「はあぁぁぁぁぁぁ!!」





銀時が先陣を切って駆け出し、


暴れまわる餓鬼椿を大上段に振りかぶって
切りつける





すると、あっさりと一刀両断された







「あれ?何か手ごたえ無くね?」


「えええ ちょっと、これで終わりって…
えええええええ!?





あまりのあっけなさに 一同が呆然としていた







すると、二つに分かれた餓鬼椿から
中くらいの塊が二つ生み出され







『我ハ餓鬼椿』





その二つがでかい一つ目を開け、
同時にしゃべった







「「「増えた!?」」」


『サキホドマデハ 膨大ナエネルギーニ暴走シテ
思考回路ガ異変ヲキタシテイタ』






触手と身体をずりずり這わせ、先程よりも
格段に素早く移動する餓鬼椿(×2)





『シカシ身体ノ修復ニエネルギーヲ使イ
思考回路ガ復旧シタ今、ヨウヤク核ヲ
ワケルコトガデキタ』



「反則だろ、分裂する上に素早くなんのって」


『我ハ核ガアル限リ無限ニ増エ 融合シエネルギーヲ
食ッテ力ヲ得ツヅケル!我コソ最強ノ兵器』



「うざいアル」





話の途中で神楽が餓鬼椿を打ち抜くが


打ち抜かれた片方の餓鬼椿が二つに分かれた





『無駄ダ 我ハ無限ニ増エツヅケル!!』


「何やってんの神楽ちゃん また増えたよ!?


「上等だよ、こーなったら ガンモドキ
全部叩き潰し大会じゃあぁぁ!!









それから、襲いくる餓鬼椿&分身





万事屋三人の新たな戦いが始まった











第十三訓 がんもどきは一個で十分











『フハハハハハ!!』


「銀ちゃん ガンモドキがまたくっついたアル!」


「何コレ 無限増殖!?







叩けば叩くほど 餓鬼椿は
どんどん小さく、そして多くなってゆく





『我ハナンドデモ蘇ル!諦メロ!!』







しかし 肝心の





分身と融合しては叩かれて分裂してを繰り返し
いまだに逃げ回ったままだった











「だあぁくっついたり離れたり
うぜぇぇぇぇ!!」



「銀ちゃん もう基地ごとダイナマイト
何かで壊したいアルこいつら」





銀時と神楽は、いい加減イライラきているようだ





「いやいやいや、それやったらさんや
さんが巻き添えになりますから!!








言いながら、新八がのいる方に
視線を向けるが





そこにいるのは、重体のまま倒れたのみ


側にいるはずのの姿が無い







「…あれ?さんは??


「つーかガンモドキの核はどこいきやがった?」







気が付けば さっきまでうるさいぐらいに
しゃべっていた餓鬼椿(核)の声も無く





辺りにいる人の頭大の 増えまくった分身も
ただ蠢くばかり











新八が、少し離れた瓦礫に佇むを見つけた







さん 何やってるんですか!
じっとしてなきゃ危ないって」


「避けろ 新八!!」





銀時の声が飛び、新八が反射的に
後ろに下がった瞬間







鋭い何かが 彼が先程までいた空間を突いた





それは、一本の槍で





「え…さん…!?」







槍から視線をたどると、槍を構えたに行き着く





しかし、の目に意思の光は無い









『コノ女ヲ乗ッ取ラセテモラッタ』







声と共に 人の頭大の餓鬼椿(核)が


の右肩に現れた







大半の触手を背中に連結させ、余った触手が
の首や腕に巻きついている







『我ヲ攻撃シヨウトスレバ、コノ女モ死ヌ』


「そっ…そんな…!」


『サアドウス』





餓鬼椿の言葉半ばで


二人は全力を吹っ飛ばした





「ってオイィィィ!!







の身体が後方へ吹っ飛んだと同時に
新八が驚愕の表情で叫ぶ







「何一緒くたに攻撃しちゃってんの!?
さん巻き添えにする気!!?」



「ガンモドキの言うことなんか信じるな
こーいうのは叩けば直るのが相場だ」


「叩けばきっとも目を覚ますね」


覚ますかあぁぁ!既に体力限界だから!
永久に目を覚まさなくなるから!!」








三人が何やかんや言っている間に
が身体を起こし、餓鬼椿(核)が口を開く







『何ト非常識ナ連中ダ』


ガンモドキに非常識って言われたくないアル」


『ググ…イイカ 我ガソノ気ニナレバ
コノ女ナドイツデモ殺セル!』








怒気をはらんだ餓鬼椿の声と共に
の首に巻きついた触手がきつく絞まる







『コレ以上我ヲ攻撃シタラコノ女ヲ殺ス!!』









その言葉が本気であることを悟り、







銀時と神楽が持っていた一塊の石ころ
(神楽は一抱えの岩だが)





舌打ちと共に床に叩き捨てる









ちっが人質に取られちゃ仕方ねぇ」


「あんた等その石で何する気だったの
そんなの当たったら確実にさん死ぬよ!?


「大丈夫ネ も天人アル、これ位じゃ
きっと死なないヨ」


「君と一緒にしない!!」







 の巻き添えを前提で攻撃するほど





二人は逃げる餓鬼椿(核)にキレてたようだ







『ソノママジットシテイレバ、我モコノ身体ニ馴染ミ
我ガ分身ガ即座ニオ前達ヲ葬ルダロウ』










餓鬼椿(核)が取り付いたはその場で佇み







周囲の餓鬼椿(分身)がじりじりと、
三人に向かってくる









「銀さん どうします、この状況」


「脱出が遅れると兄ちゃんも危ないアル」







をかばいながらも新八と神楽が
銀時に呼びかける







銀時は 佇むをじっと見つめ、











「いつまで寝こけてる気だ 
朝だぞとっとと目ぇ覚ませ」









その声に 周囲の餓鬼椿の動きが少しだけ鈍くなる







真摯な目で銀時はに呼びかける









「テメーの魂は、そんなちっぽけなガンモドキに
支配されるほどセコいもんかよ」












しかし、に反応は―ない







「銀さん…やっぱり駄目なんじゃ」


「ふぅ、仕方ねぇな 神楽」


「わかったアル!」





神楽が何処からか出したマジック(油性で黒)
銀時に手渡す







銀時はキャップを外し、気を失ったままの
の上半身を起こすと


ニヤッといやらしい笑みを浮かべて







「はーやくしないと大事な兄貴の顔に落書きするぞー」


「まず額にって書くねって!」





神楽も悪乗りしてマジックを出し の顔に迫る





「小学生のイタズラかっての!そんなんで」


「止めろおぉぉ!兄上の婿入り前の大事な大事な
ご尊顔に何する気だ――――――!!!」








新八のツッコミを遮り、の意識が覚醒した








「ほら、復活した」


「やっぱりブラコンアル、新八と同類ネ」


失礼な!僕はあそこまで酷くねーよ!!」







餓鬼椿が思わず驚嘆の言葉を口にする







『ナッ!?貴様 我ノ支配下ヲ打チ破ッタト
イウノカ!!』



「兄上への揺ぎ無い愛情が奇跡を起こしたのだ!」


「「「違ぇ!!」」」





余りのズレた返答に三人が同時にツッコミを入れた





『ググ…シカシ、貴様ノ身体ハ我ガ支配下ニアル
満身創痍ノ身体デハ指一本動カセマイ!!』



「悔しいがその通りだ…しかし、それは
お主とて同じのはずだ」







の言葉に、餓鬼椿と新八が同時に気づく







周囲の餓鬼椿の分身が 動きを止めていることに









「周りの餓鬼椿の動きが…!」


『ドウシタ、ナゼ動カヌ!?』


「乗っ取られて分かったが…お主のこの力は
天人の力を利用している」







動揺する餓鬼椿(核)にが淡々と答える







「半身といえど私も天人、私の意識が
覚醒している限り…お主の好きにさせぬ!


『グゥ…コノ女!我ノ邪魔バカリシオッテ!!』







餓鬼椿(核)が身をくねらせ 触手を
の身体に突き刺す







だが、は槍で身体を支えて立ち続けている





「……私は、兄上を…皆を……守る……」







ギリギリと触手が身体を締め付けても、
は意識を手放さない







『シブトイ奴メ!エエイモノドモ動ケ!!』





周囲の餓鬼椿(分身)が核の言葉に
反応し、再び動き出す









「銀ちゃん このままじゃが!


「周りのは僕らが何とかしますから、
後頼みますよ 銀さん!





新八と神楽が周囲から群がる餓鬼椿を蹴散らし
への道を作り出す







「んじゃ ブラコン依頼主のために
とっとと貼っついてる奴、剥がしますか」









コキ、と首を鳴らした銀時が





地を蹴ってとの間合いを詰める







それに気づいた餓鬼椿がの身体を
動かして槍を振るうも、


切っ先は空を貫いただけ





横手に回りこんだ銀時が、
餓鬼椿が貼りついた部分に狙いを定める











「いい加減 そこから剥がれやがれ
エロガンモドキがぁ!!」










烈迫の気合と共に、


銀時の木刀がから餓鬼椿を引き剥がす







「ガンモドキは大人しく
鍋の底にでも沈んでやがれ!!」








続けざまに振りかぶった一撃に
餓鬼椿は一刀両断され





周囲の餓鬼椿も全ての動きを止めた―ように見えた









「どうやら…終わったみたいですね」


「大丈夫アルか !!」





新八と神楽もの側へと駆け寄る









しかし、気を抜いた次の瞬間
隅にいた塊が蠢き 目を開くと





『予備トシテ 核ノ少量ヲ分身ニ
残シテイタノダ!』






そいつは触手を出すと それを利用して
跳ねるようにの方へと飛ぶ







「やべ!ガンモドキが兄貴に!!







銀時が気付いて振り返るも 餓鬼椿は既に
の身体目掛けて


伸ばした触手を突き刺そうとし












ザシュッ!!













落ちてくる餓鬼椿(核)の、触手が







に刺さる一歩手前





死力を振り絞ったが投げた槍先が、
餓鬼椿の中核を 貫いていた





そのままの横に落ちて
餓鬼椿は今度こそ、動かなくなる







それを確かめ、は 僅かに微笑み







「あ…にう…え……」









呟いて、崩れ落ちるようにその場に倒れた








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:遅まきながらようやく餓鬼椿篇、決着しました


新八:って何コレ!さん死亡フラグ
また立ってるじゃないですか!!


狐狗狸:ヒロインだから仕方ないじゃん


銀時:ブラコンで常識無くて死亡フラグ毎度立つって
どんなヒロインだよ


神楽:それより銀ちゃん この増えたガンモドキ
煮込んで食べたら美味しいアル


銀時:てお前何食ってるの!?


新八:神楽ちゃん!!それ兵器だから、食べたら
お腹壊すから吐き出しなさい ぺって!!


狐狗狸:てか餓鬼椿は分裂時でも大体一抱え分
サイズなのに よく煮込めたね


神楽:気合で鍋に押し込んだアル


狐狗狸:うわぁ無茶するなぁ(汗)




死亡フラグがまた立ってしまった
彼女の生死は、次回 明らかに(待て謝)


様 読んでいただきありがとうございました!