ベンチにぐでぇっともたれかかりながら
ボンヤリとジャンプを読む銀時





「ギンタマン終了といい 最近出版社が
違うような漫画多くなってきたよなージャンプ」







中々アレなことを言いながらの昼下がり


そんな普段と変わらぬ光景に、気まぐれに
現れたイレギュラーが一人







「…あー最悪 何で昼間の公園に
こいつが出るの?」


「出会い頭にイキナリそれかよ、ってか
オレの台詞とんじゃねぇジャンプ侍」


「しばらくOP1カットとか扱いでやっと今月
ジャンプに出たくらいでエラそうに」


それは言うなぁぁ!ホンッと久々なんだし!
ぶっちゃけ空知に忘れられたとか本気で
考えてたとこだったんだぞぉぉぉ!」







銀時のマインドクラッシュ級の発言に
横手から現れた全蔵が泣き出し





逆に言った本人はかなりビビった











「いい年こいた大人の悪口は五十歩百歩」











「分かった悪かった泣くなよみっともねぇ」


「っせぇよ新キャラ出張る度にどんどん扱い
ちっさくなる旧キャラの気持ちが分かるかぁぁ…」


「あーそうだよな辛いよな、特にこの漫画
一発キャラもやたら濃ゆいからな」







うんうんと頷きつつ淡々と説得する銀時に
とりあえず涙を引っ込めた全蔵が こう言い放つ





「同情するなら目の前から移動してくれ」


はぁ?お前の方こそどっかいけよ痔忍者ぁ」


「ふざけんな そこは元々オレの指定席なんだよ」


「公園は皆のものなんですぅーてか昼間っから
ここが指定席とかニート発言だろお前それ」


「ニートじゃねぇ!フリーターしながら
キチッと働いてんだバーカ!!」






怒鳴り声に 指で耳栓をし


顔をしかめつつ銀時は言った







「二日酔いでわめかれっと響くんだっつの
頼むから静かにしてくんない?服部くん」







さらりと言われた自分の苗字に
全蔵は思わず驚いた顔をする





「おまっ苗字覚えてんなら、
なんでそっちで呼ばねーの?」


「だって料理教室のオッサンと同じ苗字だし
呼ぶとどーしてもそっちがチラついて」


「そんな言うならお前だって
吉本出のオッサン芸人と同じ苗字だろ!」





二日酔いの不機嫌さを露わにしつつ、小指で
耳をほじりながら銀時は返す





「だーから前にも言ったろ、男の顔と
名前を覚えんのは得意じゃねーって」


「の割には人の神経逆なでする情報は
一々覚えてやがんだな」


「ぶっちゃけ野郎を記憶するのはまず
インパクトの強い部分からってのが銀さん流だ」


「テメェの脳ミソカニミソ程度か」







呆れ混じりに呟き、全蔵はベンチのなるべく
ギリギリ端っこ側に寄って座った






ちょ、何でこのベンチに座るわけ?」


「嫌ならお前がどっかいけよ」


「やだよ面倒くせぇ」





言いながら銀時が彼とは反対側の端に寄る







隣に置いたままのジャンプを取りかけて





さっと全蔵に横からさらわれてしまう







あコラ そのジャンプまだオレ読みかけ!」


「放り出しといてそれ言うかテメェ
ちょっと漫画読むのに借りるだけだってーの!!」


「だったら金払え痔忍者ぁ!!」


「お前にやる金なんてビタ一文ねーよ!!」







しばらくジャンプの取り合いと口ゲンカが続き







"お互いジャンプを読まない"という妥協案で
一時休戦が提案されたのだった









「にしてもよ、最近まーた物騒じゃね?」





真ん中に置かれたジャンプに注意を払いつつも
手持ち無沙汰な銀時が口を開く







「どっかの国で頭の足りねぇおエラいさん
ミサイルぶっ放したせいで、こっちも
色々仕事に差し支えてんだよなー」





相槌を打ちつつ話題に乗っかる全蔵だが


ジャンプに対する動きを牽制するのは忘れてない







「あーアレな、TVでもやってた
アレひでぇよなうん」


「…おま 本当に分かってて言ってる?」


「だってガキどもと一緒に万事屋で見たもん
けどどーせ出すなら股間のロケットだけにしと」


「どっちにしろ犯罪だろがぁぁぁ!」


「何言ってんの、春は元々そーいう季節だろ
S○APのアイツだってそれでパクられ」


「確かに旬のネタだけどそれ某事務所から
訴えられるからマジ止めてくんねぇ!?」





作者がファンに総出でリンチに合いそう
危険発言に思わず彼は冷や汗





「んだよ、ミサイルネタ振ったのオメーだろ」


「シモに走ったのテメェじゃねぇか
ジャンプ侍ぃぃ!ホンっト死んでくんねぇ!?」


「何そのキレやすさ、情緒不安定
ヤク切れなら厠で座薬ケツにぶっこんで来い」


「おまっ、本当最低」







変わらぬペースの銀時に、怒りを通り越して
呆れるしかなくなる全蔵







その呆れついでに立ち上がり、こんな事を訪ねる







「所でジャンプ侍 お前ヒマか?
ってーかヒマだよなこんなトコでだらけてっし」


「うっせぇな勝手に決めんな こっちは
久方振りのアフター満喫するので忙しいんだよ」


「要するにヒマなんじゃねぇかよ」


「あーそうですよ銀さんヒマですよ
だったらどうしたっつーんですかコルァ?」







半ば開き直り気味のその台詞に、もう一度
彼からため息がもれてくる







「なんかしゃべってたら腹減ってきたんで
メシでもおごろうかと思ったが…やめよっかな」







ボソリと呟いた言葉を耳聡く聞きつけ


銀時は少し大げさに驚いてみせた





マジで?お前なんか変な病気してね
ってそういや痔持ちだったっけ」


「痔の事は言うなぁぁ!せっかく滅多に出ねぇ
仏心で誘ってやったのにこのアホ天パ!」



「天パなめんじゃねぇぞゴルぁぁ!
おまっ天然パーマはハンパねーんだぞ!?」








両者はしばしどこぞのヤンキーさながらに
首曲げて血管浮かせつつ睨み合ってたが





やがてジャンプを手にして銀時も立ち上がった







「まーでも、メシおごってくれるってんなら
ありがたくご相伴にお預かりしたいね」


「何だよ 結局ついてくるんじゃねぇか」







舌打ちしつつも、全蔵はついてくる相手に
それ以上追求せずファミレスへと移動する









「けどさ、なんで昼メシ
おごってくれる気になったの?」





ふと訪ねる銀時に、振り返らず答えが返る





別にぃ?気まぐれな仏心ですが何か?」


「…あっそ」







背中越しに 銀時は再び全蔵へ言葉を放つ





「なぁ 服部」


「何だよ、坂田」


「もし何か用があったら、万事屋に相談しに
来いよ 今回のオゴリ分割引しとくぜ?」










やや真剣な台詞に、一拍置いて言葉が返る







「そりゃまたどーも、機会があればな
…バカ坂田」







最後の一言はとても小さな呟きだったが


銀時には、しっかりと届いていたようだ







「いやー本当マジで頼みますよ〜」







少し茶化すようなその一言と同時に二人は
ファミレスの入り口にたどり着く








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:ゴメンなさい、全てのネタ元にゴメンなさい


銀時:いーんじゃねぇの?銀魂っぽさ出てて


全蔵:いやいやいや、これ下手したら
サイトどころか管理人すら消されんだろ


狐狗狸:それはなるべく考えない方向で!
にしても初カプながら結構書きやすかった


銀時:それはホラ、こいつがツンデレだから


全蔵:オッサンつかまえてツンデレとか
気色悪いんだけど 頼むから本当死んで!?


狐狗狸:…ファミレスでもそのノリで
ケンカ繰り広げてたんじゃないよねー?(汗)




気が向けばまた追加するかもです、私的に二人は
さり気なくたまーに苗字で呼ぶカンジで(爆謝)


読者様 読んでいただきありがとうございました!