急いで駆けつけた銀時達が見たのは
荷台部分からもうもうと煙を上げて
横転しているトラックの車体
「これは…事故でも起こったのか?」
「いやコレタイミングよ過ぎでしょ、第一
事故の原因っぽいものが見当たらな」
新八の言葉を遮って、荷台の両開きの
ドアが勢いよく開く
「全く、ズイブンと乱暴な運転をするTV局だ
後で抗議の電話をかけねば…」
「ヅラぁぁぁ!お前どっから出て来た!?」
「おお銀時ぃ!こんな所で会うとはやはり
これはドッキリなのだろう、看板はどこだ?」
「ねーよ看板なんて!つかまだカメラを
探してたんですかアンタ!?」
「フハハハハ、当然だ!」
子供になっても 腕を組んだ桂の態度は
一ミリたりとも変わっていない
「今の音は何だ!?」
「向こうから聞こえたぞ!!」
程なく、先程の爆発を聞きつけたらしき
人々の足音がトラックへと近づいてくる
「オィオィ、こりゃヤバそうだぜ」
「とにかく一旦こっから離れるぞテメーら!
ヅラ、しょうがねぇからお前もついて来い」
「何だ慌しいな ここはゆっくりスタッフが
看板を持ってくるのを待つのがお約束」
「「「いねぇよスタッフなんて!」」」
銀時達は大慌てでその場から離れ
どうにか適当な施設に腰を落ち着け
一息つくと共に、桂に事の説明を行った
第五訓 最近のドッキリ アレほぼイジメじゃん
「…つまり これはドッキリじゃないんですよ」
一通りの説明を聞いた桂は深く頷く
「なるほど、お主らが言いたい事はよく分かった
此度の一件はその酒屋の本部とやらの仕業か」
「そう、しかも今回はこいつんトコのバカが
関わってるんだとよ」
「まだそうと決まったわけじゃないだろ!
アメリカ絡みってだけで全部俺のせいかよ!」
「しらばっくれるなヨ、お前以外だと
ミッ○ーとドナ○ドとカー○ルくらいしか
アメリカに関わらないネ!」
「一ミリも関わってないからねその人達は!
てゆうか後ろの二人 食い物関係じゃん!!」
時系列的に不自然なネタが入ったのはさて置き
やはり"アメリカ"という単語に、桂も
驚きを隠せないようで…
「流石のオレも予想だにしなかったぞ…
まさか外国のメディアが仕掛けたドッキリとは」
「全然理解してねぇぇぇぇ!
僕らの今までの説明は何だったんですか!!」
「とりあえず本部とやらに乗り込めば
今回のタネあかしはしてもらえそうだな」
「しねぇよ!何処見てしゃべってんの桂さん!
カメラ目線かそれひょっとして!!」
怒涛のツッコミの途切れ目に
「所で桂殿 何故あのような所に?」
がもっとも基本的な問いを投げかける
「うむ、お主らと別れた後
妙な黒服の者達に追われてな…」
普段から真撰組との逃亡劇を繰り広げる彼も
子供となったハンデと黒服達の素早さは
些か苦戦したらしく
どうにか隠れて、難を逃れたのが
あの倉庫にあった空ダンボールの中だった
「オィィ!それこっちのステルス方法ぅぅ!
何さり気に人のやり方パクってんの!?」
「いやー実は常々あの隠れ方には
興味があってな、ちょうどこの身体に合った
ダンボールも転がっていたしつい」
「ついじゃねーよ!しまいにゃ
裁判に持ち込んで賠償金要求すんぞ!!」
「ハイハイ落ち着くアル
で、なんでトラックから出て来たね」
神楽に先を促され、桂は続ける
「そこなんだリーダー、オレが
言いたかったのは!」
こっそり動き回っていた最中に
目についたトラックの中が気になり
カメラがないかと入り込んだら
荷物を詰まれて出られなくなり
そのまま間を置かずにトラックが発進したらしい
「…普段ならどうということもないが
この身体であの揺れは動き辛くてな」
「つまりカメラ探しに集中できねぇから
爆弾で無理やり止めた、と?」
「今日は察しがいいな銀時!」
笑っている桂は、気付いていなかった
六人が寄越す彼への視線に
どす黒いものが混じっていくのに
「偶然とはいえトラックを止めてくれたのは
感謝したい所なんだが…」
「ハッハッハ、そうかオレのお陰か」
いまだしでかした事態の飲み込めない桂を
「「「やり過ぎなんだよバカツラぁぁぁぁぁ!
何大事な手がかり潰してんだコラァァ!!」」」
「ふぐおぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
叫んだ三人を筆頭に全員が怒りに任せ
取り囲んでフルボッコし始めた
「…あれ?ヅラから何か紙みたいなのが
こぼれ落ちたアル」
「おお、誠だ」
気付いて神楽とが手を止め
長谷川が畳まれた紙を拾い上げて広げる
「なぁ、これってどっかの地図じゃね?」
「何?新しいキャバクラの呼び込みチラシ?
にしちゃ店の名前書いてねぇな」
「いや違うでしょ明らかに!
にしても桂さん 何でこんなものを?」
「従業員の一人がズボンのポケットから
はみださせてたんでな、ドッキリの
指示書かと思って拝借させてもらったんだ」
じっと地図と示された印を見つめていた
が、ポツリと呟く
「…これはひょっとして、本部とやらの
場所を示す地図じゃないのか?」
「なるほど…そうかもしれませんね」
「冴えているな殿!」
状況的に見ても可能性が高い一言に
すんなりと全員が納得した
「ご都合主義なのは管理人が三流だから置いといて
とにかく 行く所は決まったみてぇだな」
「まあまあ…それじゃ早速乗り込もうぜ!」
「いや乗り込む前に用事を済ませた方が
いいだろう、厠行きたい人!」
「どこの引率?!テメェ以外に手ぇあげる奴が」
言いかけた最中、三人が桂に続いて挙手した
「ハイ!私実は限界間近ネ!!」
「今の内に兄上に電話をかけてもいいか?」
「さんソワソワし過ぎ…あ、僕も
姉上に一応連絡しておきたいんですけど」
「…結構いるし てか俺もついでに
無線で二人に連絡を取っておきたいんだが」
鼻をほじりながらかったるそうな声音で
銀時は吐き捨てる
「あーもー、一発ですませてこい
酢昆布娘とブラコンとシスコンにバカップル」
「「失礼な事言うなぁぁぁぁぁ!!」」
各々の用事を手短に済ませた後
七人は地図のルートを頼りに 黒服の男達に
見つからないよう慎重に歩を進める…
「大丈夫かしら、…」
窓の外から路地の様子を伺いつつ
は顔を曇らせる
簡素な説明とサニーと共に外出を
控える注意を受けた後
『俺はこれから銀さん達と本部へ乗り込む』
「えぇっ!無茶よ だってアナタも銀さんも
子供の姿だし、それに武器だって…」
『一応非常用の装備くらいはあるから平気さ
そっちこそ黒服の奴等には気をつけろよ』
そう言って無線のやり取りを終えたのだ
「全く…いくら皆と一緒に行動してるからって
装備を取りに戻るくらいしてもいいのに」
ため息をつく側で、くいと軽く
袖口を引っ張られる感覚がした
目を向けるとそこに不安げなサニーが
「ねぇローズ 大人の人達を子供にして
犯人は何をしたいのかな?」
「わからないけど…きっと彼なら」
大丈夫よ、とサニーを元気付けようとして
玄関からノック音が響いた
「誰!」
「ごめんください、開けていただけますか」
無機質目の女性の声にやや警戒を解きつつも
「サニーちゃん もし危なくなったら
すぐにシェルターに逃げ込んで」
「わかった」
サニーを置いて、懐に銃を忍ばせつつ
彼女は恐る恐る戸を少しだけ開き…
「あら、アナタは確かたまさん…と」
ペコリと頭を下げた卵の隣にいる老人が
ズイっと一歩進み出る
「お前さんがの女かぃ なるほど
こいつぁ中々のべっぴんじゃねぇか」
「ありがとうございます…どちら様ですか?」
「そういやアンタたぁ初対面だったな
オレは平賀源外ってんだ」
「お話は聞いてます アナタが江戸一番の…」
少しホッとしたように彼女は問いかける
「所でどのようなご用件でしょうか?
生憎、彼は今いないんですけど」
「いや用があんのはアイツじゃねぇ…
そこにいる銀髪のガキンチョだ」
「サニーちゃんに?」
再び警戒しだす相手に、源外は
困ったように頭を掻いてこう言う
「説明してるヒマはねぇ、銀の字どもと
元に戻すにゃ…そのガキの力がいるんだよ」
「ジャックを?」
「それも大急ぎでだ 力貸してくれるか?」
「……分かった、どうすればいいの?」
「ちょっとサニーちゃん!」
咎めかけた言葉は無線のコールに邪魔される
「はい、こちら……」
無線からの言葉に応答していく内に
彼女の表情が、驚愕へと染まった
「なんですって アイツが江戸に…!?」
――――――――――――――――――――――
あとがき(というか楽屋裏)
狐狗狸:ヅラ合流と、MGS側の動き増量で
今回お送りいたしました〜
桂:流石に米国のドッキリは規模がでかいな
銀時:何層狙いのドッキリだっつの
頭腐ってんのかヅラ あ、もう腐ってるか
桂:ヅラじゃない桂だ!
神楽:文章稼ぎにバカップル混ぜるなヨ
返って話がウザくなるアル
新八:神楽ちゃんんん!共演でそれは
言っちゃいけない方のセリフゥゥゥゥ!!
狐狗狸:えーと…と長谷川さんと
新八君が空気にならないようがんばります
二人:ちょっと管理人んんん!?
次回は決して、食事を絡めて見ないで下さい…
様 読んでいただきありがとうございました!