今回はお前もこのげぇむに参加するのか?」


「うん そうみたい」







修くんとげぇむ内で会うことは 度々あった





その度 よく話はしていたけれど対撃は
なるべく避けるようにしていた





会うとまっ先にそれを責められ、







「今度こそ 僕との決着をつけるんだからな!」


「俺は戦いたくないなぁ、修くんも
徐々に力をつけていってるし」







それでも、彼と戦う事は無かった









彼が真っ直ぐに願いを見据えていて
そのために努力しているのを知っていたからだ











ようやく見つけたぞ、
相変わらず げぇむ内をうろついているようだな」







けど久々に出会った修くんは、前と何かが違っていた









ちょうど、正人くんの時に感じた
黒い何かが 同じように滲み出している











「…修くん 君は、随分変わってしまったみたいだね」





聞くと 修くんは満足そうに笑う





「そうさ、僕は闇の力を手に入れたんだ…
この力を使って 僕は優勝して願いを叶えるんだ!







そして、俺を指差して宣言した







「この前の借りも含めて、邪魔なお前を
完膚なきまでに叩きのめしてやる」









前の修くんが持っていた真っ直ぐな気持ち
そこには、欠片も無かった







あるのは 力に溺れた歪んだ心











「以前の君とならどんな時でも戦わないつもりだった
でも…今の君に、負けるわけにいかない







俺は直感した 戦う以外に選択肢はない、と







「願いのないお前に 僕が負けるものか」







怒りを露わにする修くんに、俺は静かにこう返す







「願いなら、ある」







撃盤と撃符を取り出し、召喚できるよう構えて







俺は みんなと一緒に笑いあいたい
だから…君を少しでも救うために、戦うよ」


「うるさい 今度こそ僕が勝つ!」







お互いが撃符妖怪を召喚し、対撃が始まった











〜「最後の光景」〜











俺の対撃は、戦う妖が三体しかいない分
持ち合わせた術符でカバーしていた







ひでり神や形霊気で足止めを行ったり





回復系の術符でタイミングよく妖の傷を癒し
一気に形勢をひっくり返す









どちらかというと補助系の術符が多かったけど







それでも実力の高いぷれい屋相手に勝てるのは
白澤や狂骨達がよくやってくれてるからだ











…けど、今の修くんには その戦法でも







大分苦戦させられている













「ちょろちょろと回復や搦め手ばかり…うっとおしい男だ!







修くんが上位召喚を行い、陰属性の妖を召喚した







「縛日羅 そんな骨など吸い込んでしまえ!」









吸い込まれまいと狂骨は避け、相手に攻撃を
与えるけれど 向こうはびくともしない









『うわわぁ〜、けっこうアイツ手強いよ!』







困ったように狂骨が俺に語りかける







「仕方ない…奥の手だよ 狂骨」


『オッケ!』











俺は 怪訝そうな顔をする修くんにニコリと微笑んだ











「上位召喚出来るのは 君達だけじゃない、出ておいで」







言って、続けざまに撃符を通す









狂骨の"白"の字と続けた"比"の字が合わさり、







"皆"の字へと変わり―









「上位召還 鬼夜叉丸!!」







鎧を羽織り、鬼火を纏うドクロの侍が現れた











「さぁ、君の力を見せてあげて!」


『行くぞ…!』







正に名前に相応しい動きで、鬼夜叉丸が相手を翻弄していく









修くんの指示を受けてあっちも果敢に攻めるけど







鬼夜叉丸の勢いに押され、防戦一方になっていく











「悪いけど このまま倒させてもらうよ」







言って、止めを刺すよう
鬼夜叉丸に指示を出そうとして―









急に 体全体が重くなった







俺だけじゃなく鬼夜叉丸も同じらしく、





動きが鈍くなり 今度は相手の攻撃を
捌ききれなくなっていた







「どうした、そんな動きじゃ僕は倒せないぞ!」







修くんの言葉と共に、重さが徐々に増していく









「…う ぐっ…!?」







体を支えてられなくなり、ひざをついてしまう







更に負荷がかかり 地面にうつ伏せにされる











「一体どうしたんだ !?」









驚いたような修くんの声に 俺は答えられない







顔を上げることも出来ずに地面にめり込んで―









!』









の叫び声と共に、体にかかる重みが
少し軽くなり 俺は顔を上げる







側にいるが 俺の横に鏡を出して
重みを跳ね返しているように見える







浮かんでいる鬼夜叉丸があちこち傷だらけで





鬼夜叉丸も相手の妖も全く動いてない











修くんの方に目を向けると、彼は
俺とは別の方に怒鳴っている







視線の先にいたのは……鬼仮面





どうして、彼がこんな所に?













「君には負けてもらっちゃ困るから
悪いとは思うけど 助太刀させてもらったよ」







ようやく耳に届いた彼の声で、俺は理解した









俺の身に起こったこの重力は鬼仮面の妨害だ、と







どうにかして この状況を打破しなければ









「だからってこんな卑怯な…!


「どうしても勝つためには 非情にならなきゃ」







冷たく言い放つ鬼仮面に、修くんの心は揺れていた







「確かに、言うことはもっともだ…」









修くんが俺を見下ろし 妖に指示を下すのが見えた







俺は精一杯の声で叫ぶ









「修くん!」













でも、次に修くんが行った行動は
俺の予想とは 全く違っていた











彼の指示にしたがって、妖が鬼仮面の後ろを攻撃した







隠れていた妖が撃破され、体の重みが軽くなった











修くんが鬼仮面を睨みつけて 言った







「だけど この戦いだけは、今だけは、
僕のやり方でやらせてもらう!









鬼仮面が 舌打ちを一つして何処かへ消えた







それと同時にようやく体の重みがとれて
俺は何とか立ち上がる









『大丈夫!?…!』


「平気だよ 心配かけてゴメン」







を落ち着かせて、待っていてくれた
修くんにもお礼を言う







「ありがとう、修くん」


「…これで あの時の借りは返した」







言って 修くんは真っ直ぐ俺を見た





この時だけは、前の彼の心が戻っていた







、全力を出して かかって来い!」


「わかった、行くよ 修くん!















実力は拮抗していて、勝負は本当に時の運だった











捨て身の攻撃を仕掛けた妖に鬼夜叉丸が吹き飛ばされ
その勢いで俺への攻撃が決まった













「僕は、まだ負けられないんだ…すまない」







悲しげに呟く修くんに 俺は笑いかけた







「いいんだ 君は悪くない」









俺が負けたことに 何か意味があるのなら







…俺が負けて、勝った君が前へ進めるのなら







それでも 構わない










「じゃあね 修くん」











光の柱に飲み込まれ 妖逆門から出る寸前








修くんが、俺の名前を呼んだ気がした















次に目を開けると、俺は宙に浮かんでいた







妖逆門から元の日本へと戻る道









もう、みんなやこの記憶と別れなければ
ならないのは 名残惜しかった











 僕の事やみんなの事
覚えていられるようにしてあげるから』







が今にも泣きそうな顔をする





俺は の顔から目を逸らさずに言った







「ダメだよ」









何となく、俺は分かってしまった







は 自分を犠牲にしてでも妖逆門の記憶を
残そうとしてる







俺が、寂しくならないように











達との記憶が消えるのは悲しいけれど、
がいなくなるのは もっと悲しいから」





『…ごめんね 







が とうとう泣き出しちゃった









出来ることなら、涙を拭いてあげたいけど
できないから せめて、声をかけよう











「いいんだよ 泣かないで…笑って、







は小さく頷いて 笑った







俺も微笑みを返し―そこで意識が闇に消えた















気がつくと 俺は近所の神社にいた







目の前には、古くなった井戸があって
その側に 捨てられたボロボロの、白と黒の鳥がいた









何となく放っておけなくて 怪我を治すために
二匹を拾って、帰ろうとした







すると何かが俺の側に ポトリと落ちた











「何だろうこれ…?」









それは、キーホルダーのお守りみたいな小さな鏡







鏡は骨のような石と白い毛で飾られて、
木のツルのような紐がついていた










かがんで それを手にとると







誰かが側で笑ってるような優しい温かさ
俺の胸の中に湧き上がってきた











「…帰らなきゃ」











帰って、この二匹を治療したら 母さんに
少しワガママを言おう







クラスの誰かに鳥の育て方や名前を聞いて





少しでも みんなと距離を縮めれるよう努力しよう









誰かのためだけに動くのでも、自分でなんでも
出来るように調べたりするのでなく







みんなで一緒に―――















それから少し時が経ち、











「母さんへ、そっちはお仕事順調ですか?
俺もクラスのみんなとすっかり打ち解け、色々
笑ったりしながら楽しく過ごしてます…」









俺は母さんにメールを送り、研究を再開する









少しも経たないうちに 二匹の鳴き声が響く







「もうエサの時間か、わかったから騒がないで
ハクタク キョウコツ」











あの時拾った二匹に 名前を付けるために
クラスの人に聞いた時







一人が読んでた妖怪図鑑の白澤
狂骨のページを指差して





その二匹の絵柄が何故か懐かしくて







白いのをハクタク 黒いのをキョウコツ
そのまま名づけて、定着した











二匹が差し出されたエサを食べているのを
眺めていると ドアベルが鳴った







「はい、なんでしょう?」









ドア越しでたずねると 返って来たのは
とても明るい少年の声









 遊びに来たぜ!」











ドアを開けると、赤い帽子に明るい笑みを浮かべた
元気いっぱいな少年がいた







後ろには 黒髪や銀髪・金髪の少年や
明るそうな少女や優しそうな少女もいる









俺は―――笑って こう言った







「いらっしゃい」








――――――――――――――――――――――――――――
あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:ようやっとこの妖逆門夢も最後と相成りまして
出番少なかった修くんとの対決&負けて〜の話となりました


修:最後までこんな出来か…成長しないな


狐狗狸:そ、そこまで言わんとかんくても〜


修:狂骨同様 上位召喚の鬼夜叉丸も捏造した妖、
そして状況説明一切ナシの展開…某氏の影響受けすぎだ


狐狗狸:それは…そうかも 本当にスイマセン(謝)


正人:…僕 あれじゃ完全に悪者じゃないか、
最後でアレはちょっとナシなんじゃないの?


狐狗狸:だって三志郎と戦うまでは 君ずーっと
悪者だし、展開上必要だったし〜


アキ:私の出番 もうちょっとまともなの
出してほしかったわ!


ロンドン:僕もそう思う、本当の僕はもっと
COOLなんだよ それをに見せてやりたい!


ミック:ミーもでーす!これでラストなんて
納得できませーん!


狐狗狸:君達三人は出て無いじゃん


正人:きみどりだって くんともっと
話とかしてみたかったよね?


きみどり:う、うん…


狐狗狸:き、きみどりちゃんまで…(泣)


清:そこまで言わなくても…


修:そ、そうとも!清の言う通りだ!


三志郎:まぁとにかく、これで話はおわりだけど
読んでくれて ありがとうな!


フエ:ありがとうな、みんな




アニメの影響とか受けた上の話でスイマセンでした


最後にの家に来た子達は…ご想像にお任せします


これでこっちの夢小説は終了となります
読んでくださった皆様、そして


様、読んでいただきありがとうございました〜