「銀の字に、オメーら随分
可愛らしくなったじゃねぇの」





カラカラと豪快に笑いながら源外が
側にいた銀時の頭を目一杯撫で回す





るせー!テメェまでガキ扱いすんなっての」


「笑い事じゃないんだぞ源外さん…まあ
アンタまで子供に戻ってなかったのは幸いだ」


「昨日は色々忙しくてよ、外ほっつき歩く
ヒマが無かったんだ にしても…」







言葉を途切り、おもむろに源外は
二人の子供を抱えて膝へと乗せる





「こうして膝にガキ乗っけてると昔
三郎どもとこうしてた頃を思い出すなぁ」


思い出話にひたんなジジー!
大体お前んトコ一人息子だったろーが!!」


ズルイね!私もどっちかダッコするアル!」


「お前ら人をオモチャにするなぁぁ!!」





源外と神楽に引っ張られ暴れる両者を


横手から伸びた手がひょいと抱えて
それぞれ側の床へと降ろす





「すまぬが事は急を要するのだ、想い出は
後回しにしてくれ源外殿」


さん珍しくまともな事言った!」











第三訓 今回の話は若干容量重めでシクヨロ











名残惜しそうな顔をしながらも
咳払いをして 源外は姿勢を正す





「とまぁ冗談はコレぐれぇにして、だ
まずお前ぇらの持ってきたコイツが何かだが…」





彼の手に握られていたのは倒された男達が
五人の拘束に使っていた特殊な縄







通常の縄ではありえない仕掛けに


何らかの機械が組み込まれている事を
察知したの提案により


弾かれ路上に転がったモノを一つ持ち込んだのだ







「こいつぁ見た目以上に高度な技術で
作られた機械だぜ?」


「マジでかジジイ」


「それも天人のモンだけじゃねぇ…恐らくは
、お前さんトコの技術も入ってる」


「何だって、アメリカの!?





瞬間 銀時達の視線が彼へと集中する





「どういう事なんですかさん」


「まさかとは思うが、またテメェ絡み
バカの陰謀じゃねーだろーなぁ」


「ちょっ…何で疑わしげな目で見る!?
仮に俺が目的なら、向こうもこんな面倒な手を
使わず効果的な作戦に出るだろ!!」


騙されないネ!の知り合いは敵味方
みーんな変な奴等ばかりヨ!!」


「…敵が多いと大変だな殿」


「お前らにだけは言われたかねぇぇぇぇ!!」







痛い視線の雨に晒されて叫ぶを救ったのは





「皆さん 思い出しました」





縛られて転がされている白衣の男を
監視していた卵







「…どうしたたま?」





声に釣られて側までやって来た六人へ


首を少しだけ捻った体勢で彼女は淡々と告げる





「間違いありません、この方は二週間ほど前
卸先と偽って現れた従業員の一人です」


「それ本当ですかたまさん!」


「ええ、人物照合も先程すませました
完全にデータ内の人物と一致しております」


おお!流石はたま殿!」


「デケェ手がかりになりそうだ
そん時の話、聞かせてもらおうじゃねぇか」


「了解しました」







二週間前に起こった出来事を
要点だけに絞って説明すれば





普段の業者と顔や雰囲気が違うのを感じ取り


不審に思ったお登勢が卵に中身を
改めるように命令し





程なく、幾つかの品物に見慣れない成分
混じっていたことが判明し


すげ無く追い返した…とか







「見慣れない成分…もしかしたら、それが
銀さん達の異変に関係してるかも!」


「たま、その品物は何だったか分かるか!?」


「はい アレは…日本酒でした」







その一言が、五人の中にあった謎を
一つ解きほぐした







「そういや銀ちゃんと、昨日さんざん
飲み屋ハシゴしてたネ」


「言っとくが俺は銀さんに無理やり
連れまわされたんだっての」


「確かに昨夜…兄上から微かに嗅ぎ慣れぬ
酒の匂いがしていたぞ!」


「匂いってさん、犬じゃないんですから」





アゴに手を当ては眉根を寄せて呟く





「何にしてもその卸先とやらが怪しいな…」


「んじゃとっととその酒屋締め上げて
こんなふざけた姿からオサラバしよーじゃねぇの」


「ジジイはどうするアルか?」


「あー、オレぁちょっとヤボ用があるから
お前らだけで先に行っててくれや」







五人は手がかりとなる酒屋を探す為
源外の家を後にした









「しかしその酒屋って何処にあるんでしょう」





新八の呟きにすかさず無線を取り出す





「俺に任せてくれ、衛星から探してもらえば
すぐに見つけられるはずだ」


「ちっちゃくなってもは便利アルな〜
よしよしいい子いい子ネ」


「頭を撫でるな頭を」


「おーい神楽ちゃぁーんそれオレへの嫌味?
…って何そわそわしてんだよ





銀時の問いに彼女は表情を変えず応えた





「目的地へ赴く前に一度家へ戻ってよいか?
兄上に警告をしなくては」


「後にしろよ後に」


ならぬ!怪しき奴等が動いてる以上
いつ何時兄上に危害が及ぶか分からんのだぞ!?」


「オレらが元に戻るのより兄貴のが順位上かよ!」


「もっと緊張感持てアンタらぁぁぁぁ!!」





叫んだ直後に、曲がり角からぞろぞろと
何人かの男達が現れる





「げっ…新手の奴等かよ!」


「この状態じゃロクに戦えん、一旦逃げるぞ!





言うや否や五人は男達とは
反対方向へと駆け出していく







「お前らがデカい声出すから見つかったネ!」


「最後に叫んでいたのは新八だ」


何しれっと責任転嫁してんの!?
元はと言えばアンタが発端でしょーがっ!!」







狭まった路地をグネグネと曲がるが
相手との距離は一向に縮まらない







何アイツら!?何であんな走ってんのに
顔色一つ変えねぇの!?怖ぇぇぇぇ!!」


「グラサンかけたらもろハンターアル
ミッションクリアしないと今に100体に」


「「増えません!!」」







抜けようとした通路の先にも黒服の姿が見えて





彼らは慌てて横道へ滑り込む





「くそっ挟み撃ちか…」


「どうするのだ殿、この先は行き止まりぞ」





その言葉通り 五人が行き着いたのは


三方をビルに囲まれた袋小路





「マズイですよこのままじゃ!」


「ちっ…やるしかねぇのか」





数人の足音が徐々にこちらへと近づき…







「みんな、こっちだ!!」







戦いを覚悟していた五人は、不意に
かけられた声の主を見る







左側のビルの勝手口が開いており


そこから小さくなった長谷川が
彼らを手招きしていた





長谷川さん!どうしてここに!!」


「いーから!追われてんだろ!?急げ!!





急かされ、全員は素早く勝手口から
ビルの内部へと入っていく







長谷川はすかさずドアを閉めると





「ここの勝手口はこの時間なら人の出入り
ほとんどねぇから、通り抜け出来るんだよ
…さ 早くこっちへ」





サクサクと五人を案内し始める







「長谷川さんアンタなんでこんなトコに」





少し辺りを伺ってから 彼は先へと
進みつつ銀時の言葉に答える





「なんか変な奴等が子供になった奴を狙っててよ
オレも必死で隠れてたトコなんだよ」


「長谷川さんもか…」


「ああ、そしたら銀さん達の声がしたからさ」


「助けてくれたというわけか、かたじけない







ペコリと頭を下げられて 彼は
照れくさそうに鼻をこすって笑う







「にしても長谷川さん、よく逃げられましたね」


「いやー今の姿なら逆に隠れやすくなってて
結構簡単に追っ手撒けてんだよ」


「マダオは借金取りから始終逃げ隠れてるから
ハンターどもからの逃亡もお手の物アルか」


アレ?何だろうこの物悲しさ
みんなが危機一髪の所を助けたよねオレ?」





情けない顔と声音は元の姿の名残を
しっかりと残しているようだ







目尻を拭い、気を取り直して彼は訊ねる





「てゆうか、銀さん達と君とちゃん
揃って一体何やってんだよ?」


「実は…」







五人はこれまでの経緯を簡単に説明し





妙な動きをする酒屋を探している事を告げた







「とりあえず安全な場所に案内してもらったら
無線で仲間に連絡を取るつもりだ、それで」


「見慣れねぇ酒屋だったら、場所知ってるぞ」


「え、ちょっ…マジでか長谷川さんんん!


「いやーちょっと前から廃棄の酒とか中身の
残ってる空き瓶漁ってる時やたら目についてさ」


「「本当何やらかしてるのアンタぁぁぁぁ!!」」





ツッコむ二人の脳内に 空き瓶に少し残った
酒を飲み干す長谷川の姿が浮かんだのはお約束





「それならば話は早い、マダオ殿に
その酒屋までの道を案内してもらおう」


「おぉ〜たまにはいい事言うアルな!」


「まぁ幸いこっから近いし安全なルートを
案内してやるよ、ついてきな!








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:とりあえず子供化の原因判明と共に
若干MGS的な展開となって参りました〜


銀時:つかニオイって犬かあのバカは


狐狗狸:仕事がアレなんで鼻は利く方だけど
お兄さん限定だから余計


神楽:まだ銀ちゃんとは戻んなくても
いいアル、今のが断然可愛いネ!


銀時:おまっ他人事だと思ってコノヤロ!


新八:あーもう二人とも落ち着いて
酢昆布とペロキャンあげますから


銀時:お前もかぁぁぁぁぁ!!


長谷川:あ、オレはワンカップで


狐狗狸:その姿で飲むのはカンベンして下さい
てーか酒漁りで子供化ってアンタ…


長谷川:そんな目で見んじゃねぇよぉぉぉ!!
オレだって飲みてぇ時ぐれぇあんだよ!





次回、長谷川の案内により 件の酒屋へ!


様 読んでいただきありがとうございました!