(日差しの高い、屯所の庭にて)









本当、死んでほしいこのマヨ野郎





オレが先輩だったのに上にいることが
そもそもとして気に入らない







あの偉そうにふんぞり返った外面を
ギットギトに貶めてやりたい







権力の座から引きずり落として





やたらと高い自尊心を傷つけてやりたい











「ツンデレとヤンデレは合わなそうで合う」











とりあえず、今日は土方のマヨネーズを
冷蔵庫から盗み取ってみた







砂利ハバネロ混入で悩んでると





予想よりも早くオレの所に
駆けつけてきやがった…ちっ、勘のいい







コルァ総悟!またオレのマヨネーズを
パクりやがって返せテメェ!!」


「返して欲しいですかぃ?マヨネーズ」





オレが笑いながら言うと、土方は
眉間にシワを寄せたまま





「いいから返せ」









本当、死んでほしいこのクソガキ







いっつもオレの命を狙うし マヨネーズ
台無しにするし生意気だし





苦労ばかりかける筆頭の部下のクセに
その自覚がない所か





オレの事を上司だと一欠けらも思ってねぇ


あのムカつく面構えが 大嫌いだ









今回は珍しくも大人しく マヨネーズを
返すらしく差し出した…と思いきや





フェイントをかけられ





大きく振りかぶって空高く
オレのマヨネーズをブン投げやがった







「あーいっけねぇ、つい手が滑って
場外ホームランしちまったぁ」


どんなついだあぁぁぁ!
これプロ野球選手から確実に
スカウト来る速度で投げたよな!?」






オレの血の叫びも、まるで答えず
へらへらと笑ったまま





「代わりに近くのお好み焼き屋で売ってた
限定モンのマヨネーズあげまさぁ」


「はぁ?どれどr…って黒っ
なんっじゃこの黒いマヨはあぁぁぁ!


黒マヨらしいですぜぃ、見た目も中身も
土方さんに相応しいと思いやしてね」


「むしろテメェの腹のが黒いだろが!
よしソコに直れオレが斬る!!」










お互いに構えて刀を抜くも







「トシ!総悟!お前ら遊んでないで
とっとと仕事に行くぞ!!」








割って入った近藤さんがオレと総悟に
一発ずつ拳骨を入れて怒鳴った









「ちょ、待ってくれ近藤さん
元はと言えば総悟がオレのマヨを」







土方の未練がましい言い訳を聞く前に
近藤さんはさっさと出発した







「おお痛ぇ…ゴリラの握力は半端ねぇな」







頭を擦りながらも刀を納めて呟く総悟





オレも刀を納め、







「ちっ…命拾いしたな」


「それはこっちの台詞でぃ」


「んだとコラァ さっきの続きやるか!?」


「近藤さんに怒られてもいいんならねぃ」







冷ややかに言うと、苦々しい顔で
こっちを睨みつける土方さん









その悔しそうな顔が好きだ





屈辱に塗れ、ボロボロになりながらも
虚勢を張る姿が 好きだ







徹底的に追い詰めてやりたい







「本当、自分でも性質ワリィ…」









何を思ったか知らないが、どこか
自嘲じみた呟きをもらす総悟







声もその顔も何もかもが癪に障って仕方ねぇ







でも…悔しいが実力は本物だし





いざという時には背中を預けられる
数少ねぇ奴でもある









「あぁ?何か言ったか?」











あんたはオレだけを見ないだろうから
オレを憎いと思っているだろうから







この手で殺してやりたい





オレという存在に縛り付けてやりたい





畜生道に落として動物に変えて
飼ってやりたい それはもう大事に









そうしたら、土方さんは





最高に悔しがってくれるだろう







オレだけを 見てくれるに違いねぇ





それが例え憎悪でも









「いずれ副長の座、いただくんで
せいぜい首に気をつけな」












毎度毎度 イラつく奴だ…が





コイツが近くにいねぇってのは
どうにも落ち着かん





総悟の姿を見ねぇと妙に不安になる







…まぁ、四六時中奴がオレの抹殺を
企てているからなのだが









誰に対してもSだが特にオレには
やたらと突っかかって来るコイツを





斬って捨てたいと本気で思うけど







あの生意気な軽い声が聞けないのは





何か、嫌だ







…勝手にいなくるんじゃねぇぞ









「言われなくても テメーこそ
足元すくわれんなよ」



「あれ?オレの渡した黒マヨ…
もしかして、懐にしまったんで?」





土方さんは憮然とした顔で言う







「お前がオレのマヨネーズを昼間の星に
変えたからな、代わりだ代わり」





へぇ、と笑う総悟の顔が憎らしい







「そいじゃ、近藤さんも待ってやすし
行きやしょうぜぃ」


「テメェのせいだろが ったく」









(二人は 足並み揃えて歩き出す)








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:シリアスに沖土を書いてみました
うーん…なんじゃコリャ


土方:つーより本当、何だよこの黒マヨ!


狐狗狸:黒マヨは竹炭使用してるので
身体にいいらしいですよ?


沖田:まー実在のブツをネタに使って
訴えられても知ったこっちゃねぇけどな


狐狗狸:このサド皇子め…(半泣)


土方:うぉい泣くな!いい年した大人が
みっともねぇなホンット


沖田:みっともねぇのはオメーだ土方


土方:んだとコルァァァ!


沖田:そもそも土方畜生道に落としたら
絶対ぇ飼い殺しにするね


土方:上等だ 今すぐ斬ってやる!


狐狗狸:君ら本編以上にデレねぇなオィ!
読者サービスっつー精神は!?




男らしい部分も残したシリアスを目指しました


読者様 読んでいただきありがとうございました!