「はぁ…」







契約が終わった式神のオレは、
本来ここにいなくてもいいのに





時々 現代にこっそりやって来ては





木の上や窓の外からリクの様子を眺めてため息









自分でも 何やってんだと思うけど





あいつが色々と心配だから仕方ねぇだろ?







「何でオレの契約者は どいつもこいつも
心配させられる奴らばっかなんだ…」












〜「複雑な出戻り」〜













ヤクモはヤクモで 契約が終わった直後は
色々不安だったけれど、





持ち前の明るさと前向き思考でがんばっている姿を見て







もう大丈夫だ、と安心したのだが…









リクはヤクモと違って 結構内にこもる性格で
辛いことがあっても無理して我慢する所がある







そのせいで感情が爆発して、


契約してた時に大変なことになったこともある









だから 契約満了してからヤクモとは
別の意味でまた気になって







こうして、様子を見に来たりする











「コゲンタ、今ごろどうしているかな…」











リクには オレの姿はもう見えない





もう契約が終わっているから、当然だが









初めは、オレの事で一人ごとを言ったり
黄昏たりするのを見ていても





オレの事を大切に思っていてくれているのだと





心配ながらも少し嬉しかったのだが







「コゲンタへ そっちではうまくやってる?
僕の所は 相変わらずボート部が忙しいよ…」







さすがに、オレ宛の手紙を何枚も書くその姿を見て
つっこまずにはいられなくなった







どこに出すんだそんなもん





てゆうか、何故声に出して読む!?











…ひょっとしてオレの姿見えてるんじゃないかと思い
隣に浮かんでみたこともあったけど







全然見えてないことがわかり かえって不安が募る











不意に、外から戸を叩く音がして
リクが玄関へと向かう







玄関の方に向かってみると そこには







「やっ リク、遊びに来たよ」


「マサオミさん こんにちは」







やっぱりマサオミがいた





嫌な奴が現れやがった…!











大戦が終わって マサオミの奴も
1000年前の世界に戻った筈なのに





「この世界が気に入ってるから」とか言って





ちょくちょくこっちに顔を出す







…リクに会う頻度も以前より増したのが
更に気に食わない









「また、コゲンタのことを考えてたの?」


「…やっぱり、分かっちゃいますか?」


「オレはリクの事だったら何だってわかるさ」





うるさい丼男、オレだってリクのことなら
ちゃんと知ってるんだぞ





んな爽やかな笑顔装って近づいてんじゃねぇ





「はは…マサオミさんにはかなわないなぁ」







そんな奴にむやみに笑いかけるな
そういう態度を取ると余計増長するんだぞ奴は







「コゲンタと一緒にいたのは少しの間だったけど、
いなくなると やっぱり寂しくて…」









リク そんなにオレのことを…









「コゲンタと契約満了しちゃって
寂しいのはわかるよ…」


「マサオミさん…」








あっテメェ 近寄りすぎだろ





さり気なくリクの肩にまで手を回しやがって
離れろこんちくしょう!







「でも 彼のことは気にしなくてもいいと思うよ
きっと、リクのことを見守ってくれてるさ」


「…そう、ですか?」


「ああ、だから リクが明るく元気に
がんばればきっとコゲンタにも伝わるさ!」









抱きしめるなさり気にほお擦りするな







離 れ ろ 変 態 丼 !!









「マサオミさん…ありがとうございます」







騙されるなリク!







そいつ何か企んでんだぞ
前のときとは別の意味でお前を狙ってるんだぞ





伝えたくても 伝えられない今の立場が憎い







「それじゃ 気晴らしにドライブに
連れて行ってあげるよ!!」







言いながら マサオミはリクをスクーターに乗っけて
どこかへと走り出した









走り出す直前、リクに見えない位置で
ニヤッと笑ってやがったのを





オレはこの目で見てしまった









テメェ絶対オレがいるのわかっててやってんだろ!!















それからちょっと色々あって、







ひょんなことからオレはまたリクと契約した









「コゲンタ、また会えてうれしいよ」


「オレもまた お前に契約してもらえて
色んな意味で嬉しいぜ」








ニッコリ笑ってリクと手を合わせると、





後ろからマサオミが不機嫌そうにささやく







カバディの人数合わせでそうなっただけのクセに」


「テメーは黙れセクハラ丼男」







しっしっ、と まるで羽虫を追い払うかのように


オレはマサオミに 力強く手を振った











正直、また契約するのも複雑だったけれど









こうしてまたリクと話が出来るのも
オレが必要とされたのも本当に嬉しかった











…しかし当面は、マサオミの奴を警戒しないと
いけない日々が続きそうだ







オレは こっそりため息をついた








――――――――――――――――――――――――――――
あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:懲りずにBL独白ネタをまたやりました…
非常に残念な出来でスイマセン


コゲンタ:ならやるなよな


狐狗狸:だって、BLの方も最近更新してなかったから
何か書かなきゃなって…


コゲンタ:だからってサントラCDろくに聞いてねぇのに
そのネタ織り込んで話書くのは無謀だろ!


狐狗狸:それ言わないで!!折角がんばったのに!!


コゲンタ:がんばりたいなら忙しいを理由にしねーで
サントラ聞きなおしてきっちり書きやがれ!


リク:僕が単に流されてるキャラみたいに見える…


マサオミ:結構前から捏造して書くトコはあったけど
これはヒドイよねー


狐狗狸:何で君たち ここでだと
ぶっちゃけトークしまくるの!?




秋なので、コゲンタ視点の話を書きたかったんです
…見事撃沈しましたが 笑って許してください(謝)