それは ある昼下がりの事





太刀花荘では、リクとマサオミがまったりと
居間でくつろいだ一時を過ごしていた







ナヅナは買い物に行き


ソーマは部屋で株の市場を見守っている





リクは縁側で日向ぼっこをしているコゲンタを
のんびりと眺めていた







すると、お茶をすすりつつマサオミが口を開いた







「リクは 子供は好きかい?」


「え?あ、はい 好きですよ?」





唐突な質問に かなり戸惑いながらも
笑顔を作ってリクはそう答えた


すると、





「そうか〜 じゃあがんばって、
カバティが盛り上がる位 子供作ろうな!!





肩を抱いて無駄に爽やかな笑顔で マサオミがそうのたまった







「ちょっっと待ちやがれー―――!!!」





そこに血相を変えてコゲンタが怒鳴り込んできた










〜「ホームプラン」〜










「ああ、心配しなくても 白猫ちゃんは
お家のペットにしてあげるさ☆」


猫じゃねぇ白虎だっ!ってオレが言いたいのは
そこじゃねぇっ!!」





バンバンとちゃぶ台を叩き くわっと目を向いて
コゲンタは怒鳴りつけるが


マサオミは笑顔のまま眉一つ動かさない





「ハハハ オレとリクがあんまりにも
お似合いの夫婦だからって妬いてるんだな〜?」


違うっつの!てか
何イキナリ変態発言かましてやがんだテメーは!!」





そう言いながら コゲンタはマサオミの胸倉をつかむ







「いや〜やっぱり作る子供の数とかは
早いうちに確認しといたほうがいいかなーって」





やっぱり動じず答えるマサオミ







できねぇよ!てか他にも問題があるだろ!!」


「ハハハ、さえあれば どんなことだって
二人で乗り越えていけるんだよ?」





笑顔でコゲンタに答えになってない答えを言うマサオミを


何とかできないかと、リクは目で
いつの間にか隣にいた半透明のキバチヨに訴える







けれど、キバチヨは静かに首を横に振る









そんなやり取りの間にも、





「お前になんかリクを任せられるか!!


「悪いけど これだけは譲れないね





二人の間でバチバチと火花が舞い散る











当のリクはと言うと、何かもう止められない雰囲気だと
察してしまったらしく





事の成り行きをただ見守っている











「降神されないとリクに触れることも出来ない子猫ちゃんが
オレ達の仲を裂くことなんて出来るのかい?」


「そっちこそ 単に牛丼差し入れに来てるだけの優男が
信頼で結ばれたオレ達の間に太刀打ちできんのかよ?」





へっ、と鼻で笑うコゲンタだが マサオミは
不敵な笑みを崩さない







「ふふん、オレはがあるから 毎日だって
出来立て熱々のリクの手料理食べられるさ!





堂々と胸を張って マサオミが宣言した







流石にこれは利いたのか コゲンタが悔しそうな顔つきになる





「子猫で猫舌のコゲンタにはできるのかな〜?
出来ないだろうね 熱々の料理を食べるのは」





このままマサオミが優勢のまま押し切るかと思いきや







「くっ…お オレなんかなぁ、寒い時
湯たんぽ代わりに重宝されてるぜ!!





負けじと返すコゲンタに マサオミの笑みが引きつる







「それって 言ってて悲しくなんないのかな〜?」


「別に それだけオレが信頼されてるってことだからな」





今度は逆にコゲンタが優位に立つ









「っ、オレの方が リクへの愛情大きいさ!


何おーっ!オレはお前よりリクとの絆がデカイぜ!!」





二人のケンカがただの小競り合いになった辺りで
リクは マサオミとコゲンタから距離をとった







しかし、二人はそれに気づくことなく
小競り合いを発展させていく











『二人ともかーなーり低レベルだねー ってかよく飽きないね』


「…キバチヨくん、何だか楽しそうだね」





話しかけられ キバチヨは愉快そうに目でマサオミと
コゲンタを指す





『だって楽しいもん リクも見てて飽きないでしょ☆』


「僕は正直 ちょっとウンザリしてきたなぁー…」







すると、リクの呟きが聞こえていたのか





「「Σウンザリ!?」」





コゲンタとマサオミが同時にリクの方を向いてハモった


ついでに言えば ベタフラも背負って













「よかったじゃんリク 二人のケンカ、ストップしたよ?





キバチヨが意地悪げに 笑顔を浮かべつつリクに言う





「別にそういうつもりじゃ…」







困った顔をしてリクが答える


その視線の先には











「ウンザリされた…リクに…ウンザリって…」





暗い顔をしながら体育座りで 隅っこにて落ち込むマサオミと







「オレは信頼の式神なのに…ウンザリされるなんて…」





両手を床について こちらも暗い顔のコゲンタ













流石にそんな二人を放って置けなかったのか
リクはため息をつきつつ、





「二人とも そんなに落ち込まないで…僕は
コゲンタもマサオミさんも皆、家族みたいだと思ってますから」







その一言で 二人がガバっと顔を上げ





「「リク!!」」





二人同時にリクを抱きしめた











『…リクって本当 お母さんみたいだよね』





抱きつかれたリクに、苦笑交じりでキバチヨ







「それよりも…苦しいから助けてほしいなぁ」





コゲンタとマサオミに挟まれて
サンドイッチの具状態なリクがキバチヨに助けを求めた





無・理〜だって僕 降神されてないもん』







二人がそんな会話を交わしていると またコゲンタとマサオミが
にらみ合いを再開していた











…ケンカはまだまだ続きそうである








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:家族っぽいのでマサリクを目指してみましたが
実際書いたら かなりアホネタになりました(汗)


コゲンタ:って言うか オレ降神されてんのにキバチヨは
降神されてないのかよ


狐狗狸:あはは 何となくそうなっちゃったんです(笑)


マサオミ:なぁ、やっぱりオレが旦那の方がいいよなぁ?(マジ顔)


狐狗狸:…キバチヨに愛想つかされても知らんぞ(汗)


キバチヨ:尽かすわけないじゃん!てゆーかさーどうせなら
僕も降神して話に混ぜて欲しかったよ!


狐狗狸:今度何か書くときは降神させるから 諦めて;