「初めまして このげぇむはどうやら戦わなくて
いいみたいだし、仲良くしよう」





突然 帽子をかぶった天パの男の子が
あたしに話しかけてきた







「あら、ナンパならお断りよ?


「安心して そんなつもりで近づいたわけじゃないよ」





間髪いれずにあたしの質問に返答してきた
即答されたのはちょっと気に入らないけど、まぁいいか









「俺は 、皆からは""って呼ばれてる
次は君の名前を教えてくれる?」







「あたしはアキ 日野 亜紀よ、で
こっちに個魔のハルがいるの」





と あたしは(彼に見えないだろうけど)ハルを手で指す







「よろしく アキちゃんとハルさん、俺の個魔は
今ちょっと出てこれないみたいだから勘弁してね」





苦笑交じりでそう答えながら 丁寧にお辞儀する





…多分あたしより2つか3つ上なだけのハズなのに


その物腰と態度と整った顔立ちのせいか妙に大人びて見える







「そうだ、お近づきの印に 俺の自作ドリンクあげるよ」


ふと思ってたらいきなり はウェストポーチから
一本のビンを出してあたしの手へと渡した





あ、ありがとう 遠慮なく頂くわ







あたしはちょっと戸惑ったけど、もらったドリンクを飲み干した













今回のげぇむは 簡単に言うとフィールド内のチェックポイントを
通過して、時間内にゴールにたどり着く
 というものだった





…まぁ妖逆門のげぇむだし ねいどが案内だから妨害とかあるけど











〜「不可思議なアイツ」〜











でも あたしはそのドリンクを飲んでから


何でか知らないけどトントン拍子で
げぇむが有利に進んだ





いつもより目一杯走っても息切れがしないし 疲れない


何だか身体が軽くなったみたいで
どんどん先へ動ける









気がつけば あとはもうゴールを目指すのみという状況







「これなら もうすぐでげぇむ達成だね、アキちゃん」


「そうね、これなら余裕でゴールにつけるわ!」





後もう少しで一番乗り!と足を進めたときだった







唐突に 身体が動かなくなった





わけがわからず


気がついたらその場にへたり込んでいた







「え?…何 これ?どういうこと…」









身体を起こそうとしても 勝手に震えてて言うことを聞かない


それに 何だかぼーっとする





「だ、大丈夫 アキちゃん!





心配そうにハルが見下ろす その声も
何だか遠くから聞こえるみたいで





一体どうしたらいいか、だんだん不安になってきた









その時 どこからともなく、静かな声が聞こえてきた





「あちゃー やっぱり辛そうだね、ゴメンね


あたしの目の前にはいつの間にか が佇んでいた









「え…何 どういう事よ…?」







身体の震えもぼーっとするのも忘れて
あたしはに問い掛けた





「いや 君に渡したドリンク、あれ持久力を
あげる効果あったんだけど 人体の実験まだだったんだ」


「はぁ!?」


「折角だからアキちゃんに飲んでもらって 実験してた
お陰でいいデータ取れたよ、ありがと」


「何ですって…?」





信じられない それってあたしを実験台にしたってこと?









落ち着いた喋り方にもムカッと来て 撃符を取り出して戦おうとした







でも は苦笑しながら


「やめときなよ、君の身体は副作用で動きづらいだろ?」







悔しいけど その通りだった





それでも睨み付けていると、


があたしのすぐ側にしゃがみ





顔を覗き込んで じっとあたしの様子を
見つめはじめた









身体が少々痙攣…感覚麻痺 けど呂律はハッキリしてる…
この位ならコレで十分だね」





呟きながらウェストポーチから
緑色の薬の入った包みを取り出す







「な…何を…」





あたしの言葉に答えず はニッコリと笑うと、
イキナリ右手で顔を掴む





「ちょっとの間 我慢してね、アキちゃん」







は あたしの口を開かせて左手の粉薬を口に入れた





「Σム――――!!」





バタバタ暴れるけど には何の効果も無く、あいつは
すかさず水を取り出して 有無を言わさず薬を流し込んだ







「ん…くっ はぁ!


あたしが薬を飲み込んだ事を確認すると
は手を離して立ち上がった









自由になったのを確認して あたしは込み上げて来る怒りに
まかせて の襟首を掴んで思い切り殴った







「イキナリ何すんのよ!!」


「…ほら 直ったろ?」





殴られた直後なのに 淡白な態度を
崩さないでがそう言った


その一言に、あたしは二発目を寸前で止めた





そう言えば 身体の震えもぼーっとしてたのも…今はもうない


さっきまで身体を動かせなかったのがうそみたい







「あ…本当だ」





「それだけ元気なら外傷も心配ないよね?
それじゃ 俺もう行くから」


「って ちょっと、待ちなさいよアンタ!


「それじゃ、また会おうね アキちゃん」





それだけ言うとあたしの言葉を
最後まで聞かず は去った











「アキちゃん…大丈夫?顔が赤いわよ?


「大丈夫みたい気にしないで ありがとう、ハル」





心配そうに見つめるハルに あたしは笑顔で返して
さっきを殴った拳をじっと見つめた







「本当に何なのよあいつ…むかつくわ」











人を実験台にしたくせに わざわざ治しに来るなんて


殴られたばかりのはずなのに あんなに平然としてるなんて






本当に…何考えてるのよあいつ







の奴…今度会ったら
絶対慰謝料ふんだくってやるんだから









 


絶対に もう一度会ってやる、と心に誓った








―――――――――――――――――――――――――――――
あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:やっとこさ初・妖逆門夢上げました〜 てかアキちゃんの
キャラってまだ本誌の方でしか知らないけどあってたかなぁ?


アキ:だったら早くアニメ見なさいよ!(蹴)


狐狗狸:痛あっ!て アキちゃん!君女の子なんだから
蹴りかまさないでよ!!


アキ:うるさい、大体話書くの遅すぎ!みんなを待たせて…
より先に慰謝料請求するわよ!


狐狗狸:やめて下さい…てかどこで覚えたのそんな事?


ハル:それより…君の個魔が
まだ出てきてないみたいだけど?


アキ:どうせ書き忘れたのよ 慌てんぼう作者だから


狐狗狸:ヒドイヨ アキちゃん!!(泣き逃げ/ヲィ)




…多分 次の話くらいには出します、スイマセン


 様 読んでいただいてありがとうございました!