五人が街での聞き込みを始めて程なく





いやー、オレも仕事場の皆と飲み行ってさ
朝気が付いたらこんなだったよ
同僚の奴も何人かガキに戻っちまっててよぉ」


「本当 どうなっちゃったんでしょうねー」


「若い頃に戻ったのはいいとして
ガキになるのはいただけないよな〜」





あちこちから何人も、子供化した人間が現れる







「…一体これ、どうなってんですか?」


「知るかよ」





歩きながら 銀時が端的に呟く


子供に戻った二人は、自分の歩幅に
まだ慣れておらずふらついているようだ





黒の組織でも大々的に動き出したのかっつーの
てゆうか給料ドロボーどもは何やってんだ」


「アンタが言うか…まぁ詳しい情報を
彼らに聞きに行くのは悪くないな」





言ったへ、が即座に待ったをかけた





「いや、それは止めておいた方がいい」


「どうしてだ?」


「お主らの元へ来る前にちらと確認したら
勲殿や瞳孔マヨ殿も子供になっておった」





あまりと言えばあまりにも予想通りの展開に
男三人は呆れ顔になる





「…道理で奴等の姿が見えねぇハズだ」











第二訓 たまに当初の設定を忘れかける











「ゴリラにもちゃんと子供時代があったアルか
ちょっと見てみたかったネ」


「いやあるでしょ普通、それさり気に
近藤さんに対して失礼じゃない?」


「そうとも、勲殿は辛うじて人間だ」


「「お前のがよっぽど失礼だぁぁぁぁ!!」」





子供になっても切れの鋭いツッコミチョップが
の頭に炸裂した所で







「もしやその姿…銀時にか!?





甲高い、されど馴染みのある口調
五人が足を止めて振り返れば





走りよってきたのはやたらと長い黒髪の…







「「かっ桂さんんんん!?」」





やや裏返ったと新八の声音がハモる


叫びはしないまでも 銀時や神楽も
彼の登場には驚いているようだ





開口一番に挨拶したのは、平素からの
無表情を崩さない





「おお桂殿、こんにちは」


もいたのか、ちょうどいいお主らも
一緒にキャメラ探「「さないから」」





相変わらず唐突で意味が分からないまでも
子供二人が スッパリ誘いを断った





「てゆうかヅラ、よく子供サイズの着物が
あったアルな」


「備えあれば憂いナシだリーダー
服は幸いガキの頃のモノがあったのでな」


「おお、桂殿は物持ちがよいな」


「感心する所はそこじゃないだろ」


「どーでもいいけどヅラ、テメェは
何でガキになったんだ?」


ヅラじゃない桂だ…志士の皆と語り明かし
目覚めたらこうなっていた」


「桂さんもですか…」





新八のため息と共に、他の三人も
落胆した様子を見せる


…もっとも 一人は眉すら動かぬが







しかしそんな彼らの様子を見回して





「案ずる事は無いぞお前達」





自信たっぷりに、桂は宣言する







「いい方法でも知ってるアルか?」


「何 やるべき事は始めから決まりきっている」







そして一呼吸置き…彼はこう言った







「オレが隠しキャメラさえ見つけてしまえば
TVの連中もドッキリを止めるはずだ!」


「いやこれドッキリじゃねぇから!
現実見ろって桂さんんんん!」


「それよりもキャメラなんて古ぃーんだよ!」


「全く江戸全体でやるとは何処の局番だ?
最近のドッキリは油断ならんな」


「「人の話聞けぇぇぇぇぇぇぇ!!」」





だがしかし、それで素直に話を聞かないのが
桂小太郎という男である





よもやお前達まで仕掛け人だな?
オレは騙されんぞ!必ずやキャメラを
探し当てて見せるぅぅぅ!!」





ヘンな疑いを自分の中から発生させると


桂は話を全く聞かず、カメラを探しに
さっさとその場を移動してしまった







「見つかるといいな、桂殿の探し物」


「不可能だから!見つかるわけないからぁぁぁ!
お前いい加減空気読めよ!!」



「そうネ、今度からじゃなくてKYって
名前変換してもらえヨ!」


何その微妙な仕様変更!?
てゆうかそれじゃ夢小説の意味無くなるし!!」





作品のアイデンティティーを根本から揺るがす
発言をしていた最中に







「おぉぉ〜い!!銀さぁぁぁぁん!!」





向こうから彼らへ呼びかけ走ってくるのは





どこかで見たような小憎らしい顔の少年







「えーと…どちら様?」


「いやオレだって!長谷川だよ!







言われた発言の意味を ようやく飲み込むと







『え゛え゛え゛え゛え゛え゛!?』





先程以上の衝撃が全員の脳天を直撃した







「サングラスがデケェからしまってたんだけど
かければ…ほら、な?」





確かにグラサンをかけたその顔は
彼らが普段見慣れた長谷川の面影があった





「本当だ…確かに長谷川さんだ」


「すっかり様変わりしているゆえ気付かなんだ」


「長谷川さんって、ガキの頃は案外
いじめっ子っぽいツラしてたんだな」


「元は逆にいじめたくなるシケたツラアル
年食うと色々変わるアルな」


「ちょ…子供に戻ってもオレの位置って
変わらないの?オジさん泣きそうなんだけど」







結局 長谷川も子供になった経過は
桂とさして変わりの無いものだったので





話を聞いてから五人はその場で彼と別れた









そこから数分歩いた辺りで





「おお、殿の辺りから何やら音が!」


「ああ…無線の音だよ 多分の方で
何か分かったのかもしれない」





驚くへ端的に説明して、彼は無線を取る





「こちらか、どうした?」


 あれから調べてみたんだけど
子供に戻った人は何人かいるみたい』


「それは俺達も確認してる」


『どうやら戻ってるのは江戸の人達だけだわ
それとね、共通点が見つかったの』


共通点だと…一体どんな?」





一拍の間を置いて伝えられたのは
何とも奇妙な情報だった





『子供化した人間はみんな成人男性…18歳から
上で、特に20代から中年の方が多いみたい』


「はぁ?何じゃそりゃ」


『私に聞かれても…でも何か分かり次第
逐一連絡入れるから、気をつけてね


「ああ、そっちもな」







優しくささやき無線を切った彼へ
新八が問いかける





「どうでしたさん、何か分かりましたか?」


「いや 役に立ちそうなモノは…」


「んだよ収穫ナシか?しょうがねぇから
源外のジジイんトコ行ってみよーぜ」


「えーもちょっとこのままでいいヨ
今の銀ちゃん私より背ぇちっこくてかわいいアル」


「だぁぁ頭撫でんなっつーの!」





ぎゃあぎゃあと騒ぐ五人の背中に







「その子供二人…渡してもらおうか





数人の男達を引き連れた 貧相な顔をした
白衣の男の言葉がぶつかった







「え?あの誰ですかあなた達」


「お主らの妙な黒服…さては先程銀時が
言っていた黒の組織とやらか!」


「シャレにならないから止めてさんんん!」





男達は誰一人、彼らの様子を意に介さず
淡々と同じ言葉を繰り返す





「その子供二人…渡してもらおうか」


「言っとくけどコレ、元々ダメな大人二人ネ」


「「ダメとか言うなコラァァァ!!」」





指差す神楽に元・大人の叫びがシンクロする







白衣の男に僅かな苛立ちが浮かびあがり





「いいから子供どもをこちらに寄越せ
嫌がるなら力尽くで連れて行く





言うと同時に居並んだ何人かが、二人を
捕まえようと手を伸ばし―







いつの間にか槍を構えていた
その手を鋭く殴打した





「二人に何をするつも…っ!」


言葉半ばに男の一人が投げた縄らしきものが
空中を不自然な軌道で舞い


たちまちの身体をみの虫状に縛り上げた





!」


さ…うわぁっ!?





動きかけた新八と神楽もまた、同じように
縄でがんじがらめに縛られ







「手荒な真似は避けたい、そこのガキ二人
こっちへ来てもらおうか!」






捕縛された三人を取り囲みながら


白衣の男が銀時とへと手招きする







「ざけてんじゃねぇぞ!」





瞬時に銃を構え、迫る男達の足元へ
弾丸を放とうとするだが


引き金にかけた指が震えたまま動かない





「ぐ…引き金が固くて…!」


「っだあぁ役立たねぇガキだなテメェ!
こうなりゃオレの出番だろぉぉぉ!!





木刀を大上段に構えて飛び上がり
白衣の男へと狙いを付ける銀時







が、横手から投げられた縄に
あっさり捕まりみの虫になってしまう





「ふんっ!ふんっっ!ん〜〜っ!!


いやアンタだってガキの状態だから!
今の銀さんじゃ上から潰されて終わりだから!」







いまだ抵抗していたも縛り上げると


男達は手を伸ばし、二人の身体を抱きかかえた





「銀さん!さん!」







叫んでもがくも 新八達の身体を拘束する縄は
緩まる気配を見せない





くっそ離せテメェらぁぁぁ!
甘ーいションベンぶっかけんぞゴラァ!!」


「小学生かアンタは!
くそっ、お前ら何が目的だ!」


「ふん…どれだけ喚こうが所詮はガキだな
よし、こいつらこのまま連れてい」


その命令を言い切るよりも早く







槍底がアゴを突き上げ、白衣の男を昏倒させた





「なっ…この女いつの間に!





驚き、新八と神楽を取り囲んでいた男達が
取り出した縄をへと発射するが


両手で素早く円状に回転させた槍が全てを弾く





「何だと!?この女何者」


「「でぇやああぁぁぁぁ!!」」





戸惑った彼らの隙をついて新八と神楽が
体当たりをブチかまし


体勢を崩した男達を、が瞬時に薙ぎ倒した







「助かったわ〜あんがとなお前ら」


「それにしても…どうやって
あの拘束を解いたんだ?」





拘束からようやく解放された子供二人が問えば


彼女の表情に珍しく、僅かな呆れが浮かんだ





「よもや二人とも…私の半身が
天人だと忘れておらぬか?」


「「あ」」







どうやら両者に気を取られたあの一瞬で
身体の間接を外し


素早く戒めから逃れたは周囲の者達を
気絶させ、男へ間合いを詰めたらしい







「にしてもこいつらの目的は一体…」


「知るかよとりあえず一人引っ張って
源外のジジイんとこに行くぞテメェら」





言って銀時は、足元に倒れている
白衣の男を軽く蹴り上げた








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:ヅラと長谷川さんの登場に、謎の奴等の
暗躍っぽい部分まで行きました


銀時:展開早くね?まだ二話目だろ


狐狗狸:いやー、とりあえず今回はここまで
進めないと この先色々尺食いますので


新八:何処のプロデューサー!?


神楽:銀ちゃんやもだけど、ヅラも意外と
子供の頃は可愛いアルな


桂:む?そうかリーダー


長谷川:にしてもちゃんて天人のハーフなんだ


狐狗狸:あ、知らなかったんだっけ?




次回 源外の元へとやって来た五人に…


様 読んでいただきありがとうございました!