「ヤバイ鉄!あいつはヤバイ!今までの甘い壁とは
違うから!腐ったぬるぬるの壁だから!」



「そこまで言う!?」





土方の忠告(と背後でのツッコミ)にも鉄は耳を
貸さず、スクーターの二人への挑発も止めない





「よくきけYO!こっちケーサツ!
オタクケーソツ!ブタ箱ケーコク!」



「いやそのへんは聞こえてたよ、ケーコクの後」


「イエーイ」


「え?イエース?


「イエーイ!」


家?家がどうかしたのか?」


「「いや一番どうでもいい所だけど!?」」





トンチンカンなやり取りにWツッコミが入って





「ちょっとうるさくてきこえない」


おもむろに身を乗り出した銀時が、パトカーの
ステレオを木刀で破壊した





「ファーーック!」


思わず叫んだ鉄の頭に黒いブーツの底がめり込み


何度も足蹴にされる鉄を見て、後部座席の二人が
ナイフ片手に外人特有の罵声を放ちながら





「誰がファッションリーダーだ!!」


降りる寸前で 銀時がドアを蹴って彼らを挟む





「ファッションリーダー位わかるぞ
ダンカンバカヤロー!


「いや全然わかってねーし!!
誰もそんなこと言ってねーし!」






そしてよく分からない方向へキレた両者を見て


パトカーに残ってた彼らも路上へと出る











第二訓 デキが良くても悪くても兄弟は面倒











「おいやめろてめーらこんな公道の真ん中で!」


うっせぇぇ!
マジコイツだけは許せねぇファッキンテンパ!」


誰がファッションパーマだ!
確かにオシャレパーマだけども!」


「銀時、お主の髪は天然ではなかったか?」


「ちょ、ちゃん?空気読んでくれる毎度毎度
見ろよこの人気投票1位獲得したこのオシャレパーマ」


「評価されたのは天パじゃないけどな」





そこで、彼はじと目でツッコんだに気づく





「っておい何でがいんだよ
チンピラ警察24時に鞍替えしたか?」


「桂さんみたいな言い方すんなっつの
俺はMSFとして仕事をしてるだけ」


「なるほど、以前申した合同演習というやつか」


「オイテメーらシカトきめこんでんじゃねーぞ!」







三人の会話の最中に割り込んだ鉄が





「オレとサシのラップディスり合いで勝負しろ!」





一方的に宣言し 外人二人とラジカセ鳴らして
ディスり合いラップを踊り始めた





「YOYOお前、何処の馬の骨?」


「オイ、なんか始まったぞ
何やってんだこいつら道路の真ん中で」


「島根?赤羽?白金?黒船?それより
オレのパンツしらね?」 「「FU〜!」」






声を上げながら 三人がその場でハイタッチする





「何がFUなんだ、最終的にお前が
パンツなくした話しかしてねーだろ!!」



「いや瞳孔マヨ殿 それは早く見つけねば
大変だと思「本気にするな





土方のツッコミに誘発されたボケをが回収し





「FU〜!」


迷いなく銀時が鉄をはり倒した





何でお前もFU!?
そこで攻撃!?そーいう対決なの!?」






無論 彼は外野に構う事無く対抗ラップを踊りだす





「YOYOお前どこの馬の骨?
ク○ス?フィ○ィ?○り?か○い?」



「誰ディスってんだぁぁ!!
馬の骨っつーか馬の面じゃねーか!?」



「それよりこのパンツ
プールに落としたやつファキナ!!」






リリックを言い切ると共に、銀時の腕から
ブリーフパンツがあさっての方へと投げ飛ばされ





「「お前が持ってたんかぃぃぃ!!」」


「あっぱぁぁぁぁ!!」





見事なWツッコミが炸裂する側で、パンツ目がけ
八百屋へ飛び込んだ鉄は店長にボコられた







「FU〜!」


銀時は外人二人組とハイタッチを交わし





「なんで喜んでんだ!?
てめーら仲間じゃねーのか!?」



「FU〜!!」


「「なんか知らねー奴もFU〜!?」」


○リ○に一発もらって張り倒された





「ともあれ、下着が見つかってよかったな」


…ひょっとしてわざとやってるだろ?」





ボケが回収された直後 身を起こした鉄が言う





「うぅ…負けたぜ、兄弟」


「何が?オレから言わせたら全員敗者ですが?」


「ていうか勝負になってたのかあれ?」





呆れ果てる彼らの言葉に構わず鉄は


気が済んで、を後ろへ乗せてスクーターを
発進させようとしている銀時へ なおも呼びかける





「またいつか…一緒にコラボってくれるかな?」


「…え?何?何て?


「まだ何か用g」





言葉半ばで 一台の自動車に跳ねられて

二人はスクーターから投げ出されて吹っ飛んだ







「きょ、兄弟ぃぃぃぃ!!





助けるべく彼らの側へ駆け寄ろうとした
の前に、同じような自動車が続々と現れて


中から 真選組に似た制服の隊員達が降りてくる





「確保!午後3時40分、公務執行妨害で逮捕!」





そして路上の銀時との手に 手錠が架けられた





「なっ…おっ、お前らは…!







真選組の縄張りを荒らすつもりはなかった、と
慇懃な謝罪を口にして 黒い自動車から降り





「あなた方に仇なす賊を黙って見過ごせなかったまで
私…真選組のファンですから


「その制服…まさか…お前ら…!?


鬼の副長殿に存じて頂けるとは
同じく江戸を護る者として光栄です」





長髪を後ろへと撫で付け、片眼鏡(モノクル)を
右目にかけた 半開きの眼差しの男が敬礼する





「私、ベタを塗り忘れた真撰組じゃありませんよ
見廻組局長、佐々木異三郎と申します」


「見廻組…!?」


「この制服もあなた方の制服をモデルにして
作らせたのですよ こんな時代ですから作家にも
エコをと白くなってしまいましたが」


「誰も聞いてねーよ」





若干メタい発言に すかさずツッコんだ
相手は視線だけ向けて続ける





「おや、あなたは確か…」


「知ってるのか?」


「ええ、他国の私設武装組織ソレs…
ゴホン、MSF司令官のさんですよね?」


おい、一瞬間違えそうになったろ」


「すみません 私、真撰組にゾッコンなので
他にはあまり興味が…「少しは持て!」







彼の抗議を無視し、異三郎は二人の間をすり抜け


両手で三つの携帯を操りながら続ける





「アドレス サブちゃんで登録しておきましたから
メールしてくださいね、こっちはトシにゃん
キンちゃんで登録しておくんで」


うち二つは…間違いなくと土方の携帯である





俺の携帯…いつの間に!?」


「て…てめぇ!





異三郎は二人へ携帯を投げて返しつつ


"友達が少ないので ついがっついた"と
形ばかりの謝罪を口にする





「誤解しないでください 何度も言うように私
真撰組のファンですから…ああ、あなたのは
ついでです 一応幕府の同盟国なのでね」


「いちいちカンにさわるなこいつ…!」





苛立つ彼など目にもくれず、相手はあくまで
"真選組のファン"だと繰り返しながら


睨みつけるように土方へ視線を定めて


"生まれも育ちも貧しく、才能の無い者達の力で
今まで江戸を護ってきた 奇跡のような存在"



丁寧で皮肉めいた態度を崩さぬまま言葉を重ねる







「あなた達の元ならば 佐々木家の落ちこぼれにも
何らかの使い道があるやもと思ったのですが…」





その一言に、鉄は気まずそうな表情でうつむく





「どうやらこの様子では愚弟の居場所は
どこにもなかったようですね」


「鉄…お前…」


「確か真選組には士道に背いた者に腹を切らせる
局中法度なる掟があるとか」





佐々木家に遠慮はいらない、と続けながら

背中越しに冷たい眼差しを鉄によこして





「斬っていいですよ、それ」


"いらなくなった物を捨てる"様な台詞を口にした





「佐々木家の名を汚す劣等遺伝子は
この世に必要ありませんよ…アドレス帳から
「妾の子」はもうとっくに削除してありますから」


「…おい待て」







立ち去ろうとしたその背へ、が言葉をぶつけ





「仮にも同じ家の人間に何故そんな態度がとれる?」





振り返りもせずに 異三郎は返す





「言ったでしょう、妾の子だと 腹違いの弟
まして佐々木家の名に泥を塗る様な者など…」


「それでも、血の繋がったれっきとした家族だろ」


「あのような者を家族と呼べと…?
地球が滅亡してもあり得ませんね」






冷淡に 鉄への侮辱を繰り返す異三郎の携帯へ

彼は懐の銃を構えて狙いを定め







…一瞬早く 土方の刀が閃いて携帯を斬る





「ワリィな ついでに俺のアドレスも削除しといたぜ
オレら(こっち)に入った優等生のアドレスもな


「トシ…!」


「あいにく、オレのフォルダの区分は…
悪(バラ)ガキしかねぇんだ」






ようやく振り返って、鋭い視線を真っ向から受け


異三郎は淡々と言う





「…いいでしょう、どうせ携帯買い換えようかと
思ってたところでしたので」


「言うトコそこなのか?」


呆れ気味なのツッコミもキレイにスルーし





「公務執行妨害の犯人を連行しなさい
さっさと帰りますよ」





言って異三郎は隊員に命じ、自らも倒れている
銀時達の方へと歩み寄っていく





「…きょ、局長!」


「何ですかうろたえて」


「その、犯人の意識が…!


「まぁ車で跳ね飛ばしたから無理ないでしょう
男の方は任せますよ 私は女の子の方を…」





面倒事(若干私情)をさらっと部下に押し付けて
異三郎は倒れたの身体を抱え





……そこで ある異変に気がついた







「ん?」





純白な制服が、見事に赤く染まってゆき





土方ともそれを目にして、ようやく
彼らの動揺の理由を察し…やっぱり叫んだ





「うわあぁぁぁぁー!?」


「道理で大人しいと思ったら、案の定かぁぁ!
平常運転で死神に好かれすぎだろ槍ムスメ!!」



「あ〜あ、せっかくカレーうどんで
汚れた制服を新調したのに…また換えなくちゃ」


「「心配するとこそこじゃねぇぇぇぇぇ!!」」





かなりズレた発言をした異三郎の頭を二人が
正にドンピシャのタイミングでどつく





無論、は治療を施された後


銀時と共に見廻組に連行されていった









「しっかし、大丈夫なのかあの二人…」


「心配すんな 後で総悟にでも手続きさせとく」





かったるそうに帰ろうとする土方が通り過ぎるのを


鉄はただ、その場に佇んだまま眺めていて







「…何してんだ」


「え?」





立ち止まった土方から話しかけられ 困惑する





さっさと屯所に戻るぞ
まだやる事は山ほどあんだよ」


「は、はい!





自然と丁寧な返事を返した鉄は、屯所へと戻る
土方の背中を追いかける







二人のその姿に…かつての自分と"彼女"を重ね


懐かしげに笑んだも、MSFとしての仕事に
戻るべく ゆっくりと彼らの後を追った








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あとがき(管理人出張)


狐狗狸:予想通りながら、ウチの子が入ると
ボケ合戦があらぬ方に加速するなぁ


銀時:つーかもうこれ全部一人
いいんじゃないかなぁ〜オレらとっ捕まったし


狐狗狸:よくねーよ!てか一応両サイドでの進行
あるんだから、どっちも必要っしょ!!


土方:しかしアイツがあそこで"家族"を語るたぁ
…これも槍ムスメの影響か?


異三郎:彼女は一体 どういう人物なんですか?


狐狗狸:ある意味、アナタと波長が合うかも
しれませんが…どうなんでしょうね?


銀時:つーか"無表情キャラ"ポジが無くなったら
本格的に三途ヒロインになるぞアイツ




それは新しいなと思いつつ、次回 この一件を
経た鉄に変化が!そして銀時達は…?


様 読んでいただいてありがとうございました!