午前一時ちょい過ぎ、副長 飯屋を出る…と」







小さく呟きながら 手元の帳簿に
カリカリと書き記して





帳簿をしまい、代わりにラケット持って





副長の後を尾行する









―あ、紹介が遅れました







どーも 本編では全然目立たない
真選組の密偵でお馴染みの山崎退です(笑)







今日 オレは査定の為、素行調査として


副長・土方さんの一日を密着して見てます











「クラスに一人はいそうな奴」











つーか、査定なんて大層な名目つけてっけど
実は沖田さんに脅されて無理やりやらされてます







だってバレたらオレの命が危ないですから









もうホントリアルに勘弁してほしいです





折角ミントンの練習に熱を入れてた所だってのに
何でオレがこんな危なっかしいことを…







「って あれぇぇぇ!?







やべ、ちょっと目を放した隙にいなくなっちまったよ





密偵が尾行に失敗なんて冗談じゃ…









オィ山崎 何やってんだそんなとこで?」







振り向けば、背後には尾行してたはずの副長





げっ いきなりバレた!?


あああ 慌てるな落ち着け退





まだバレたと決まったわけじゃない
ここはむしろうろたえた方がマズイ 冷静に…







「何って…ミントンの練習ですよ」


「ほーこんな街中でか」





やばい 眼つきが完全に座ってる





「こっこれは何て言いますか いわゆる
路上パフォーマンス、みたいな」


どこの新入生の部活動勧誘だ!?
見え見えの嘘つくんじゃねぇぞコラ!!」








Σ完全に裏目に出たーー!このままじゃ
切腹させられる!!





つーか刀に手がかかってるしマジ怖ぇ!!







「おっお助けえぇぇぇぇ〜!!」


「待ちやがれ山崎ぃぃぃ!!」







待てるわけあるかあああぁぁぁ 捕まったら
ゼッテーボコられる!







後ろチラッと振り向いたら 土方さんが鬼の形相
こっち睨み付けてっし、怖ええぇぇぇ!!





まさにあれこそ「鬼の副長」だよホント!!!













「どうやら…何とか逃げ切れたみたいだ」







辺りを見回して オレは息を整えた







マージ危なかった、あと一歩この路地に入るのが
遅けりゃ 絶対捕まってた









「あーあ しかしこれじゃ、到底副長の
素行調査続行なんて無理だよ…」







だって次見つかったら、確実に切腹だもんコレ





でも"できませんでした"っていったらそれはそれで
オレ ヤバイじゃん?





どっちにしろ板ばさみだよ 地味にキツイなコレ







このまま屯所に帰るわけにも行かず
少し途方に暮れる







「ってアレ!?





そこでオレは 持ってた筈のミントンの
ラケットがないことに気が付いた









…もしかしても もしかしなくても





副長から逃げてる最中に落としたのか?







「ああああああ最悪だあああああああ







アレ 前のラケットが壊れて
やっと買ったばかりの新品なのに…;










お探しのものはコレか 山崎」







ガックリと肩を落としたオレの前に





ラケット持ちながらニヤリと笑う 土方さんが現れた







「ふ、副長…;」









ダメだ もうダメだ


あのラケットも俺の命ももう 確実に風前の灯





…せめて、もっと出番欲しかったな
ミントン大会出場するとかで(泣)







「ったく コソコソ後つけてんじゃねーぞ」







副長がそう言いながら オレに一歩近づく





頭の中を走馬灯が駆け巡る中、オレは
観念して 立ち上がる









「ほら、コレ返してやるから受け取れ」


「……え?」





目を見開いたまま驚くオレなどお構いなしに


土方さんは 持っていたラケットを
オレの方に押し出して





「コレ 大事なんだろ?
怒ってねぇからさっさと受け取りやがれ」







信じられねぇけど…あの土方さんが
こんな優しい真似するなんて


ぶっちゃけ 天変地異が起こるんじゃないか





でも、ラケット渡しに来てくれるなんて
マジうれしーよ







「ふ、副長…!」









その時オレは、目に涙を浮かべて
ラケットを土方さんの手から受け取って


同時に ガシャとか音がした





受け取った両手に、手錠がガッチリ…


え、手錠?







「…あの 副長、コレは一体?」


「ほーう、"土方副長 素行調査記録"ねぇ」









恐る恐る副長を見ると







いつの間にかオレの帳簿を眺めながら
コワイ薄ら笑いを浮かべてました









「大方沖田の差し金だろうが、どっちにしろ
お前 今から屯所帰って切腹な」







Σしまったあぁぁぁ、コレも罠だったあぁぁぁ!





うっかり嵌った退のバカ!!





でも手錠ガッチリ嵌められてて逃げらんねぇー!!







Σ嫌あああぁぁぁぁ 副長後生です
お慈悲をおおおおォォォ!!」


「安心しろ 苦しまねーよう一発で息の根止めてやる」


Σそっち!?せめて命だけは
何とかしてくださいいいぃぃぃ!!」


「ほーう、じゃあ全殺し寸前の刑罰
ミントン再起不能のどっちか選べや」


「ΣΣ究極の二択!!?どっちにしろ
地獄だあぁぁぁぁぁぁ〜…」












そしてオレは手錠を嵌めたまま
副長に引きずられて屯所に戻り…





後の事は 思い出したくもありません







何でオレばっかりこんな目に
ひょっとして 厄年?








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:大分遅くなったけど土山小説書きました!
山崎生きてて良かったあぁぁぁぁ!!(泣)


山崎:って 初めてのオレの話なのに
何だよこの結末は!!


狐狗狸:だって山崎はミントンで地味で弄られ
定位置だし(公式でも非公式間でも/ファンの方謝)


土方:とりあえずそこの二人、士道不覚悟で切腹


山崎:ぎゃああああああ 副長おおおおぉぉぉぉ!!


狐狗狸:って私もですか土方さん!!?


土方:当然だコラ




あまりの駄文のため、山崎と共に切腹されました(何謝)


読者様 読んでいただきありがとうございました!