身体は傷むが、そんな事は言ってられなかった





どうしても 私は彼らにお礼を言いたかった







包帯だらけの身体を引きずり、看護士殿に
何やら注意されながらも







どうにかして三人の居場所を突き止め、









「…ここに いたのか、探したのだぞ」





屋上のドアを開け 目の前の手すりに
寄りかかっている銀時殿達を見つけて


私は開口一番にそう言った









「あ、 何でモップ持ってるネ
最近の流行に乗ったアルか?」


「誰か死ぬ夢のお告げでも見たのかこのヤロー
で、このあと誰が死ぬの?新八?


「何で僕なんですか!?」





返って来た返事は 予想したものと大分違っていた







確かに私は モップに少し寄りかかるようにして
ここまで歩いてきたが…





「いや、このモップは病室近くにあったものを
松葉杖代わりに拝借したのだが」


「それすぐ返してきてください!病院の備品
勝手に持ち出したら普通怒られますって!!」





新八殿の台詞で ようやく私は合点がいった





「…そうか だからすれ違う看護士殿は
皆 一様に怒っていたのか」


「「「気付け!!!」」」







三人同時にそう叫ばれた…そんなに
悪いことをしたのか私は?











第十五訓 呼び捨ては親しくなってから











「折角 病室からここまで来たというのに…」





言いながら モップを杖代わりに
もう少し、彼らの方へ歩み寄る





「だーかーらー病人はもうちょい寝てろっつの」


「そうですよ、今うろついたら
傷口が悪化しちゃいますって」


「そうね、そしたら誰が新八が死ぬのを防ぐアル」


その話題から離れてぇぇ!また僕ら
色んな人たちに怒られちゃうから!!」







新八殿が何に過敏反応しているかは
よく分からぬが







先程、病室で言えなかった疑問が
再び沸いて出る









何故 こんなにもこの人達は何気なく
私に接してくれるのだろう





私達の過去を知って、あんな目にあって尚





得体の知れぬ私を受け入れてくれるのだろう









「どうして皆 そこまで私を信用して
…助けてくれたのだ?」











三人は、きょとん とした顔をして







一様に穏やかな笑みを見せる





「んだよ、理由がなきゃ納得できねーのか?」







銀時殿の言葉に 私は強く首を振る





「そりゃ、さんとさんがあの記事の
二人だった時は驚きましたけど…」


 嘘つくほど器用に見えなかったアル」









新八殿に続いて神楽殿が言う





どちらの言葉も温かいもので、





「まー兄貴にも無事会えたことだしよ
お互い命を粗末にせずに仲良く生きろや」







こちらを見る銀時殿の目は





あの時と同じ光が、微かながら確かに宿っていた







「何度道が逸れようともよぉ
魂が前を向いてりゃ まっすぐ進めるもんだぜ」
















ああ そうか







万事屋のこの人達がいてくれたから





この人達が 助けてくれたから







私は、兄上にようやく会えたんだ













「本当に 色々とありがとう、
銀時殿に新八殿、神楽殿」








精一杯の感謝の言葉に しかし銀時殿は
ぽりぽりと頭を掻きながら







能面見てーな顔で礼言われてもよぉ、
全然嬉しくないんだけど オレら大変だったんだから
もちょっとありがたみとかよー」


「ちょっと銀さん!」


「銀ちゃんの言う通りネ の今の顔
何だか辛気臭いアルよ」


「神楽ちゃんまで…」









表情の乏しさは自覚していたけれど





そこまで言われ 少し腑に落ちなかったので







私は何とか、笑顔を浮かべて見せた









「これでも…能面だろうか?」











父上が死してから、久しく笑うことなどなくて







恐らくぎこちない笑みだったに違いないけれど







「何だ 笑えるじゃねーか、そっちの方が
さっきよりよっぽどマシだぞ」











そのただ一言が 彼らの微笑む顔が







途方もなく嬉しかった









「あー、それとな お前の兄貴から
お前の面倒宜しく頼まれてんだけどよ」


「…兄上が?」





やる気なく鼻をほじりながら





正直面倒だしご免こうむりてーが、常識の
なさ過ぎるお前を野放しにすんのも危ねーしよー」







そのまま 銀時殿は、私の頭を手の平で軽く叩く





「つーわけで、何かあったら相談しに来い
話だけでも聞いてやる」


「あ…ありがとう 銀時殿」





しどろもどろにそう言うと 銀時殿が
大きくため息をついて、







「オレ達といる時ぐれぇ肩っ苦しいのは抜きにしろよ
それに一々こいつ等にそー言う態度とると
途端に付け上がんだけだぞ







銀時殿の後ろで 新八殿と神楽殿が





だったら給料払え!等と言った
文句を飛ばしている









自然と 笑みが零れるのがわかった





「承知した…改めて
これからよろしく、銀時 新八 神楽


「呼び捨てかよ…まあいいけどよ」


「よろしくさん」


「こっちこそよろしくネ 













犯した罪を命で償う為だけに、
ただただ私は生きていた







けれど、今から歩む道には 罪を償う術





側にいてくれる仲間や人達があるようだ







父上、兄上…私は、今度こそ罪から逃げず





仲間と共に 生きていこうと思います











「まー改めて挨拶も済んだし
ジャンプ買ってきてくれや


、私 酢昆布とりあえず六箱な」


ちょっ 何フツーに病人パシらせてんですか!?」





まなじり吊り上げて怒鳴る新八ど、
ではなく新八に


二人は平然とした表情で





「だってモップ持ってんだろ?
ならひとっ走り新八助けるついでにジャンプを」


僕に恨みでもあるんですか!?てか僕達
お見舞いに来たんじゃ」


黙れや新八 とにかく今モップ持ってる女は
パシリするのが常識ネ、パクリ元でも外人走ってたし


「それ以上は本当ヤバイから!
アメリカ敵にまわすから!!






私は神楽ど…神楽の言葉に


雷に打たれたような衝撃を覚えた





「そうだったのか…失礼した、すぐさま
売店に行かせてもらう!」


「料金は全部自腹でヨロシ」


銀時ど、いや 銀時の言葉半ばで





松葉杖をつく兄上が横手から
彼の頭を叩いたのだった







「うちのに変な事教えないでください」








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:これにて捏造まみれな長編も終わりで
ございます お読みいただきありがとうございました


三人:ありがとうございました〜!


狐狗狸:最近の流行を絡めようかなって感じで
モッ○ガー○も混ぜてみました


新八:この話たしか、星海坊主さんと紅桜篇の
間ですよね?ネタの時間軸おかしくないですか?


狐狗狸:いいのいいの、あのドラマの設定一部
T○Uのパクリだからそっち関連で


新八:だからその話題はいい加減にしてくださいよ!
本当に訴えられますよ米国から!?


神楽:もともと銀魂はそういう芸風アル


銀時:この話だって一種のパクリなんだし
ギリギリを楽しめって


新八:ギリギリすぎるわあぁぁぁ!
もうこれアウトだから 完全アウトの方だから!!


神楽:ところではあのあとどうなったアル?


狐狗狸:?もちろん兄貴に叱られて
うな垂れながら病室に強制連行です


銀時:犬かあいつは




本当にありがとうございました!
気が向いたら紅桜篇も書くかもです…


様 読んでいただきありがとうございました!