかったら」
「…いや、最早手遅れのようだ」
の呟きが示す通り
入り口から群れを成して押し寄せた黒服軍団が
あっという間に七人を包囲して
携えていたメガホンに似た機械を一斉に向ける
「ヤベェよ銀さん、囲まれたぜ!!」
「うわっななな何ですかあの機械!
まさか僕らをアレで…」
「何を怯えている、アレはきっとドッキリ終了の
ビックリクラッカーに決まっておろう!」
「違うネ ハンター減少のミッションアル!」
「つくづくメデてぇ思考だなテメェら!!」
掛け合いに動じる事無く黒服達は
各自、手元の機械のダイヤルを動かし
『目標補足…拘束周波、発射!』
掛け声と共に トリガーを引いた
「…へ?何も起こんな」
新八の言葉半ばで、四人が床へと倒れる
「「ぐ、あ…身体が……!」」
「どうした銀時、殿!」
「大丈夫ですか!長谷川さん、桂さん!?」
彼らは一様に まるで見えない何かに
押さえ込まれたかのように這いつくばっている
「銀ちゃん達に何したねお前らぁぁぁ!」
叫んで黒服の一人へ向かう神楽だが
彼らが何かのボタンをいじった途端
その動きが、ピタリと止まった
「か、身体が動かないアル…」
「神楽っ…ぐ、何だこの声は…腕が…!」
女子二人と新八もまた、彼らと同じ状態へ陥る
「そんなっ、動けない…一体何が…!」
身動きが取れない七人へ黒服達の包囲網が迫り
彼らの手が伸ばされた、その刹那
ガトリングさながらのけたたましい轟音が
唐突に鳴り響いた
次の一瞬、新八達が目撃したのは
不自然によろめき次々倒れる周囲の黒服と
煙を上げて壊れる あの機械
やがて部屋の中の全てが沈黙する
「な、何だよいったい今度は…アレ?」
「おお 動けるぞ!!」
謎の圧力から解放され、起き上がる彼らへ
姿を見せたのは…
「お怪我はございませんか、皆さん」
「テメェら危機一髪ってトコだったみてぇだな」
『源外(さん・殿)!たま!!』
「ってイキナリ銃ぶっぱなしてんじゃねぇ!
オレらに当たったらどーすんだジジィ!!」
「心配すんな、たまに持たせたなぁゴム弾だ
一発や二発当たっても死にゃしねーよ」
「いやいやソレでもシャレにならんから」
その威力は身体のあちこちに痣を作って
気を失った室内の黒服達が如実に物語っている
「何はともあれ助かった かたじけない」
「それにして、どうして僕らの居場所が
分かったんですか!?」
聞かれて源外はやや下方の
銀色天パと金髪頭を指差し、さらりと
「そりゃこいつらに発信機つけてたからな」
「「ええぇぇぇぇいつの間に!?」」
慌てて二人が身体を探れば、それぞれの
服の端から転がり落ちたのは…
「って何コレ、弁当の醤油刺し?」
「ねぇコレ中身入ってるっぽいんだけど…」
「醤油刺し型の発信機だ、尾っぽを
押せば醤油が出る」
「「いらねぇよそんな機能!!」」
ツッコミとほぼ同時に発信機は床に
叩きつけられて壊れる
「じゃー外の騒ぎはたまちゃん達の仕業か…」
「して源外殿、何故ここへとワザワザ?」
桂の問いかけに 彼はニヤリと不敵に笑う
「テメェらどーせ薬のデータにかかった
ロックでもたついてたんだろ?」
「いかにも」
「そう思って、頼りになる助っ人も連れてきたぜ」
「さあ こちらへどうぞ」
卵の言葉に重い音を立てて入ってきたのは
源外お手製の機械人形が一体と…
「ジャック!無事でよかった…!!」
「サニー!?」
笑顔で駆け寄ったサニーだった
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あとがき(というか楽屋裏)
狐狗狸:はい、ここで敵側の名前と謎の兵器
そして源外さんらが登場しました ここテストに
銀時:でるかぁぁぁ!オレの影がどんどん
薄くなってんじゃねぇか!!
狐狗狸:原作の長編は基本そんな感じでしょーに
新八:いらんとこ忠実だなオイィ!!
神楽:あの変なメガホンとか何アルか?
桂:おそらくアレだリーダー、黒板を
爪で引っかいた音みたくこー…
長谷川:言わんとしてる事はわかるけどさ
なんか違くね?それ
狐狗狸:…妙な所で鋭いなぁ(小声)
次回、サニーが魔女っ子に変身!?
『嘘つけぇぇ!ジャンプの次回予告!?』
様 読んでいただきありがとうございました!