「人を探している」
私は単刀直入に 用件を言った
「 、生きていれば26になる筈だ
…どうしても探してほしい」
途端に、銀時殿の態度が豹変する
明らかに やる気をなくした顔だ
「オイ 生きてるかどうかもわかんねーもんなんて
探せるわけねーだろ、そーいうのは警察頼め」
「頼めたら初めからここには来ない」
そう告げると 新八殿が眉間にしわを寄せた
「え、ちょっと さんって…ワケアリですか?」
「あーわりぃけど ウチ、厄介なのは引き受けねーから」
とっとと帰れ と言わんばかりに
銀時殿が手の甲で追い払う動きを見せた
手の平返した態度 とはまさにこのこと
「…先程 家賃に困ってるといっていたのにか?」
多少卑怯だが、相手の弱みをつついてみた
しかし 銀時殿の態度に変わりはなかった
「それはそれ これはこれ、大体考えてみりゃ
今すぐ家賃なんてババアが待つわきゃねーよな」
「って それ本格的にマズイじゃないですか!
嫌がらせ以前に、本気で路頭に迷いますよ僕ら!!」
「新八 わかってないネ、人は迷ってこそ
成長していくものアル」
「って 何いい事言ってんのさ神楽ちゃん!
路頭迷ったら君のご飯も定春のエサも
ままならないんだよ!?」
「マジでかあぁぁ!ちょっ どうするアルか」
第二訓 家賃は取り立て屋が来る前に払え
…騒がしい
家賃がどうなろうが この万事屋がどうなろうが
私には本気でどうでもいい
けれど、この依頼だけは何が何でも行ってほしかった
絶対に 私は あの人に会って
いまだ騒ぎつづける三人に向かって 私は宣言した
「わかった なら私がここの家賃を代わりに払う
…家賃は下の大家に払えばいいんだな?」
私は 玄関に向かって歩みを進めた
「え、マジで?ちょっマジで?」
「無理アルよ 4ヶ月もまともに払ってないから
貧乏人にはゲロの音すら出せないネ」
「何その汚い音!?グウの音だよ!!
てか依頼も引き受けてないのにそんな事されても
困るんですってさん!」
引きとめようとする新八殿を 振り解いて睨みつける
「嫌だ 絶対に探してもらう、邪魔をするなら殺すぞ」
「えええええ ちょ、何無茶苦茶な事言ってんの
この人 テロリスト!?」
「つか お前ヅラの回し者じゃねぇのか!?
てゆーか回し者だろ!!」
「頭髪センターの知り合いなどおらん」
「あってるけど違えぇぇ!!」
必死でまとわりついてくる銀時殿と新八殿を
何とか跳ね返しつつ 玄関の戸を開けたら
「うるせぇよこの甲斐性なしどもがあぁ!
家賃も払えねぇならさっさと出て行かんかい!!」
いきなり目の前に 恐ろしい顔の老女が出現した
「ん…何だいアンタは?」
キセルを斜めに構えて 老女が私を見下す
「ここの家賃を払って 人を探してもらおうと
思っている者だ」
「笑わせんじゃないよ アンタみたいな娘っ子が
ロクデナシどもの家賃を払うだぁ?
んな金持ってるように見えないねぇ」
…私は懐から 銭の入った袋を出して
老女に押し付ける
「私の手持ち全てだ…足りないなら働いてでも
全部払う」
老女は袋を手にとって中を改める
「…ちょうど溜まった家賃は帳消しに
なるようだねぇ」
「オイオイオイ お前なんでそんな金持ってんだよ
パパでもいんのか!貢がれてんのか!?」
いつの間にか側によってきた銀時殿が
老女の手の中にある袋を覗き込んでいた
「……パパって何だ?父上ならもう当の昔に
他界している」
「神楽ああ!お前の姉妹がここにいんぞ!!」
こちらも袋の中を見ようと近づいてきた神楽殿に向かい
銀時殿が声を張り上げる
「ひどいヨ銀ちゃん!私の上は兄貴アル
それにパピー まだ生きてるヨ!」
「なら隠し子だ隠し子!この脳みそプリン思考は
間違いなくお前ん家の遺伝だって!!」
「論点違えぇ!落ち着いてい考えようよ二人とも!!
さすがにそれはないって!!!」
と新八殿が暴れ始めた銀時殿と
神楽殿をいさめる、だが
「だったら 母親の方じゃないのかぃ?」
と老女がとんでもないことを言い出した
「何だとババア!
マミーはそんなふしだらじゃないアル!!」
「いや〜でも 日常に退屈した人妻がついパーっと
羽を伸ばすってのも珍しか」
ニヤニヤした銀時殿を思い切り殴る神楽殿
…壁にめり込むほどの力で殴るほど
本気で怒ってるらしい
どうやら、二人の説を真に受けてか 新八殿までもが
恐る恐る私に尋ねる
「まさか…さんは生き別れのお兄さんを
探してほしいってワケないですよね?」
私は首を横に振って答える
「いや 私は兄を探している…しかし」
断じて隠し子などではない、という
私の言葉を無視して
「ほほほほほ本当に
神楽ちゃんの姉妹ーーー!?」
「ほらみろほらみろ!やっぱ一夜の過ちで
アレなことになったんだって!!」
「イヤー!マミーのアバズレー!!」
と三人は口々にまくし立てた
……流石にもう我慢の限界にきて
槍に手を伸ばしたその時
「いつまでも下らない冗談間に受けてんじゃないよ」
三人の口を閉ざしたのは 老女の一言だった
「って 元はと言えばオメーのせいだろババア」
「頭悪いね、ちょっと考えりゃ
そこの娘が夜兎族じゃないことぐらい
わかりそうなもんじゃないか」
銀時殿のツッコミをものともせず
静かにタバコをふかす老女
「まぁ それもそうか、こんなの二人もいたら
まさに人類の終わりだなファ!」
銀時殿が神楽殿の頭をポンポン叩き
神楽殿が表情を変えずに
銀時殿のあごを拳で掬う様に殴った
…ちょっとすごいと思った
「人を探してるとか言ってたね…おいお前ら!」
老女が私を一瞥すると 三人に向けて声を張り上げる
「家賃肩代わりされたからにゃ
しっかり働いて返すんだよ!」
それだけ告げると 老女は下へと降りていった
「…ちっ 仕方ねーか、こうなりゃ兄貴だろうが
人妻だろうが責任もって探してやるよ」
苦笑交じりで銀時殿が呟いた
「いや 人妻探してどうすんですか!」
「どうするってオメー、そこまで話さなきゃいけねーの?
うわっヤラシー 新ちゃんヤラシー」
「不潔アル もう私のそばに寄らないでヨ、ダメガネ」
新八殿を遠巻きに見て ボソボソと会話をする
銀時殿と神楽殿
「誰がダメガネだあぁ!!」
………うるさい
ガガガガガガっ!!
三人は 音がした方に視線を向けて固まる
私が一瞬のうちに破壊した 玄関の扉(らしき残骸)に
「どうでもいいから 引き受けてくれる以上
さっさと兄上探してくれ」
槍を構えなおしつつ言うと ようやく三人は
『……はいさん』
と、何故か引きつった顔で答えたのだった
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あとがき(というか楽屋裏)
狐狗狸:銀魂夢の第二話完成〜つか ようやく
依頼を受けたみたいな展開でスイマセン
銀時:つか何気に水増ししてんじゃねーかコノヤロー
元々うっすい話が更にうっすくなって 崩壊寸前だよ
新八:それにさんの名前呼んでるの
基本的に僕だけじゃないですか しかも回数少ないし
狐狗狸:相変わらず
ウィークポイントツッコまないで!!
神楽:それよりも 何隠し子疑惑発覚させてるネ!
話題作りもいい加減にしとけよコノヤロー!(殴)
狐狗狸:ギャー!!本気で殴んないでっ
君が殴ると洒落んなんないから!流血沙汰だから!!
狐狗狸 本当に流血した為、会話終了
次は…お妙さん出るかもしれません、ギャグ必死?(爆)
様 読んでいただきありがとうございました!