オイラはあの背に いつだってあこがれてる







「カルロス〜、まってニャ〜!」





タビのみんなが町や村にタイザイすると
オイラはセッキョクテキにジョウホウを探しにいく





…で、いつものようにひとシゴトおえたオイラは


かえりミチで大きな赤い背中を見つけた





うれしーニャ!カルロスに会えるニャんて!


心の中でそうつぶやくと大声でさけびニャがら

オイラは背中めがけて全速力で走りはじめる





背中は立ちどまると、いつものように
ねむそうなカオをこちらに向ける


…でもクチのはしっこは ちょっと笑ってる





はやく近くにいきたくてオイラはグンと
走るペースをあげる


しかし、すでに全速力をだしていたオイラに

それ以上のはやさニャどでるはずもなく





足がもつれ、いくさきはキュウキョ地面へとかわる











〜No'n Future A 「理想の背を追って」〜











「ニャ、ニャ〜…」


スウビョウもかからず地面とゲキトツしたオイラは


ニャんだかカッコワルいとおもい
起きあがりもせずに耳をふせた





…ううっ、ブザマだニャ


自分のなさけニャさになぜだか目の前まで
ボンヤリとかすんできた





と、次のシュンカン

オイラの体はふわりと高くうきあがり


すぐに地面にリョウアシがついた





目の前には…オイラをもち上げて
立たせてくれたカルロスがいる





「カルロスありがとニャ」


「いやいいんだ、気をつけろよ」





それだけいうとカルロスは、また歩き始める





まだちょっとだけハズかしかったけど

オイラは急いでカルロスのヨコに立ち


同じペースでミチを歩く







カレより足のみじかいオイラが同じペースで
並んで歩けるのは

カルロスがオイラのペースにあわせているから


そんニャささいな気づかいにクチもとをゆるませつつ


チラリ、とシセンをとなりのカルロスにはしらせる





ギンイロのながいカミ、ふかいアオの目


ととのったカオにすらっとした背の高いカラダ…





きてる赤いコートがちょっとハデだけど

フシギとカルロスには似合ってる





右目のガンタイも カオのキズも

目の下のクマだって、カルロスだと気にならニャい





……どうしてニャんだろう







わからなくて、オイラはカルロスの左手をにぎる





ギシュのひんやりしたカンショクをかんじて


同時にカルロスが立ち止まり、オイラを見る





「…シャム、どうしたんだ?急に」


「カルロスはなんでそんなにかっこいのニャ?」





オイラのコトバにカルロスは何度かまばたく


でも、口から出る思いは止まらない





「だって背もオイラよりもダンゼン高いし
カオだってかっこいいし」



それにカンジンのセイカクだって





「アタマがよくてレイセイで、でもやさしくって」


そんなカルロスを、オイラだけでニャく石榴も
ルデメもシュドもたよりにしてて





「オイラとにたカンキョウでそだったのに
すごくまっすぐな心をもってるし…」






いってて…ニャんだかかなしくなる





くらべるウチに自分のナサケなさがウきボりに
ニャってきていたから


にじみだすナミダをこらえてウツムく







オイラは…カルロスのことが好きニャ


でも、オイラはカルロスのそばにいても

フツリアイなヤツニャんじゃニャいかな…







オイラはスラムの人間で、手クセもワルくて
お宝に目がニャくて





石榴やルデメみたいにツヨいチカラもニャいし


シュドみたいにケガをいやしたり
おいしいリョウリをつくったりもデキニャい





こんニャオイラがとなりにいても


メイワクじゃ、ニャいかニャ…







「シャム」





おだやかな低い声に おもわずカオを上げる





「褒めてくれるのは嬉しいが 私は生憎とそんなに
格好よい男ではない、色々と失敗も重ねてきている…
この左手眼帯が証拠だ」





さみしげに笑うカルロスに オイラは
チギれそうなぐらいブンブン首をふる


「そんニャことニャい!ギシュやガンタイが
あったってカルロスはかっこいいニャ!!」



「ありがとうシャム、きっとそう見えるのは…」





ゆったりと カルロスはクチを開く


「私がたくさん、色んな事を経験してきたからだ」


「…それじゃあオイラもいっぱいいろんな
ケイケンすれば カルロスみたいになれるかニャ?







見上げるオイラにカルロスはやさしく笑うと


オイラのアタマに、そっと左手をおいて

やわらかくなでながら言った






「シャムならきっと 私以上になれるさ」







そのコトバにオイラは飛び上がりそうになった







「ありがとニャ…カルロス!」


「さ、石榴達が宿で待ってるから 戻ろう」


「わかったニャ!」





少しだけ、カオがアツかったから


歩き出した赤い背中を見つめられるように
オイラもゆっくり歩き出す







まだ…ムネがドキドキする







こんニャオイラのことを否定しないでくれた


オイラのことをキチンとみとめてくれた





だから オイラはカルロスが好き!





これは…ソンケイっていうんだ 多分







でもいつか、いつかカルロスみたいに
カッコイイ男になって


このキモチを きちんと伝えたい







「ぜったい…おいついてみせるニャ」


ん?何か言ったか?」


ニャっ!ニャんでも、ないニャ!!」


「そうか」





たんたんとした低い声と同じペースで
歩く背中に、よく分からないけどホッとする







オイラ…イロイロがんばるから

それまでまっててニャ、カルロス








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:尊敬から始まる恋…つーか普通に
シャムの無自覚恋話になっちゃいましたー(笑)


シャム:ニャ、人のコイジを笑うニャ!


カルロス:落ち着けシャム…それよりこの話は
元は人からのもらい物ではないのか?


狐狗狸:そーです、元知り合いのMからもらった
大まかなネタを膨らませて作りました


シャム:ソイツからイシャリョーセイキューされても
オイラ知らニャいからニャ!


カルロス:…慰謝料なんて言葉はそもそも
どこから覚えたんだ?


狐狗狸:スラムのみんなからでしょうねー
その辺りのワルーい知識とかは(苦笑)




シャムは"イロイロ"がんばり過ぎた結果
恋心自覚&耳年増になればいいと思います(黙れ)


読者様 読んでいただいてありがとうございました!