「…今回はねいどの言った事に 嘘は無いみたいだ」
辺りを油断無く警戒し 移動しながらも
はバッグの中を見て、安堵したように呟いた
中には彼にとって見慣れた 薬品のビンや
妙な形をした物が幾つか入っていた
「でも流石に今回は これだけで逃げ切るのは難しいかも…」
アゴに手を当て は少し考え込んだ
〜「違和感ゼロキロ(中編)」〜
ねいどが手短に話したルールはごく単純
今いるエリアの一番高いビルを中心に
半径100メートル内で逃げ回る事
逃げる、追いかけるぷれい屋
共に使える撃符妖怪は一体だけ
捕まる事無く元に戻るまで逃げ切れたらの勝ち
ぷれい屋に捕まったら そのぷれい屋の勝ち
…との事である
恐らく今頃ねいどは 条件の半径100メートルに
いるぷれい屋達に、
の今の人相書きを見せて 余興げぇむの
説明をしているのだろう
「っ いざとなったら僕が邪魔者を閉じ込めたり
を別の場所に移動するから!」
バッグの中の品にあった手鏡から、
個魔のが必死の面持ちでそう言う
「 気持ちは嬉しいんだけど、流石にそれは
ルール違反になりそうだから遠慮しておくよ」
苦笑交じりでに返事を返した矢先、
「いたぞ!捕まえろー!!」
「おっと、早速やって来たね」
撃符妖怪を召喚したぷれい屋が の前に現れた
「ふー、案外 逃げるだけって大変だね」
数人のぷれい屋を退け 噴水の近くで一旦休憩する
「そうだよね いつもは皆が追いかけてこないもんね…」
「あああああ!いたっ!!」
の台詞を遮って響いた叫び声
がそちらを向くと アキが嬉しそうに笑った
「何でねいどに絡まれてるかは知らないけど
あたしに見つかった以上 逃げるのは諦めることね!」
「アキちゃん 君に俺を捕まえるのは
多分、無理だと思うよ?」
余裕を覗かせる彼の言葉が アキの機嫌を損ねた
「何よその自身満々な言い方!
ちょっと可愛いからって調子乗ってんじゃ」
彼女の言葉半ばで は間合いを詰めた
眼前にの顔が迫った為 アキは少し身を引く
彼は口元に小さな笑みをつくり、ささやいた
「…君の方が可愛いのに アキちゃん」
「なっ!?」
アキが顔を赤くして戸惑う
その隙に はあっさりと彼女の横をすり抜けた
「それじゃあね」
「ちょっと、待ちなさいよ!!」
アキの声を後ろに聞きながら、はその場を後にした
途中 二人のぷれい屋に見つかるが、何とか彼等を撒いて
現在は林道の中を走っている
「それにしても 見つかりやすいね、のその格好」
がしげしげと 改めての姿を見つめる
「やっぱり見た目が派手だからね…
これを使って 少しは隙が出来ればいいんだけど」
言いながら が取り出したのは
黄色い色をした一粒の飴玉
が口に飴玉を含むと同時に ミックが現れた
「見ーつけた 一番乗りはミーデース!
お嬢さん、大人しく捕まってもらいマース!!」
飛び出してきたミックを は難なく避けて
口の中で飴玉を溶かす
(もうそろそろ 頃合、かな?)
心の中でそう呟き、は向かって来る
ミックを見つめて口を開いた
「…ごめんミック君、俺 男だから」
出てきた野太い男の声に、ミックの目は驚愕に見開かれた
「あ アンビリーバボー!?本当なのかい!!?」
「……何だったら 服を脱いで確かめさせて
あげようか?変な趣味はないけどね」
にこっと笑ったその発言がトドメとなって
「男…男だったなんて…ノオオオオゥ!!」
ミックが絶叫して その場に固まってしまった
…先程 が舐めた飴は、声を一時的に
変化させる事ができるシロモノのようだ
バッグから 愛飲している特製ドリンクを出して
飴の成分を、ドリンクで流して は声を戻した
「ちょっと可哀想だけど…げぇむだから
仕方ないね、さて 逃げなきゃ」
言いながら が一歩足を踏み出した途端、
「鬼ごっこはそこまでだよ、お嬢さん!」
「見つけたぞ!」
ロンドンと修 二人同時に駆け寄ってきた
「どうしよう、挟み撃ちにされちゃったよ!!」
の言う通り はロンドンと修に
挟み撃ちの状態で睨まれている
「故人曰く、臥薪嘗胆…散々梃子摺らせてくれたが
それもここまでのようだな!」
「おや 人の獲物を横取りしようとするなんて
COOLじゃないね全く」
「先に見つけたのはこっちの方だ、騒音しか出さない
ギタリストは引っ込んでいてもらおうか」
「何だと このカナヅチ野郎!!」
波長が合わないせいなのか、を無視して
二人が口論を始めてしまった
「…どうやら揉めてるみたいだ、今の内に」
『逃がすか!!』
の動きを察知してか 修とロンドンが
同時に撃盤を取り出した
「簡単には見逃してくれない、か それじゃあ
これならどうかな?」
微笑みながら がバッグから卵の殻のような物を取り出して
地面に叩きつけた
卵の殻のような物がひび割れ、そこから
凄まじい量の煙が噴出し 辺りを覆う
「煙幕かっ 小ざかしい真似を!」
「痛っ、今お前 僕の足を踏んだな!?」
二人の声を頼りに 目をつぶったは煙幕から抜け出す
抜け出した途端に、別のぷれい屋達が立ちはだかる
その中には 三志郎もいた
「見つけた!」
「いたぞ!捕まえろ!!」
「…!」
「…ああ この煙幕が狼煙になったんだね、仕方ないか」
迫り来るぷれい屋に 溜息つきながら
は落ち着いた様子でバッグから―
ガンタッカーに似た物を出して構えた
ぷれい屋が一瞬怯んだその隙に、
彼は近くの木に向かって引き金を引く
すると そのガンタッカーもどきから
金具が先端についたワイヤーが発射される
「それじゃあね、三志郎君と他のぷれい屋の人達」
ワイヤーが木に絡み 巻き取る反動を利用して
は木の上に移動し、そしてその場から立ち去った
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あとがき(というか楽屋裏)
狐狗狸:まず皆様にお詫びしなきゃいけないことがあります…
アキ:もちろん、勝手に中編なんか作って話を伸ばしたことよね
ミック:違いマース、ミーの扱いの酷さデース!!
ロンドン:のあり得ない発明品の数々だろ?
修:いいや いまだにオレのキャラが完璧に掴めていない事だ!
狐狗狸:はい、皆が言っていることも勿論ですが
もっと謝んなきゃいけないことがー
三志郎:…確か最後にが使ったアレって
元ネタが 某少年探偵漫画のパクリだよな?
狐狗狸:大☆正☆解!(ヲィ)
色々と本当にスイマセンでした…次回は絶対に
この話を完結させてみせます、ギャグで!(ぇ)
様、読んでいただきありがとうございました〜