「今日は寒いねーコゲンタ」
そう言いながら リクがハァっと白い息を
自分の手にかけて温める
「寒いに決まってんだろ もう冬だぞ？」
半透明のコゲンタが リクの頭に
腕を乗せながら呆れ雑じりに呟く
〜「やわらかい束縛」〜
「そうだね、もうそろそろクリスマスだもんね」
いいながら、周りの風景にちらほら見える電飾を
楽しげに見るリク
コゲンタも電飾やクリスマスの飾りが物珍しいのか
同じようにちらちらと視線を走らせる
二人が買い物に行ったスーパーは、クリスマスのフェアや
鍋物のセール 気の早いことに正月の準備も並び
かなり賑わっていた
「おいリク、くびに巻いた布 解けてきてるぞ？」
「え、ああ、本当だ」
コゲンタの指摘に リクは慌てて自分の首に巻いた
マフラーを直す
その様子を見ながら、コゲンタはマフラーを指差して
「なぁ、その布ちょっと長ぇんじゃねーか？」
「確かに…僕にはちょっと長いかも」
言いながら リクは少し苦笑した
冬になって寒くなったから、とモモにもらった物だが
張り切って作ったものらしく 口元が
隠れるほど巻ける位長い
「マサオミさんだったら、ちょうどいいのかもしれないね」
「いや、この長さはアイツでも無理だろ」
微笑んで言うリクに、即座にパタパタ手を振るコゲンタ
手作りの品だし、本人はそれなりに気に入って使ってはいるが
やはり長すぎる為か どうしても途中で解けてしまう
「そういえばさ、コゲンタはそんな格好で寒くないの？」
唐突なリクの言葉に、コゲンタは眉根をしかめて
「はぁ？何だよいきなり」
「だってずっと半袖だから、寒くないかなーって」
コゲンタは自信満々に胸を張りながら宣言する
「仮にもオレは式神だぞ？寒さなんか屁でもねぇ！」
その言葉に しかしリクは何故かコゲンタをじっと見つめー
そして、おもむろに神操機を構えた
「式神降神！」
「白虎のコゲンタ見参！って、何でこんな所で降神したんだよ？」
実体化されるなり 怪訝そうにリクを見やるコゲンタに
リクはマフラーを少し解いて端っこを手に持つ
「やっぱり寒そうだろうから、一緒にマフラー巻いて帰ろう？」
ようやく先程までの行動の意味がわかり、同時に
そんな事で降神されたのかとコゲンタは少し呆れた
「だから、オレは寒くなんかねぇって」
「いいから…ね？」
ニコニコと微笑んでいるリクに、コゲンタは観念して
「…わかったよ、おら その布の端っこ寄越せ」
手渡されたマフラーの端を 慣れない手つきで
首に巻こうとする
「くっそ、どうやって巻くんだよこれ」
「コゲンタ そうじゃないよ…貸して」
悪戦苦闘するコゲンタを見かねて 苦笑交じりで
リクがコゲンタの手からマフラーの端を取る
そして 背中に腕を回してマフラーを首に巻いてやった
「ありがとなリク」
「コゲンタって、結構不器用なんだね」
「しょうがねぇだろ、初めてこんなもん巻くんだしよ
…でもこれあったけーな」
ニカッと笑うコゲンタにつられて リクも嬉しそうに笑う
「そんじゃ、さっさと帰んぞ」
「あんまり先に行かないでよコゲンタ、マフラー解けちゃうって」
「ああそっか…動きづらいなこれ；」
「そうだね」
並んで歩く二人は、とてもゆっくり太刀花荘に戻った
―――――――――――――――――――――――――――――
あとがき（というか楽屋裏）
狐狗狸：割とありがちなネタでコゲリクを久々に書きました
しかも短くなってしまったよ（汗）
コゲンタ：何つーか かなり久々だよなＢＬの更新
狐狗狸：うん、別にネタ詰まりじゃないけど
創作の時間が中々…（滝汗）
コゲンタ：まぁ、とに角話とか絵とかの更新が遅く
なんねーよーにしろよ？
狐狗狸：はい 気をつけマース（挙手）
コゲンタ：で、この話 大体どういう状況なんだよ
狐狗狸：ああ この話はねー、多分日曜とかのお休みん時に
リクがお買い物に行ったんだと思う 一寸した買出しとか
コゲンタ：ふーん、で あの首布は？
狐狗狸：マフラーは描写にもあるけどモモちゃん製、長くて
使いづらいから思い出した時使われるというどうでもいい設定あり
ちなみに 手作りだから所々いびつ（笑）
コゲンタ：そう言うのもちゃんと文章に書いとけよな（ジト目）