「ちょっ 何でこんなにいるんだあぁぁぁ
上との対比激しすぎだろ!


「銀ちゃん 一匹見たら三十匹アルよ!」


ゴキブリじゃないんだから そういう事
いっちゃダメ!!」


「ったく何でこんな所に入り込んだんだ
の奴あぁぁぁ!!」






途切れる事無くやってくる 組織の者達を
蹴散らしながら、


三人はを探して奥を目指した







奥に進むにつれ、なにやら破壊音が
鳴り響いてきていた





「何だよこのうるせー音 あいつか?
巨大化でもして暴れてんのか?」


「どこの怪獣ですか もっと現実的に
考えてください」


「それならいっそ 兄上ーとか叫び声を
上げてくれたら楽に見つかるアルよ」


「どんな状況!?」







その時、通路の向こう側から





「兄上を 兄上を帰せえぇぇぇ!!」





血を吐かんばかりの叫び声が、
破壊音に交じって聞こえてきた







「「「いた!!」」」





顔を見合わせてから、その場所に向かって


三人はまっしぐらに通路を抜けた









そこに広がっていた光景は―





巨大な生物の触手に絡め取られながらも
槍を振るってもがき叫ぶ の姿







唖然とする新八と神楽を尻目に、





「ようやく見つけたぞこのヤロー!」





銀時が 叫び声を上げた











第十一訓 悲劇のヒロインはいつも後ろ向き











横から聞こえた叫び声に顔を向けると


銀時殿と新八殿と神楽殿の姿が見えた





「何だよこれ、オレ達が必死こいて
探してる時に 地下でデカイがんもどきと
触手プレーですかこのヤロー」


「不潔ね!」


「そんな悠長な事言ってる場合じゃないでしょ
明らか異常だからコレ!」








口々にそう言いながらも 武器を手に
三人は真直ぐこちらに駆けてくる





「駄目だ来るな!特に神楽殿!!」







静止の声が届くより早く





「「「ぶべらっ!!」」」





三人が直前で勢いよく転んだ







「痛い 地味に痛い!」


「何か足に引っかかったネ」


「っておい、何これ新手のホラー!?





身を起こした三人に…特に神楽殿に向かって
触手が足元から寄ってくる





「うわばばば、こっちにきたぁ!?





叫びながら新八殿が木刀を振り回す横で
神楽殿の傘が 火を吹く





「何で私の方にばっかり触手が寄って来るネ!
エロいアル 銀ちゃんみたいヨ


「オレはロリコンじゃねーぞオォォ!」


さん コレどうなってんですか!?」





触手の猛攻が 三人の足を止めた







「この生物兵器 餓鬼椿は天人を食う
そのせいで、兄上が…」









先程の光景を思い出し 私は苦く吐き捨てる







「え、お兄さんが何でここに!?
てか さん天人だったんですか!?
色々初耳なんですけど!!?


「兄上がいた訳は分からぬが…私達は
確かに天人だ 純粋なものでなく合いの子だが」


「俗に言うハーフ&ハーフって奴ね
いいなーカッケーアル!」


ピザじゃねーかそれ!てか神楽よく合いの子の
意味がわかったなそっちのがスゲーよ!」









段々と三人が近づきつつあるが、餓鬼椿の触手が
邪魔をして 思うように進めないのだろう





だがお陰で私の方の触手の攻防が
緩やかになっている





今の内に早く脱出して、兄上を







『我ガ名ハ…餓鬼椿





のっぺりとした顔の口が、鈍く動く





「生物兵器が、しゃべった!」


「何だかキモイアル」





新八殿と神楽殿が驚きと不快感を露にし





『エサガ足リナイ足リナイ足リナイ足リナイ足リナイ』


「おい こんなのもう兵器のビジュアルじゃねーぞ
誰か魔法律家呼んで刑執行してもらって!」


「話違うしそもそも霊じゃないから!!」





何だかよくわかんない事を銀時殿が叫び
新八殿にツッコまれる







『我ハ壊ス江戸ヲ侍ヲソノ為ニ天人ヲアアアア天人
足リナイ足リナイ足リナイイイイイイイイイイ!』








止める間も無く 触手が神楽殿の腹部を貫き





神楽殿が触手の群れに巻きつかれて
こちらに引き寄せられた







「神楽ちゃん!」


「神楽あああぁぁ!!」


「放すねこのエロ兵器!!」





腹部から出血しながらも神楽殿が発砲すると同時に





「神楽殿を…放せ!







私は自分に絡まり刺さる触手に一切構わずに


神楽殿を触手から引き剥がして助け出した







「おい待て!







背後にかけられた声に振り向かず
そのまま奴の本体に槍を







突き立てようとして















餓鬼椿から、聞き覚えのある声が聞こえた











「…兄上?





私は 思わず槍を止めた





「兄上、ご無事なのですか」







声をかけるも、返るはただ沈黙





「兄上」







続けて声をかけ―痛みが走った





胸の真ん中を、餓鬼椿の触手が
新たに突き刺さっていた







「あ、にうえ?」





!!」


さん!」





銀時殿達の声が少しかすんで聞こえる







虚ろな眼が、私を見下ろして呟く





『ダメダヨ、


「…… 聞いちゃ駄目ネ!
そいつは兄ちゃんの振りしてるだけアル!」





これは、やはり兄上じゃないのか?
私は 騙されている?





 君ハアノ時、僕ノ前カラ逃ゲタネ』







だけど、聞こえる声は兄上の物で







『君ノ両手ハ アイツヲ刺シテカラ
ズット血ニソマッタママダ』





語られているのは、あの時の記憶で


偽者とは思う事が出来なくて







これが 罰なのだとしたら









「もういい、やめてくれ…」





聞いていられず 哀願する私の声を





 君ハコレ以上、手ヲ血ニ染メチャダメダ







無感動な兄上の声が 遮った











さん!こんな化物に騙されちゃ…」


違う 餓鬼椿はただ…兄上の憎しみに
同調しているだけ…」


「憎しみ?どうして…」





私は 傷口の痛みを噛みしめながら、口を開く







「初めに会った時、兄上は私の頬を張り飛ばし
他人の振りをしてまで私を避けていた


そして この場所まで追いかけてきたのは


私に 罪を償わせる為





「罪って…ひょっとして、
あの新聞に乗った事件は…!







ゆっくりと 後ろを振り返る…


新八殿と神楽殿の視線が 痛い





「気付いていたか…そうだ
私の手は 血で染まっている」





私は 自分の手の平に視線を落とす







「あの時から…今でもずっと
例え何年経とうが、罪は罪だ」











あの時 私が逃げてしまったせいで





兄上に罪を被せてしまった







罪を被るべきは 死ぬべきは私だったのに





だから兄上は、私を憎んでいるんだ












「私は 兄上に謝りたかった
犯した罪を償う為に、命に代えても


「そんなの、そんなの間違ってるネ!


「神楽殿 もう決めた事なのだ」







そう、あの時からずっと決めていたのだ





兄上に何としてでも一目お会いして
犯してしまった罪を、謝ろうと


そして 全ての罪を償おうと









…僕ノタメニ…君ヲ…君ノ命ヲ寄越セ』











兄上が 呼んでいる







私に罪を償えと 呼んでいる









兄上が望むなら…私の命など惜しくはない
元々 そのつもりだったのだ」










私が命を捧げる事で 兄上の心が晴れるなら





それでもいい―












何が罪を償うだ、テメェのやってる事は
タダの逃げじゃねーか」







覚悟して目を閉じようとした刹那、





冷めたような銀時殿の声が 私の耳に突き刺さった







「兄貴も兄貴で死のうとするしよ、兄妹揃って
人の話聞かねぇし 悲劇のヒロイン気取りですか?」


「…何を!





兄上を侮辱するような発言に、


私は思わず銀時殿を睨みつける







けれど、彼の目は いつもの死んだ魚の目ではなく





この上なく強い光を宿していた







「テメェの知ってる兄貴は、自分の妹の命奪って
満足する奴かよ?」












…そうだ







私の知っている兄上は





何時だって私の事を 第一に考えてくれていた








何故今まで 忘れていたのだろう











「勝手に悲劇のヒロイン気取ってんじゃねーぞ
償う前に やる事きっちりやって来い


「……違いない」







私は短く呟いて 銀時殿と眼を合わせた







そして、餓鬼椿の方を向き直る









私の心は 決まった







「さあ、私を飲み込むがいい 餓鬼椿!」







餓鬼椿が 触手を自分の方へと手繰り寄せる





全身に絡み、刺さった触手が強い力で私を引っ張り
少し 痛みに顔が歪んだ





勢いよく身体が引っ張られ 宙を舞う







さん!」


「駄目アル !」







私は 駆け寄ろうとする新八殿と神楽殿を
手で押し止め、







「必ず 兄上を助け出すから」





餓鬼椿の中へと取り込まれていった








――――――――――――――――――――――
あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:話を書いちゃってから、魔法律家〜の下りに
鬼の手を持った奴連れて来いを追加し忘れ後悔


新八:するなあぁぁぁ話違ぇし!


銀時:そもそも兵器のビジュアル描写とかが
余りにもそっち系の影響受けすぎ、マジ訴えられんぞ


狐狗狸:えーでも銀魂本編でもえいりあんとか
紅桜のビジュアルがそっち系に近かったやん


神楽:言われてみればそうアルよ


新八:そもそも、あの餓鬼椿って
どーいう兵器なんですか?


狐狗狸:餓鬼椿は実は、紅桜を作る元になった
生物兵器って設定なんだよねー


神楽:で 何であんなエロ兵器アルか?


狐狗狸:始めは人間を動力源にしようとしたけど
能力吸収などの機能上の面で已む無く天人になったの
ってーかエロイわけじゃないからねアレは


銀時:てか 何でに拘ってんだよ
それなら神楽だけでいいだろ


狐狗狸:それはまぁ、にも半分天人の血が
流れてるからって事で




以下、餓鬼椿と基地の現状についての勝手な補足を


餓鬼椿は、実は春雨と手を組むための
切り札にとも考えられてました


けど、試作品の暴走と同盟を組めた為に
切り札にする必要が無くなったから


必要なデータとかだけ移し変えて、基地と
暴走する兵器を破壊するようにした…


という感じです 捏造100%でスイマセン




取り込まれたは、兄を助けられるのか…?


様 読んでいただきありがとうございました!