始めて会った その時から







変わった兄ちゃんだとは思ってた











〜「風穴開けて」〜











「兄ちゃん、口に飯粒ついてるぜ
まるでガキだな」


「なんらよフヘ〜ひょうがなひだろ
おにひりふってるんらかは」








握り飯を口一杯に頬張ってしゃべっても
何言ってるかわかんねぇって





口についてる米粒を指で摘み取って







それを口に運んで食うと、
兄ちゃんは目を丸く見開いた







「ほら 取れただろ?」







言うと、頬を赤く染めるもんだから
ついつい小さい笑みが零れる







「本当 面白ぇな、兄ちゃんは」









握り飯をようやく飲み込んで









何だよフエ!からかうなよ!!」







眉を吊り上げながら兄ちゃんは言う











げぇむをしている時もしてない時も
万事 こんな調子だ











お調子もんで詰めが甘くて





ぷれい屋としての能力が
さほど高いわけでもなかったが







好奇心旺盛で、行動力が高くて
真っ直ぐで型破りな兄ちゃんの言動は







いつの間にか オレの心に風穴を開けていた













あまり関わるのはよくないと知りながら







オレは 気がつくと兄ちゃんに
ちょっかいをかけに行く











「なぁ兄ちゃん オレのこと、どう思ってる?」







こういう唐突な質問も、その一つ











無論 普通のぷれい屋なら







『ただの個魔』 『げぇむの解説役』
『便利な奴』くらいの認識だ









けれど、こいつは変わり者の類に入るから
面白い答えが聞けそうな気がして











兄ちゃんは悩みながらぶつぶつと、







「ちょっとやな目つきしてて、偉そうで
結構性格悪いなーなんて思うけど」


オイ、それはあんまりな言い草だな」







相手がガキだからって、そう言われて
許せるほど 寛容ではないが







「でも フエはもちろん、大事な仲間だ!」









後に続くその一言で さっきまでの怒りが
あっさりチャラになっちまう







どっちも 本気で言ってるからだ









本当、面白い兄ちゃんだ…けど、







「仲間ねぇ…オレとしてはもう少し
親密な呼び方が好きだけどな」


「親密?例えばどんなだよ?」







眉をしかめつ 茶を飲み始める兄ちゃんに、







オレは耳元でささやいて見せた











恋人







途端、がぶ飲みしていたお茶を
盛大に噴出してむせる兄ちゃん











リアクションが盛大かつ、ベタなのが







本当に面白い







「冗談だよ、兄ちゃん」


なんだ冗談か あービックリした
何かフエ、いつもと様子が違くないか?」


「気のせいだろ、オレはいつも通りだ」







しれっとそう答えると、兄ちゃんは
そうかと納得したみてぇだった











…兄ちゃんに対してのこの思い







まだ、黙っておく事にするか











オレの胸に見事な風穴を開けた
この 想いの名







既に答えが出ているけれど








――――――――――――――――――――――
あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:妖逆門のBLを書いてなかったので、まずは
手慣らしということでフエ三を


フエ:…短ぇな しかも意味不明だ


三志郎:本当だ


狐狗狸:確かにそうだけど そこは初めてなんだから
見逃してください、マジで!


フエ:見逃すにしても限度ってもんがあるだろ


三志郎:それに 何かフエが悪人みたいだ


狐狗狸:…元々悪人面だからいいんじゃ?(ボソ)


フエ:今の言葉は聞き捨てならねぇな


狐狗狸:ごごごごごめんなさい!




相変わらずの微糖直進っぷりですが
楽しんでいただけたら 幸いです


読者様、読んでいただきありがとうございました〜