初めから 全部分かっていたんだ









出会いがあれば必ず別れがあるように







いつかは絶対に コゲンタと別れなきゃいけないって





この思いが結ばれっこないって







理解していた…つもりだった……












〜「また会いましょう」〜













「父さんは まだ帰ってこないのか…」







太白神社に一人残されて オレは溜息つきつつ呟く









この頃は伏魔殿も安定していて、オレ自身も
特にそれと言った用事がなくて


久々にゆっくり出来る一日なのに





父さんとイヅナさんが急に入った仕事で出る事になり
代わりにオレはここで留守番







「正直 何もすることがないってキツイな」







修行でもしようかとしたら、神操機の式神達に
身体を休めろと止められたし…





オレに遠慮でもしてるのか 先程からずっと黙ったまま、だ









「あー退屈だ このまま昼寝しようかな…」





ゴロリ、と縁側に横になる







そろそろ梅雨に入る時期なのに、今日は
真夏のように暑くて 空が青い











アイツも確か こういう空、好きだったな…」







呟いて オレは目を閉じた











鈴の音に反応して、咄嗟にオレは起き上がる







「…コゲンタ?」







けれどそれは、何処からか迷い込んだ飼い猫の 首輪の鈴の音





その猫は ニャオンと一声なくと





オレの事などお構いなしに何処かへ行ってしまった









「未練がましいな オレは」





苦笑して、ぼんやりと昔の思い出に浸る















初めは 只、父さんのようになりたいと憧れていた





父さんのような 凄い闘神士









「えと…コゲンタ、コゲンタだっ!





「白虎のコゲンタ 契約によりここに見参!!」







成り行き上 オレはコゲンタと契約した









お互いにケンカしながらも 父さんを助ける為







そしてマホロバを倒す為に頑張ってきた











「お前、もう少し素早く印を切れよ!


「言われなくても分かってるよ!!」







いつもこんな感じで 口ゲンカもした







「ったく 危なっかしいなヤクモ」


「お互い様だろ コゲンタ」







妖怪や式神同士の戦いでも オレ達は
真向から立ち向かってきた







オレ達が負けるわけねぇ!…だろ?」


「へっ 分かってんじゃねーかよ!」







いつだって オレ達は一緒だった











「ねぇ 選ぶなら、オレと父さんどっちと一緒にいたい?







ある日 何気なく聞いたら、コゲンタに頭を小突かれた







バーカ、モンジュは関係ねぇよ…今の契約者はお前だろ ヤクモ」


「…ごめん」









頭を抑えるオレに コゲンタはそっぽを向いて





小さく呟く







「…オレは、お前となら一緒にいてやってもいい
そう思っている」











そんな事言われたら、信じちゃうよ?







別れられなくなっちゃっても 知らないよ?













――いつからだろう







コゲンタに対する感情が 微妙に変わったのは









オレの抱いたその気持ちは、友情とは
似ているようで違っていた







今なら その気持ちの本当の名前が、わかる気がする











けれど、オレはその気持ちをコゲンタに伝える事が
できないまま 契機満了がやって来た













コゲンタが最後に言った言葉







「ヤクモ 契約が終わっても…オレはお前と共にいる」







この言葉だけは ずっと、オレの心に残っている















また チリンと鈴の音が聞こえた









目を開ける…いつの間にか眠ってたらしい







辺りを見回すけど、今度はさっきのように
猫がいたりしなかった









「……コゲンタ







オレの呟きに答えるかのように、もう一度


鈴の音が何処からか鳴り響く











もう離れてて 会えないけれど









ずっと一緒、だよな コゲンタ…」







オレは 空を見上げて呟いた








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:そういやBLでヤクモさんのネタがないって
思ったので シリアスにしてみました


ヤクモ:…これ 単にオレの独白だな


狐狗狸:ちょっとこーシリアスかつ悲恋めな感じに
したんですが、コゲ 過去にしか出てませんね(苦笑)


ヤクモ:……実は これ元々名前変換のネタなんだよn


狐狗狸:Σそこでばらしちゃわないでっ!!


ヤクモ:この話 既に誰かが書いてそうだと思うぐらい
思い切り在り来たりだと思うが


狐狗狸:……それはいうなよそれはぁぁ(泣)




こんなんでも初のヤクコゲ…です、お目汚し
スイマセンでした(平に)