病室のドアをノックして、返事をすると
大佐が入ってきた









「傷の具合は どうだ?ハボック」


「…相変わらずってとこっすね
そっちは色々大変みたいで 大佐」







上体を起こし オレは挨拶をする











この前あった時より、少し
疲れているように見えたけれど







相変わらず 大胆不敵に笑っている











〜白い箱庭〜











「お前も元気そうだな」


「まあリハビリも順調だし、みんな結構
オレの見舞いがてらここに集まるんで」







その中でも、一番多くここにくるのは
やっぱり大佐ぐらいだろう









女性にだけマメなのかと思ったけど、





部下にもマメになれるとは意外









…まあ 話し相手に困らなくていい











「強いて言えば タバコが吸えねぇのが
キツイとこっすね」


「当たり前だ、ここは病院だぞ?」


「まぁわかっちゃいるんすけどねー」







大佐がベッドの端に腰掛けて、
オレの方を向いてため息混じりに呟く







「ともかく さっさと退院して
また私の元に戻ってもらいたいもんだ」


「それは、オレがいなくて寂しいって事すか?」









大佐はオレから目を逸らさずに、







「…部下が少なくなると、私の仕事が
増えてしまって困るんだよ」







何時も通りに 笑いながらこう言った









「いままでのツケが回ってきたんでしょ、
大佐は仕事サボり過ぎなんすよ」


「お前だってよく仕事をサボってたくせに
言うじゃないか、ハボック」







眉間にしわを寄せて、大佐がぼやく







「その分仕事を押し付けてたアンタに
言われたかねぇっすよ」







淡々と言うと、大佐は悲しそうな目をする







目をかけてきた部下に信頼されて
いないとは…悲しいな」







それをわざとらしい言い回しだと
気付けるのは、多分オレや中尉たちぐらい









その裏に潜むものに気がつくのは









きっと、オレくらい











迷惑をかけられた覚えしかないっすよ
正直 ホークアイ中尉に同情しますよ」







突き放すようにそう言うと、







大佐がベッドの端から腰を上げて
オレの側まで近づいてきた









殴られるのかと一瞬思ったけれど







身構えるより早く、大佐がオレの唇を奪った







「少し、その生意気な口を慎めハボック」







得意げに笑う大佐の腕を引いて、







今度はこっちからキスして 言ってやった









なに言ってんすか オレのそういうとこ
気にいったっつったのは大佐ですよ?」







まぁなと大佐が呟き、









しばらくその場で取り留めのない話をして
時間が過ぎる













「…もうこんな時間か、そろそろ行かねば」


「本当 慌しいっすね大佐
どうせならリハビリに付き合ってくださいよ」


「悪いがそんな暇はない、お前と違って
私は多忙有能だからな」


「雨の日は無能になるじゃないすか」







言った瞬間 今度は本当に殴られた







「それじゃあな」











病室のドアを通り抜けるその前に







オレは 大佐の背中に呼びかける









「待っててくださいよ、すぐに退院して
アンタに追いついて見せますから」











大佐は振り向くと、口元に笑みを作って







「…待っているぞ







呟いて、部屋を出て行った













白い箱のような病室に
またオレ一人だけが残され ため息をつく







「我ながら 女々しいよな」









この箱庭で寝ても覚めても、







思うことは ひとつ











いつか、この場所を出て







早く あんたの隣に戻りたい








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:本編のネタでハボロイを考え、病室での
お見舞いとかいけるなーと思い 書きました


ハボック:やっとオレにもスポットが…って思ってたら
入院してる頃のネタかよ、しかも短っ


大佐:しかも またもや誰かが書いてそうなネタだしな
本当は結構ネタ切れしてないか?


狐狗狸:大人二人がかりで文句言わないでよ


ハボック:だって病室じゃタバコすえねーし
下半身不随リハビリ中で歩き回るのも辛れーし


狐狗狸:それはほら、お見舞いに来た大佐に
付き添ってもらって歩くとか


大佐:だから何故それを話にしない


狐狗狸:え、な、何故って…


ハボック:ぶっちゃけ面倒くさかったとか?


大佐:だろうな


狐狗狸:………はい、ごめんなさい




一応短くてもハボロイです シリアスに見えれば幸い


読者様、読んでいただきありがとうございました〜