「それじゃ 行ってくるぞ」
「お気をつけて、旦那」
ご主人のタイザンが出稼ぎに行くと、
専業主婦のオニシバの一日が始まります
「…あの、あっしが奥さんですかぃ?
主"婦"って書いてありやすけど」
細かい事はいちいちツッコまない方向でお願いします(苦笑)
〜「主婦は強し」〜
掃除に洗濯にゴミ出しに買い物と
それらの作業を流れるようにやってのけるのは
流石 専業主婦といったところ
「…何でその辺の描写が無いんですかねぇ」
だってどんな感じなのか、大体想像付くし
「そりゃまぁ 旦那と暮らすにゃこれ位出来ないとねぇ」
料理の味付けとかも細かいもんねー
服の用意とか我が儘も多そうだし
「それはありやすけど、けどそこも旦那の可愛いとこなんでさぁ」
…はいはい、のろけは聞きませんよー
どーせ「袖がほつれてるから縫え」とか言われて
渡された服の修繕を完璧にこなしたり
冬なんかは手編みのセーターとか作るんでしょ?
「ちなみに今は夏用の浴衣を作ってやしてね
もうすぐ出来上がりまさぁ」
Σ浴衣まで作るのか やるなアンタ
「家事が一通り済んで、旦那が帰ってくるまで
時間を持て余しちまうんでねぇ」
…その台詞だけ聞くとすっかり主婦だよアンタ
「それより語り部が登場人物のあっしと
対談してていいんですかぃ?」
あ、そうだった ナレーションになってないやこれ
まーそうこうやってる内に、夕暮れも過ぎて
旦那のタイザンが帰ってきました
気配で気が付くのか オニシバが即座に戸口で出迎える
「帰ったぞ」
「お帰りなせぇやし旦那、風呂にしやすか?
それともお膳が先で?」
「…何だかんだ言って お前も結構ノリノリではないか」
それは言わない約束ですよ?
「まぁいい、先に湯を浴びるぞ」
「わかりやした それじゃこの荷物は運んでおきやすね」
タイザンが廊下に置いたカバンを
オニシバはひょいと持っていく
その間 タイザンは悠々と風呂場に向かった
「旦那、服 ここに置いておきやすよ」
「わかった」
「…旦那 お背中流しやしょうか?」
「今日はいい」
脱衣所と浴室を挟んだやり取りも、日常の一つ
「…今日はヤマメの塩焼きが食べたいと言った筈だ」
「丁度魚屋でヤマメが売り切れてやしてね
イサキで勘弁してもらえやせんかね?」
「致し方ない 今日は勘弁してやる…オニシバ」
「へい、醤油ですねぃ」
飯時のこの会話も日常の一つだが…
これどーみても、亭主関白だよね?
むしろ 甘やかしてない?
「喧しい ナレーター風情が人の家庭に口を挟むな!」
失礼しました、てゆーかあなたも
結構その気でやってません つか素でしょ?
「その辺は否定しやせんよ、床では立場が逆転しやすがね」
「Σ余計な事は言うな!」
あ、殴られた(笑)
食事も終わり 洗い物が済んだオニシバに
タイザンが唐突に尋ねる
「こう暑いと 冷たいものが食べたくなってくるな…
何か無いのか すい○バーとか」
「急にそんなこと言われやしても…それより
何故にすい○バーなんですかぃ?」
「夏はすい○バーと、TVのCMでやっていたからだ」
「なんですかぃその理由は」
旦那のこの手の我が儘は 今に始まったことではないのだが
それでもその唐突さに、慣れているオニシバでさえ
戸惑う事もあるようだ
「とにかく 急に言われてもありやせんよすい○バーなんて」
「…無いのなら、一人で買いに行く」
「ええっ、もう外は暗いし 明日じゃダメですかねぇ」
オニシバの言葉に タイザンは首を横に振る
「ダメだ 私は今無償にすい○バーが食べたいんだ」
夏はすい○バーだからねー(笑)
「じゃあ あっしもお供いたしやす」
「余計なお世話だ、一人で買いにいける」
「最近は何かと物騒ですからねぃ、夜道を
一人で歩くのは危険ですぜ?」
「護身用に符を何枚か持ち歩くゆえ、仮に
何かあっても平気だ」
闘神符は乱用するものじゃないんですけど…
「それに、一応神操機も持っていってやる」
「…じゃあ 何かあったら降神してくだせぇよ」
そう言って奥さんは 溜息混じりに神操機を手渡した
うーん、やっぱりオニシバが奥さんて
違和感があるよーなないよーな
「そこ 余計な口利かず、黙ってナレーションしてろ」
…失礼しました(汗)
「近所のコンビニは 便利だな」
目当てのすい○ばーを買って コンビニから出てくるタイザン
ちゃっかり二人分買ってるのはお約束♪
「あ、タイザンだ 何買ったんだ?」
そこに現れたのは、タイザンのいとこにして
現在無職のたかり魔 大神マサオミ
「…ちょっと、随分失礼な紹介だね」
「いや あながち間違いではない」
「Σひどいよタイザン、もしこんなのを万が一信じた
女の子のファンがいたらオレのイメージ台無しじゃないか!!」
むーと不満気に頬を膨らませたが、
気を取り直したように マサオミが再び尋ねる
「で、何買ったのさ?」
「すい○バー」
「おーうまそうだな、オレにも一本奢ってよ」
袋に伸ばされた手を タイザンはピシャリと叩く
「断る 貴様に奢るすい○バーも渡すすい○バーも無い!」
「いいじゃん 一個ぐらい後で買いなおせよ」
「このすい○バーだけは渡さん!」
「うわムカツク、だったら力尽くで頂くもんね!」
マサオミが言いながら闘神符を取り出す
ちなみにキバチヨはお留守番です
「面倒だ 貴様ごと蹴散らしてくれる、式神降神!」
そう言うと タイザンは神操機をかざして
オニシバを降神した
「…もう既に降神されてる上に 離れた場所に
いるのに神操機から出てくるのってどうよ」
だから細かいツッコミはなしよ オミ兄さん
「霜花のオニシバ 見参!」
降神された姿を見て、周囲の雰囲気が凍りついた
いつもの白いコートの代わりに割烹着を纏い、
その両手には銃ではなく包丁
…どことなく 有名な某いじめっ子の母親を
彷彿とさせるスタイル
そんな式神が現れたのだから、場の空気も凍るわけである
「何だその格好は!?いつもの銃はどうしたんだ!!」
タイザンが驚愕の表情でオニシバを問い詰める
「あー…その…」
オニシバはかなり言いにくそうに口篭もりながら
「包丁の代わりに…質入れしちまいやした」
「何だと、包丁が欲しかったのなら何故オレに相談しない!?」
「だって 旦那の稼ぎじゃそこまでの余裕が…」
その言葉にタイザンがうっと唸るもオニシバは言葉を続ける
「それに、辞書の間に隠したへそくりに手を付けるわけにゃ」
「Σそれは言うなああぁぁぁ!!」
タイザンの叫びに、マサオミが呆れたように呟く
「何つか、安直な場所に隠してあるんだな…」
「うるさい!アレは秘密資金なんだ!!」
何の秘密資金かは……タイザンがこっちを
凄い目で睨んでるんで言えません(滝汗)
「秘密資金て、そんなガキみたいな…」
本当にねぇ
「だまらっしゃい そこの二人!!」
タイザンは一喝してから、気を取り直して
「家の中の格好で仕方ないが…来るなら来い!」
「Σ何時も家ではあんな格好なんだ!!」
「まぁ主"婦"ですからねぃ」
「…オニシバも大変だな、まぁそれはともかく」
マサオミは不敵な笑みを浮かべると、闘神符を構えた
「タイザンには悪いが 家で待つキバチヨの為にも
そのすい○バーはいただいていく!」
―こうして、夏の暑い夜に
二本のすい○バーを賭けた
かなりはた迷惑な死闘が始まったのだった
…どう転んでも結末は やっぱり熱気で
すい○バーが溶けて、結局買い直しになるのだが
「「それは言うな!!」」
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あとがき(というか楽屋裏)
狐狗狸:某限定茶にて生まれた名言等からようやく書き終えた
オニタイ夫婦パロギャグです お待たせしました〜
タイザン:何故私がこんな役回りを…
狐狗狸:だって名言に「タイザンはおバカなほど輝く」って
あったから、今回は精一杯それを目指したんです
タイザン:目指すな!(怒)
オニシバ:てか 回天三八式改を質入れしてまで
手に入れる包丁って一体 どんなシロモノなんですかぃ
狐狗狸:きっと稀代の名工が作り上げたシロモノです(爆)
オニシバ:本当にどんなシロモノですかぃアンタ(汗)
マサオミ:オレの扱い酷すぎない?それより
すい○バーに拘る理由を聞きたいんだけど
狐狗狸:夏はすい○バーって某CMでも言ってるから
マサオミ:そんだけ!?
蒼天様&シエル様 大変お待たせしました〜
リクエストに叶ってるかは謎ですが、こんな仕上がりです