「ねぇ…あの子 ちょっと気にならない?


そう言って 俺は傘を差した女の子を目で示す







…?」


「やっぱりも気になってたんだ」





鏡から出てきたが 俺の横で頷く







「うん 何だか僕の事…わかるみたいです
さっきから、僕を見てるんです……」









鏡魔のは 自分の姿を映し出したり
他の個魔を映し出す
事が出来る





けど、今はまだげぇむが始まってないし
辺りにぷれい屋もいないからそんな事をする必要もない







「…何か ぷれい屋って感じじゃないよね
ちょっと声をかけてみようか」


「えっでもっ もしとかだったら…;」


「心配性だなぁは」







慌てふためくをたしなめていると





少女の方から俺に近づいてきた








〜「一人ぼっちの不思議な少年」〜








「君は誰だい?俺に 何か用かな?」


「……」


「君はぷれい屋なのかい?」





少女は首を横に振る








「君の名前はなんて言うの?









少女は しばらく黙った後に呟いた





「………きみどり」





きみどりちゃんか、俺は


「…………





俺は微笑みながら 続ける


「皆には大抵あだ名で呼ばれてるよ」







「…横にいる 個魔にも?」





「あなた 僕の事…見えるんですか?


の言葉に 彼女はコクリと首を縦に振る







「君、凄いね まだ姿を映し出してない
が見える
なんて」





俺は笑っていたけど、彼女は笑っていなかった
ずっと 悲しそうな顔をしたままだ









「君は 人と話すのが苦手なのかな?」







しばらくの沈黙の後 きみどりちゃんは小さく首を縦に振る


「そうか、質問攻めにしちゃって辛かったかな?ごめんね」


そう謝った時だった











「……あなたは…何を望んでいるの?





きみどりちゃんは 唐突に俺に問い掛けた







「俺の望み?」


俺の言葉に頷く彼女







「…得にないな、げぇむは楽しいし
撃符妖怪の事他の人たちの事も解って面白いし
何より、一人で退屈しなくてすむからね」











そう 今まで家にいた時は、ただただ退屈だった







母さんも周りの人たちも、みんないい人たちだけど
どこか俺に対して 気を使っていた





勉強も運動も 簡単に出来て面白くはなかった
実験で何かを作り出すのも 段々退屈になって…







そんな時 と出あった











「気さくに話し掛ける人もいるし、いろいろ知るのが楽しいから
俺はずっとげぇむを続けてたいと思ってるよ」






そう言って 微笑んでみせると、少女は悲しげに呟いた












「あなたは…心が欠けているのね…









俺は微笑を止めた





「…そう 俺の心は欠けてる、わかるんだ?」


「……寂しそうだから」







「そう言われたのは 君が初めてだよ」





気付いたのも きっと君が初めて












俺が心の欠片と、大切な人を無くした"あの日"








微笑しか出来ない今でも…思い出すと心と頭が痛む












涙が出れば、少しは退屈も痛みも紛れるのに















「… 大丈夫?


平気だよ





黙り込んだ俺を気遣うに 微笑を返す










きみどりちゃんは傘を握り締めると 俺に
背を向けて歩き出した







「ねぇ きみどりちゃん、また…会えるかな?









彼女は振り向いて 俺をしばらく見つめる







そして、再び歩き出して その姿は見えなくなった











「…… あの子、何者なんでしょう?」


「分からないけど…悪い子じゃないような気はする」







は…本当に何も望まないの?


が寂しげな目で 俺を見る





「……今はまだ 何も望まないよ
さぁ、げぇむが始まる 行こうか


俺はそのまま歩き出した







……そう、今はまだ 俺の望みはなくていい


俺をまともに見てくれる人がいるだけでいい





三志郎君達やの様な人がいてくれるだけで十分








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:妖逆門三作目はきみどり夢ですが…夢かなこれ?
きみどりちゃんまともにしゃべってないし、にウェイトあるし
本気でスイマセン…


きみどり:………は、いい人ね


狐狗狸:うん、頭がよくて優しくて人の好き嫌いがないタイプだから
割と誰にも憎まれないキャラなんです


きみどり:………私 またに会いたい


狐狗狸:……がんばって君の口調とか掴んで、
またリベンジするね(泣)




様、読んでいただきありがとうございました〜