七人の目の前には、厳重なフェンスと監視カメラに
囲まれた頑強そうな建物がそびえていた





地図は 間違いなくその場所を指し示している







「そこそこの規模の工場…って感じアルな」


「と言うより基地研究所の様に見えるんだが」


「オィコラ、やっぱテメェ絡みだろ
こういう展開は」


「だから言いがかりは止してくれっての」


「そうとも これはドッキリ「テメェは黙ってろ」







監視カメラの死角に回り、フェンスの一部を
破壊し 内部に潜入するも





「うわ…警備がやたら厳重だな」





出入り出来そうな箇所はどこも旋回式のカメラ
屈強そうな黒服達で固められている





「やっべぇなコリャ 黒服どもが
ウジャウジャいやがんぞ」


「捕まったら賞金ゼロで牢屋スペース行きネ」


「神楽ちゃんもTV番組から離れて…
しかし、どうやって侵入するんですか?」


「こんな状況で下手に行動を起こすのは
得策じゃない…まず手近な場所で情報収集を」


、向かいのあの建物の窓から
侵入を試みるのはどうだ?」





セリフを途中でジャマされムッとしつつも
桂の言葉に彼が建物へ視線を向ければ


側面部分のやや上に子供が潜れる位
上開き窓が二つあるのが 見て取れる





「なるほど、警戒も薄そうだし
上手くすればあそこから入れるか…」


「みんな 今ならあっちに移れるぜ!」











第六訓 この話はお食事前後に
決して読まない方向で












足音を忍ばせ、どうにか警備の網に
かかる事無く窓の下へ移動するが







「むぅ…少し高い位置にあるな」


「あーこれ僕でもちょっとキツイですね」





七人の中で、現在一番背が高い新八


背伸びをしてギリギリ縁が届く高さだった







「三人のうち誰かが、オレらを肩車すれば
ちょうど良さそうな高さだよな」





言う長谷川に 神楽がやる気を見せる





「したら私銀ちゃん担ぐね!
んで銀ちゃんが窓から入り込むヨロシ」


「ちょい待て神楽、何があるか分からない以上
まずはヅラを捨て石代わりに先に行かせてだな」


オレを人身御供にする気かぁぁぁ!
貴様が様子を見ろぉぉォォォォ!!」


「大声出すな、見つかるって!」







話し合った結果 ジャンケンで決めた
肩車のペアでそれぞれ中を覗くことに落ち着き







が銀時を、神楽が桂を担いで





二人が窓からそっと様子を伺うが…







「「うっ………!?」」





一言呻くと 彼らはそのまま固まった





「ヅラ、銀ちゃん どうしたアルか?」


「…何が見えたのだ?」







問いかける二人の言葉が風に溶け消えて







ようやく、銀時が言葉を放つ





「うおぉぉい!よりによって厠かよ!
しかも規格外サイズのとぐろを巻いた
茶色の牢名主が居座ってるしぃぃ!!」


「とぐろ?蛇でもいるのか」


聞き流せそして忘れろ!ったく
…桂さん、そっちは大丈夫か」


「何とかな…黄土色の液状のタタリ神
便器に鎮座してい「「あんたもかぁぁぁぁ!」」





どうやらどちらの窓も厠の個室かららしい





「汚物はともかく 人はいないみたいですね」


「なら問題なく中に入れるな…早速二人が
入ってくれ、俺達も後から続くから」







しかし銀時と桂は 肩車から下りて顔をしかめる





「勘弁してくれ、あんな汚物だらけの便所に
入りこめってーのかよ」


「何を言うか銀時 厠に汚物はつきものだ
そんなものに怯んでいたら武士の名折れだぞ」


「じゃあテメェが先に便器突っ込んで来いよ
そのままタタリ神と一緒に流されろ


「喧しい、貴様の方こそ牢名主のとぐろに
巻き締められてこい!!」



「低レベルな会話やめてぇぇぇぇ!
本気で最低だな、アンタらもこのサイトも!!」






しかし新八のツッコミもむなしく


お食事中などにオススメ出来ないケンカ
どんどんエキサイトしてゆく







「しーっ デケェ声出すと見つかるって!」


「オィオィ、どっち選んだって結局は
同じ厠なんだから…」







黒服に気づかれないかと気が気でない
二人の目の前で


喧嘩組がそれぞれ宙吊りに浮く







痺れを切らした神楽が片手で彼らを掴むと





「面倒くさいネ 、もうこのガキども
窓に押し込むアル」


「うわちょっ、何すんだ神楽下ろし…
あああぁぁぁぁ!!


「リーダー待ってくれオレはぎゃぁぁぁ!





思い切りそれぞれの窓へ放り込んだ





「わかった」


「え、ちょっまちゃんウソで」





後半の長谷川のセリフは 投げられた際の
悲鳴に取って代わる







「何で俺まで問答む、ぎゃぁぁぁっ!!





までもが投げ込まれると
二人は顔を見合わせる





「よし 次は私達が入る番ネ」


「入ったらそちらから引っ張り上げてくれ」


「鬼かあんたらぁぁぁぁぁ!!」







反射的に入れたツッコミが仇となったのか





いくつかの足音がこちらに迫る





「うわっ、見つかった!?」


「何やってるネ新八!」


「早く手に捕まれ!!」



「いつの間に入ったの君ら!?
ちょっ置いてかないでぇぇぇぇ!!」







窓から伸ばされた両手に引き上げられ
半ば無理やり窓を通った新八が中に落ち





同時に、足音が窓の外で止まる





「おかしいな 誰もいないぞ?」


「確か人の声がしたような気がしたが…」









しばらくして足音が遠ざかると、彼は
ふぅと息をついて呟いた





「あ、危なかった…」


「いや銀さん現在進行形で危ないからね?
早く退いてくんない?お前ら」


「狭っキツっ、オマケにくさっ!!」


「ヒドいではないかリーダー、危うく
タタリ神と顔面衝突する所だったぞ」


「…何かと思えば単なるゲ「ワザワザ
単語に出すな頼むから!!」






勢いで飛び込んだせいか、何人かが
かなり際どいポーズで二つの個室に詰まっている





「うっぷ、ニオイ同士が臭くて吐きそうアル」


ちょここで吐くな!気持ちは分かるけど
もうちょっとだけ我慢しろ神楽ぁぁぁぁ!!」


「せめてソッチだけでも流せないのか!」


「ダメだ、モノのデカさがあり過ぎて
中々流れて…うわぁ!


「ちょちょちょ長谷川さんんん!
コレ逆に詰まりかけてませんかぁぁぁ!?





出る事すらままならない七人へ
追い討ちをかけるように







「あーんもう どうしてここの共用厠って
離れた場所にあんのかしら…」





焦りを含んだ女の声が室内へと入ってくる







「(ヤバイ、誰か来た!)」


「(テメェら下手に動いたらシメーだぞ!!)」







急遽個室をロックする彼らだが、お構いナシに
ドアが二つとも強くノックされる





「うわクッサ…ちょっと、どっちでも
いいから早く出て!もう限界なのよ!!」


「(うわわわわ!どっどうするんですか!?)」


「(かくなる上は、一撃で急所を…)」


「「(殺る気ダメ絶対!
下手に表でR18はヤバイからぁぁぁ!!)」」





を取り押さえつつ、個室の内外に
切羽詰った空気が漂う中







「申し訳ないけど開いてる個室を
使ってくださらない?」






女へ語りかけたのは 桂(裏声)





「(ヅラァァ!何やってんだテメェェェ!!)」


「(ここはオレに任せとけ)」


「(いやバレるから!裏声使ったって
外部の人間だってバレバレだからぁぁぁ!!)」







しかし彼らの予想を裏切り、帰ってきたのは
困ったような女の声





「そうも行かないのよ あと一個が故障中だし
別の厠まで持たないもの!」


「(えええぇぇぇ!?バレてねぇぇぇ!!)」


「(何でだぁぁぁぁ!でも上手くすれば
このままスルー出来るかも!?)」


「(っしヅラ、オレも援護するぜ!)」


「(ヅラじゃない桂だ!)」







外の人間に聞こえぬよう会話を交わし


彼らは裏声作戦を続ける







「ご、ごめんなさい私ちょっと
昨日から下痢気味で(桂裏声)」


「私も夕べ飲みすぎちゃって
しばらく吐きっぱなしなの(銀時裏声)」



「そんなぁ…お願いだから早く出てぇ!!」


「…分かったわ、あともうちょっとで出るから
とりあえず厠から離れて待ってて(桂裏声)」



「(いいのか桂さん!?)」


「(とりあえず一旦相手が外へ出た隙に
皆で隣に移り、個室を空けてやり過ごそう)」


「(考えたな桂殿!)」


「(そんな上手く行くんだろうか…?)」






…どうやら納得したらしく





「わかったわ 早くしてね」





女が厠を出て行きかけたタイミングで







ニオイに耐え切れなくなった神楽が
側の床に思い切り吐いた





「オボロロロロロロロr」


「「ぎゃああぁぁ汚ぇぇぇぇ!
モロ飛沫が飛んで来たああぁぁぁぁぁ!!」」



「うっクサッ…オレももらいゲボロロロロ」


「「「連鎖するなボロロロロロロロ」」」





複数の叫びと悪臭に、女の表情が一変する





「クサァァァァ!誰か来て!侵入者よ!!」







血相を変えて大声で厠を抜け出してから


ようやく七人も個室から脱出した





「何で吐くんだアンタらぁぁぁ!」


「ニオイに耐え切れなかったネ」


「昨日の酔いが残っててよぉ」


「「「右に同じく」」」


「とにかくここを離れねば奴等に皆
捕まってしまうぞボロロロロ」


時間差でもらったぁぁぁ!
長編史上最悪の絵面だよボロロロロ!!」









…とにかく厠から出た銀時達が
建物内を走り始めて





程なくあちこちから、警報が鳴り響いた







黒服達の無線にも各自連絡が入る





『侵入者は七名で全員子供、例の二人
報告にあった三人 それとオマケが二人いる


例の二人はあの方が来るまで別室隔離
二人以外はどうなっても構わん』


了解、見つけ次第捕獲する」







無線を切り 彼らがそれぞれ携えるは


拳銃一丁と例の特殊な縄
そして見覚えのないメガホンに似た機械







「よし!先の二班はこっちから回り込め!
挟み撃『大変だぁぁぁ!!』どうした!?」





表情に驚愕を貼り付け、黒服は告げる





「デカイ機械人形どもと戦車が一台
正門を破壊しながら突き進んでる!!


「な…なんだと!?」









銃口を向ける人の集まってきた正門で





重い足音とキャタピラ音を響かせ、源外達は
黒服達を蹴散らしながら進軍する





「男の機械のお通りだぁぁぁぁ!
轢かれたくねぇ奴ぁ、どいとけぇぇい!!」



「源外様 目的の場所まであと300mです」


「今度は私が力になるから、それまで
無事でいて…ジャック…!








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:話がやたらシリアスになってきたので
一発銀魂のノリを入れようかなぁと


銀時:いるかぁぁぁ!危うく銀さんの天パが
マダラに茶色くなるトコだったじゃねぇか!!


桂:それを言うならオレの方が度重なる
タタリ神に塗れそうに


新八:本気で止めてぇぇぇ!
サイトごと消されるからサーバーに!!



神楽:てゆうか何であんなん二つも放置されてたネ


狐狗狸:大はきっとジョニーさん並に流しても
流れない新記録を捻り出したんでしょう
もう片方は…詰まりかけてたとか?


長谷川:あーそういう事ってたまにあるよなぁー
オレも公衆トイレでぶち当たった事が


新八:あとがきまでそのネタで押すなぁぁぁ!!




次回 黒服達の謎の兵器が彼らを窮地へ!?


様 読んでいただきありがとうございました!