「大将 ヒマなら買い物付き合ってくれよ」


「えーなんでオレが、てゆうかまだアルと
作業中なんだけど」







壁に背を預けたそのままで、オレは
少尉に不満を込めた視線を送る









大佐に呼び出されて 東方司令部に
アルと二人で来たら





いきなり資料室の整理にかりだされた







…何でもこないだの地震で本が棚ごと
総崩れになったとか







確かにドミノ倒しになった棚の最後は
壁に激突し そこを中心にヒビが入ってた









で、オレが壁を直すよう大佐が命令し





それが終わって 今度はアルと一緒に
棚を戻したり散らばった本の整理…







他の軍人さんも何人か手伝ってくれてるけど
割と広いから中々終わらない







てーか大佐の野郎が他の仕事で手伝わねぇし









流石にちょっと疲れたから、途中休憩で
抜けてきた所だってのに…








〜微妙な距離〜








「ちっとは気分転換した方が作業も
はかどるだろ?」


「だったら少尉も手伝ってくりゃいいじゃん」







資料室のドアの方を指差すと、少尉は
頭をカリカリ掻きつつ







「そりゃねーよ、折角 買出し志願して
堂々と仕事サボってんのに」


「…やな大人だなアンタ」


「お前だっていつかそうなるだろ」


「一緒にすんなよ」







ひとしきり憎まれ口を応酬すると





少尉がニッと笑いながら オレの頭を撫でる







「金余ったら何か奢るからさ」


「ガキ扱いかよ」







…そういいながらも、この笑顔には
どーしても勝てない











「で、何でオレを買い物誘ったんだよ」







荷物を片手で持ちながら オレはたずねる







「大将 いっつも根つめてっからさ
たまにゃのんびりすんのもいいと思って」







いつものようにタバコを咥えながら
のほほんと少尉は言う







「よく言うぜ、どーせサボりの共犯
作りたかっただけのクセに」


「まーな、付き合ってくれて感謝してるぜ
あとでちゃんとなんか奢るからな」


「いいよ ガキじゃねんだし」









買い物についてきたのは、


奢り目当てじゃなく ごく単純な理由







こうすれば 並んで歩いても
何も言われないからだ











いつもはお互い忙しかったりで
少尉とまともに並ぶことは少ない







それに、身長のことでからかってくるし
(…今もだけど)







照れくさくて、側にいられない









でも こういう時だけは隣にいられる











「どうした大将…いつもより憎まれ口
少ないぞ?」


「…あんたに言われたくない」


「まあそうかもな…そだ
ちょっとここで待っててくれよ」







そう言うと、少尉は荷物をオレに預けて
何処かへ行ってしまう





何か買い忘れでもあったのだろうか?









待つ間 オレは、ふと考える







少尉はオレのことどう思ってんのかな







色々と考えるけれども答えは出ず、
少尉が帰ってきた





小さめの紙の袋を抱えて









「何処行ってたんだよ」


「んだよタバコぐらいいいの買わせろよ」







言いながら紙袋の中から 買ったばかりの
タバコを取り出して、ポケットにしまう







「それ、軍の経費だろ いいのか私用なもん買って」


「…ほら、お子様はコレやるから黙っててくれよ」







少尉が紙袋から何かを出して、それを
オレの口に放り込んだ





独特の甘さが口に広がる







「…んむっ、ってチョコかよ甘ったる」


「何だ 苦手か大将









一口サイズのチョコの包み紙を見せて
こっちを見つめている青い瞳







その鋭さに少しドキリとして







でも、それを悟られたくなくて
なんでもないようなフリをする









「別に、いきなりだったから驚いただけだ」







こう言うと 少尉はニッカと嬉しそうに笑って







「だよな〜やっぱお子様は甘いもん好きな」


ガキ扱いすんな!それも二度も!!」


「しかたねぇだろ大将、悔しかったら
牛乳でも飲んで オレより背ェ伸ばしてみろよ


「うるせぇ!あんな牛から分泌された白濁色液
飲めるか!!」










口ゲンカみたいな会話をしながら







東方司令部へと並んで帰る











いつものような会話で、いつものオレたちの距離









少尉がオレをどう思ってるかなんて、
どうだっていい







この距離で笑いあえるならそれで構わない








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:バレンタインなのにチョコしか共通点ない…


エド:しかも山もオチも意味もない


ハボック:本当のやおいってやつか


狐狗狸:二人して言うなよ!!


エド:てゆうかなんで本の整理なんだよ?


狐狗狸:どうせならハプニング的な用がいいかと
あと、アルがかりだされそうな背の高い用事


エド:誰がウルトラハイパワードチビかあぁ!(殴る)


ハボック:…そこまで言ってないから 大将




本当 初書きハボエドがこんなんでスイマセンした


読者様 読んでいただきありがとうございました!