クレッセントがのガイコツに向かって一直線に駆け抜ける


攻撃が当たったと確信した瞬間、ガイコツの姿が消える





「うわーすごい早いね〜君の妖〜!
もう少し変化が遅かったらやられてたよ〜」







上を仰ぎ見ると、ガイコツが骨で出来た羽を
背に生やして―飛んでいた









「なっ…いつの間にっ 一体あのガイコツは
どういう属性なんだ?」





「ロンドン、どうやらアレは陽属性の妖らしい」







影から出て来たギグが ガイコツの方を目で差す







陽属性?









言われて ボクはじっくりとガイコツを見る











〜「不協和音と和音と(後編)」〜











出て来た時は妙に禍々しかったけど、よく見れば


確かに 何かこう明るいオーラをまとってる気が……







「本当に…あのガイコツは 陽属性?」





「そう、狂骨は骨を操り 骨の力を使う陽属性の妖だよ」









ボクの声が聞こえたのか、がガイコツの特徴を
惜しげもなく話す







「もー〜フツウは自分の撃符妖怪の事を
バラしたりなんかしないんだよ〜?」


「…そこのガイコツの言う通りだ、きみはバカなのか?





「そうかもしれない でも狂骨の属性を見抜いた人って
初めてだから…特別大サービスってやつだよ」







術符を口元に添えながら が片目でウィンクした









「そういうバカは嫌いじゃないけど…これは戦いだ
COOLに決めた奴が勝つのさ」







ボクも即座に術符を手にした











「術符開放!青鷺火!!


「術符開放、ひでり神!





お互い同時に"火"の術符を繰り出す







クレッセントは術符の効果を寸前で避けると、
そのまま青鷺火と共にガイコツを目指す







「狂骨、変化だよ」





がそう言うと同時に ガイコツの骨の羽が消える







「狼骨加速!」







まるで骨の犬のように変化したガイコツが
青鷺火を引き連れてこっちに向かって来る









「クレッセント!」





ボクの目前まで迫るガイコツを、クレッセントが
寸前で割って入り 弾き飛ばした








同時に青鷺火がガイコツに炸裂する









「戦い方は悪くないけど、まだまだCOOLじゃないね」





ギターを鳴らして ボクは不敵に笑ってみせる











「あ痛たたた…、久々の強敵みたいだよ」







攻撃の煙が治まってから ガイコツが頭を抑えて
ムクリと起き上がる…意外とタフな妖だ







「そうみたいだ ロンドン君って本当に強いね
久々に………楽しくなってきた







の表情は 張り付いた様な微笑のまま変わってはいない





――でも、発する声には 戦いを楽しむような魂がこもっていた







「折角だし狂骨、君の実力を出してごらん?









がそう言うと同時に ガイコツが地面に手をついた









「地中に眠る仲間達、力を貸して 狂骨陣営!







その声と共に まるでゾンビさながらにガイコツが
一体、また一体と群れを成してフィールドから出てきた











「何体出ようと、クレッセントの敵じゃないね
次でフィニィッシュだ







ボクの声を合図に クレッセントが一条のイナヅマと化すと





向かってくるガイコツの群れを簡単に蹴散らして
バラバラにしながら本体へと突き進む









ガイコツ達は諦め悪くクレッセントに挑み
最後の一体まで粉々になる





けれど、の表情はまったく変わらない









「狂骨変化」


「鳥骨飛翔!」







あいつの声で 本体のガイコツが骨の羽で上空へと舞う


クレッセントがそれを瞬時に追いかける





クレッセントとガイコツの距離が程なく縮まって―







「捕縛しろ 狂骨!」







唐突に響いたの叫びに反応して ガイコツが両手を広げた









それと共に、粉々にした筈のガイコツ達が宙で形を成し
クレッセントの全身に纏わりついた











「クレッセント!!」











強固に戒めるガイコツ達に纏わりつかれ クレッセントは
宙に浮かんだまま身動きが取れなくなる













「これで君の妖は動けなくなったけど…
降参した方がいいと思うよ〜?


「降参…?」







ふよふよと浮かぶガイコツの言葉に が続ける







「ロンドン君 俺は結果の分かってる戦いで止めを刺すのは
好きじゃない、だから降参してくれると助かるよ」





苦笑交じりで言う







その言葉に嘲笑は無いみたいだけど…









「はっ、笑わせてくれるね…結果が分かってるだって?







クレッセントは諦めず 身体を必死でよじり続ける





ガイコツどもはビクともしない…いや、少しづつ


本当に少しづつだけど戒める力が弱まってる







「ちゃんと決着をつけるまで、結果なんてわかりっこない
そんな事もわからないなんて COOLとは言えないね!









瞬間 クレッセントを戒めるガイコツ軍団の力が弱まった







「振り払え、クレッセント!!









すかさずボクは命令を出し クレッセントが
群がるガイコツどもを凪ぎ散らした





自由を取り戻したクレッセントが 電光石火のスピードで
本体のガイコツへと向かう











「…狂骨」











その時 とガイコツが一瞬、


目を合わせたのを見逃さなかった













クレッセントの一撃が届き、ガイコツは符へと戻った















ロンドンちゃんの勝ちぃ〜ちゃんの負ーけ!









「あ〜あ 負けちゃった、まさかアレを解かれるとは
思ってなかったよ…君は強いね







ねいどが冷やかすに負けを宣言したにもかかわらず


拍子抜けする位あっさりと言って 楽しそうに笑う







「…お前、最後 わざと手を抜くように指示しただろ」





「あ、手加減したのわかった?そこまで分かるなんて凄いね」







は驚く所か、嬉しそうに目を細めた










ふざけてるのか!?お前も叶えたい願いの為に
ここに来てるんだろう!!」








ボクは思わず の胸倉を掴んだ







「なのに戦いで止めを刺さなかったり手加減するなんて…
お前に魂はあるのか!









その途端 あいつから笑みが消える









「初めは、俺には魂も願いもなかったよ」







のその声も眼差しも 響きは真剣そのものだった







「げぇむを始めてから 色んな人や個魔や妖怪に
会うのが楽しくて、皆が 俺の事をまともに見てくれた











少し間を置いて、ふ とが寂しげに微笑んだ







「だから、皆が楽しんでいるのを見てるだけで十分だし
もっと回りの事を、妖逆門の全てを知るため
げぇむに参加し続けているんだ」









寂しげな微笑みが 穏やかな笑みへと変わる







怪音波って言ってゴメン、いい歌といい戦いを
見せてもらったよ ありがとう…ロンドン君












…何なんだ この男は





ボクはの胸倉から手を離す









ふざけているのか真面目なのかよく分からないし





戦いを楽しんでいるのか嫌ってるのかも不明だし







だけど…そんなに嫌味な奴でも無い様に見える











「名前覚えておいてやる… 次会う時は、
本気でかかって来い COOLに決着をつけてやる!





「楽しみにしてるよ また会えるといいね」







その言葉を最後に は逆戻りで飛ばされた













―そうさ、次こそはCOOLに勝って
その余裕じみた表情を衝撃的に変えてやるから







覚悟しておけ 








ー――――――――――――――――――――――――――――
あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:ロンドン夢後編出来上がりました〜遅いし駄文だし
正直ファンの方にボコにされてもおかしくないです(汗)


ロンドン:幾らなんでもあのガイコツが陽属性って
かなり無理があると思うんだけど


狐狗狸:…うん 初め私もやっぱ陰かなーなんて思ったけど
は白澤持ってる設定だし、性格が陽っぽかったから陽にしたの


ロンドン:それで あのガイコツはどういう設定なのか
ボクとこれ読んでる人達にわかるように説明プリーズ




狐狗狸:あい…狂骨は先程も言った通り陽属性で、本当は
陰で生まれ出たけど 陽気かつ正義が好きな性格により陽に
転換したというろくでも無い裏設定ありです


能力は 動物の骨格に変化して、その力を引き出す"変化"


地面から骨達を呼び出して 形状変化させたりして
操る"狂骨陣営"だけど 後者は陰よりの力だから
連発できない事になってる




…ってかなり世界観壊しな妖怪生み出しちゃったと
改めて気付きました(滝汗)


でも、が対撃を滅多にしないのと 白澤もよく使うから
出て来る事は余り無いって事でースイマセン!(謝)




ロンドン:長い上に分かり辛い もう少しを込めるんだね


狐狗狸:うぇい…スンマセンでした




様、読んでいただきありがとうございました〜